Screaming Trees

[Discography](ベストアルバムは除く)
1stEP Other Worlds (1985)
1st Clairvoyance (1986)
2nd Even If and Especially When (1987)
3rd Invisible Lantern (1988)
4th Buzz Factory (1989)
2ndEP Change Has Come (1990)
5th Uncle Anesthesia (1991)
6th Sweet Oblivion (1992)
7th Dust (1996)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)

[関連の深いジャンル]
Grunge, Neo Psychedelia, Psychedelic Rock

グランジバンド紹介コーナーの第1弾はScreaming Treesです(●・ω・)

シアトルグランジが好きな人なら少なくとも名前は聞いたことがあるでしょう。
"Sub Pop 200"に参加していることで知った人もいると思います。

シアトルグランジもいろんなバンドがありますが、
その中では中堅ぐらいの知名度があると言えそうです。

ただ、Screaming Treesはやや不遇な立ち位置にあった印象もあります。
サウンド的には典型的なグランジサウンドからは遠いため、
グランジ好きの人たちからはとっつきにくいと思われがちです。
一方でグランジに興味のない人からは「ただのグランジ」と見られ、
その音楽性を評価してもらえる機会が少なかった面もあると言えます。

ただ、逆にグランジ好きの人が興味を持ってくれる機会もあるので、
100%それがマイナスにはたらいたとも言えないとは思いますが。

いわゆるグランジファンからは音楽性がわかりにくいと思われがちですが、
むしろ彼らははルーツがかなりはっきりとしているバンドでもあります。

その音楽性を一言で言うと「パンクを通過した60年代サイケデリックロック」でしょう。

しばしばThe Doorsが引き合いに出されるのもそのあらわれですね。
とりわけヴォーカルのマーク・ラネガンのスタイルは
The Doorsのジム・モリソンからの影響を多大に受けています。
ただジム・モリソンのような激しいシャウトはあまりしませんが。
(同じくジム・モリソンから影響を受けたヴォーカリストでは、
 Pearl Jamのエディ・ヴェダーなどがその要素を強く持っています。)

Screaming Treesはグランジ系の中でもレコードを早く出したバンドです。
1985年にはすでに最初のEPである"Other Worlds"を出しました。

この作品は以降の作品に比べると非常に明るい印象があります。
もっとも彼らの特徴であるパンク+サイケはこの頃から健在ですが、
サイケがかりながらも、西海岸的な明るさのあるパンクという感じです。

そして1stの"Clairvoyance"ではあえてパンク要素を抑えめにし、
グッと60年代サイケデリックとしての濃度を高めた路線に行きます。
自分はこのアルバムがけっこう好きだったりするのですが、
「60年代サイケそのもの」というイメージも強い作品です。

この1stで培ったサイケデリアの濃度を維持しながら、
パンキッシュな攻撃性をミックスしていったのが2nd以降です。

Screaming Treesはアルバムごとに急激に音楽性を
変えるということが少ないバンドでもあります。

2nd~4thまでは音楽性自体に大きな変化はないですね。
ただし、少しずつバンドとしての音の完成度は高まっていきます。
ですが、どのアルバムも佳曲がしっかりとつまっているので、
できればどれも漏らさず聴いておくだけの価値はあります。

2nd~4thの中では、特に3rdの"Invisible Lantern"が好きです(*゚◇゚)

ところで、この"Invisible Lantern"に見られるように、
彼らの曲名にはファンタジックな香りがするものが多いです。
ここにもまた60年代サイケデリックからの影響が見えますね。

さて、このあたりで彼らの曲を2つほど紹介しましょう。

Screaming Trees - Seeing and Believing
[from "Clairvoyance" (1986)]

Screaming Trees - Walk Through to This Side
[from "Invisible Lantern" (1988)]

どちらも彼らの代表曲というわけではないのですが、
60年代サイケからの影響がわかりやすいことで選びました(*゚ー゚)

彼らに影響を与えたバンドというと、たいていThe Doorsの名前が出て終わりですが、
実際にはThe Doors以外の60年代サイケからの影響も極めて強く受けています。
おそらくメンバーは相当に60年代サイケにくわしいものと見られます。

そこで彼らに影響を与えたと見られる60年代サイケを2曲紹介します。

The Electric Prunes - Bangles (1967)

Donovan - Epistle to Dippy (1966)

Screaming Treesを聴きなれてる人なら「あぁ、たしかに!」と
思わず言ってしまいたくなるぐらいに影響が感じ取れます。

60年代サイケというとThe Doorsやここに紹介したバンドと、
The Beatlesの"Sgt.~"的なもので大きく分かれていたりしますが、
後者のタイプからの影響は彼らからはあまり感じ取れないですね。

ですが、The Beatlesが"Sgt.~"より前に出したサイケからは影響が見えます。

The Beatles - Rain (1966)

メロディなど以上に、ギターの使い方が非常に共通していますね。

こうやって見ると、Screaming Treesというバンドは、
相当にいろんな60年代サイケのサウンドをミックスして
自分たちなりのサイケデリアを構築してきたと言えそうです。

4thの後に"Change Has Come"というEPを出していますが、
これはいつもより少し攻撃性がサウンドを聴くことができます。

そして5thからはメジャーのEpicに移籍しての活動になります。
そのため、ここからはサウンドもやや洗練された感じになります。

5thはSoundgardenのプロデュースでも知られるテリー・デイトと
なぜかクリス・コーネルをプロデューサーに迎えて作られました。
テリー・デイトを紹介したのがクリスだったのかもしれませんが。

この作品はやや地味だと評されることも多いようですが、
耳に残る曲も多いですし、決して悪い作品ではないですね。

そして6thの"Sweet Oblivion"では彼らの見せるサイケデリアに
さらに脂が乗り、非常に粘っこいサウンドを聴かせてくれます。
ちなみにプロデューサーはGumballでも知られるドン・フレミングです。

4thあたりまではまだ異なる要素がぶつかり合ってる感もありましたが、
ここまで来るとそういった印象はほとんど与えなくなっています。

その粘っこさが十二分に表れているのがこの曲でしょう。
大人の渋みとでもいうものが存分に発揮されています。

Screaming Trees - Shadow of the Season
[from "Sweet Oblivion" (1992)]

その後、バンドは新たな作品の制作を開始するのですが、
1994年にいったん作った曲をほとんど破棄してしまいます。

ですが、それはネガティブな意味合いがあってのものではなく、
もっと質の高いアルバムを作るという意志から行われました。

そして前作から4年ぶりにリリースされたのが7thの"Dust"です。
これまでに積み重ねてきたサイケデリアを維持しながらも、
フォークなどの要素も取り入れることでより間口の広くなっています。

そしてメロディなども過去最高の完成度を見せています。
まさしく彼らの最高傑作と呼ぶにふさわしい作品でしょう。
捨て曲と呼ばれるようなものが一切ないのも素晴らしいです。

さて、ここでその"Dust"から1曲紹介しましょう。

Screaming Trees - Sworn and Broken
[from "Dust" (1996)]

曲そのものも美しいですが、途中のオルガンソロが絶品です。
オルガンといえばサイケデリックでよく使われますが、
Screaming Treesがサイケの高みに達したことが伝わってきます。

そして彼らに影響を与えたThe Doorsからも冬の曲を紹介します。
ヴォーカル面において大きな影響を受けていることがうかがえます。

The Doors - Wintertime Love (1968)

バンドはこの"Dust"を出した後で活動を停止してしまいますが、
このアルバムによって有終の美を飾ることができたとも言えそうです。

それでは最後に同じく最終アルバムである"Dust"から、
高い評価を受けた"All I Know"にて記事を締めたいと思います(*・ω・)ノシ

今回はミュージックビデオのほうが埋め込み無効になっていたので、
埋め込みとは別に文字リンクからビデオに飛べるようにしております。

Screaming Trees - All I Know [from "Dust" (1996)]


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