Kerbdog

グランジ紹介コーナーの第8回はKerbdog(カーブドッグ)です。

[Discography]
1st Kerbdog (1994)
2nd On the Turn (1997)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)

[関連の深いジャンル]
Grunge, Alternative Metal, Post Grunge

アイルランド出身のメタリックなサウンドを鳴らすグランジバンドです。
アイルランド出身ということもあってTherapy?とツアーなどもしていました。

グランジかどうか少し意見が分かれるかもしれないバンドではありますが、
公認ファンサイトでも"A grunge band from ~"と書かれていたりするので、
グランジのバンドというふうに考えて差し支えはないと思われます。

このバンドはSonic Youthなどのオルタナ好きのメンバーと
Slayerなどのメタル好きのメンバーによって結成されたこともあり、
これらの両方の要素がサウンドの中に現れているのが特徴です。

1994年に彼らは自分達の名前を冠した1stアルバム"Kerbdog"をリリースします。
これはプロデューサーにあのジャック・エンディーノを迎えて制作されました。

まずサウンド面に目をやるとかなりヘヴィ路線のメタルとなっています。
Alice in Chainsぽさもありますが、むしろMetallicaのブラックアルバムを
ダークでよりヘヴィにしたというようなスタイルといったほうが近いです。

しかしながら、メロディを中心に浮遊感が非常に強調されていて、
これが一般の90年代スタイルのメタルとは大きな違いになっています。

このスタイルでまず頭に思い浮かぶのは後に出てくるStaindですね。
StaindはKerbdogほどストレートなメタルというわけではないですが、
浮遊感と深みのあるメロディをヘヴィなサウンドに乗せる点は共通しています。
むしろStaindがこのKerbdogの影響を受けたと言えるかもしれませんね。

Panteraなどのグルーヴメタルっぽい要素もたまに顔を出しますが、
あそこまでゴツゴツとせず、咆哮スタイルのヴォーカルもほぼないです。

なのでサウンドはメタルなんだけど、大きな方向性として見ているところは
メタルとはかなり違ったところにあるという印象を強く持ちます。

また、このバンドはシングルによくカバー曲を入れてたそうですが、
その面々がPixies, Big Black, Sonic Youth, The Jam, Husker Du,
Public Image Ltd.などのパンク~オルタナ系なのを見てみると、
むしろメタル色が強いことのほうがやや意外なのかもしれません。

この1stは基本的にどの曲もほぼこういったスタイルで統一されていますが、
その中からとりわけ印象に残る曲をいくつか紹介させていただきます(*゚ー゚)

Kerbdog - "Earthworks" (1993) [from "Kerbdog"]

Kerbdog - "End of Green" (1993) [from "Kerbdog"]

Kerbdog - "Dry Riser" (1994) [from "Kerbdog"]

Kerbdog - "Dummy Crusher" (1994) [from "Kerbdog"]

このバンドの大きな魅力である硬軟織り交ぜたスタイルが光りますね。
ゴリゴリと来たかと思えばふっと浮遊感を出すなどなかなか見事です。

2ndは1stの路線を基本にしつつももう少しメタルの主張を弱めて、
パンクやオルタナ路線のほうがより強めに感じられるようになっています。

とりわけ最初の3曲とラストの曲は1stとはかなり印象が異なります。
一方でそれ以外の曲は1stほどではないもののメタリックな要素が強く、
1stをより発展させたようなスタイルになっているとも言えるでしょう。

まず1stよりも彼らの特徴であるメロディや浮遊感がより強まっています。
ときにFailureのように宇宙的な香りを感じさせたりもします。

この1stで見せたヘヴィネスとメロディの美しさを調和させた曲としては
"Pledge"や"Rewind"といったあたりがとりわけ光っていると言えそうです。

Kerbdog - "Pledge (Live 2005)" (1997) [from "On the Turn"]

Kerbdog - "Rewind (Live 2005)" (1997) [from "On the Turn"]

メロディが進化したというと、1stからポップ化したようにも聞こえますが、
そうではなくあくまでヘヴィロックとしての完成度が高められています。
動画はライブバージョンのためスタジオ版よりもやや軽く聞こえてしまいますが。

StaindやShinedownが好きな人ならこれはかなりいけるのではないですかね。

一方で1~3曲目やラストの曲はメタリックなスタイルとはやや距離を置き、
グランジやDinosaur Jr.などにも通じる音楽性が顔を見せています。

このアルバムからのシングルは基本的にこのタイプの曲からだったようで、
2ndのほかの曲や1stでは見られないもう一つの彼らの魅力を見ることができます。

Kerbdog - "Mexican Wave" (1997) [from "On the Turn"]

Kerbdog - "J.J.'s Song (Radio Edit)" (1996) [from "On the Turn"]

"Mexican Wave"の60年代前半っぽいビデオが少し面白いですね。
この2つの曲はどちらもシングルとしてもリリースされています。

自分としては1stも2ndもどちらも優れたアルバムだと思いますが、
あえて押すなら彼らの音楽性の幅広さや多様な魅力を見せてくれる
この2ndアルバムのほうをまずはオススメしたいと思いますね。

でもヘヴィながらも独特の美性を見せる1stもなかなかの作品です。

彼らの曲を聴くと頭の中にいろんなグランジ関連バンドが思い浮かびます。

Alice in Chains, My Sister's Machine, Gruntruck,
The Smashing Pumpkins, Failure, Tad, Dinosaur Jr.,
Silverchair, Send No Flowers, Staind, Shinedownなどなど・・・。

この連想されるバンドが決してメタル系グランジだけでなく、
それとは全く違うタイプのバンドにも広がるのが面白いです。

このバンドの内に秘める多様さというのがここからも感じられます。
そしてそのどれともまた一味違っているのがこのバンドの良さでもあります。

一見すると「メタリックなグランジ」とだけ解釈されそうですが、
その中にある音楽性の広がりを味わうとより楽しめると思います。

それでは、最後に2ndのオープニングを飾る"Sally"を貼って終わります。
また、この曲も2ndからのシングルとしてリリースされています。

これも"Mexican Wave"と同様にちょっとコミカルなビデオとなっています。

Kerbdog - "Sally" (1996) [from "On the Turn"]


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テーマ : 洋楽ロック | ジャンル : 音楽

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