店内BGMに求められる要素とは何か

スーパーでも飲食店でもドラッグストアでもコンビニでも、
どんなお店でも何らかの音楽がかかっていることが多いが、
今回はそんな店内BGMに求められる要素について考えてみたい。

このような記事を書こうと思ったのは、
昔からいろいろなお店に通う中で
「このお店はどういう狙いでこのBGMをチョイスしているのだろう」
と疑問にならざるをえないことがあまりに多かったためでもある。

多くのお店はいったいどのような視点でBGMを選んでいるのだろうか。

「俺の好きな音楽を客にも聴かせてやる」という
お店の経営者のエゴをぶつけるところもあるかもしれないが、
そのような意識で音楽を選んでいるお店は稀であろう。

おそらく大半のお店は「何となく当たり障りのないものを」という理由で
BGMとして「とりあえず流行歌でもかけておくか」としているのだろう。

もちろんお店のタイプによっては、お店の方向性と一致するような
音楽をチョイスしているところもあるだろう。

たとえばアニメグッズ専門店やメイドカフェならアニメソングを選ぶだろうし、
CDショップだったら、ある程度はコアな選曲をすることも出てくるだろう。

ただ今回の話ではこうした特別なお店については横に置いて、
「無理に選びたい曲があるわけではない」お店のBGMについて考える。

◎店内BGMに求められる要素を考える


さて、話を戻すが、昨今のお店はスーパーでも飲食店でも
「とりあえず流行歌をかけている」という感じのお店が多い。

おそらくその動機は「何となくおしゃれで無難そう」だからではなかろうか。

しかしここで改めて考えたいのは「果たして流行歌は本当にBGMとして無難なのか」、
さらに「そもそもBGMとして無難な音楽」とはそもそもどのようなものか、である。

その音楽に対する好き嫌いを、
-10(嫌い)~0(どちらでもない)~10(好き)
の範囲で数値化して考えてみよう。

BGMについての理想は「誰が聴いても+7~+10ぐらいになる音楽」だが、
さすがにここまで誰からも好まれる音楽というものはない。

むしろ音楽というのは人によって一定の好き嫌いは分かれるため、
分布の平均値で見れば、おおむね-1~+1程度の範囲にならざるをえない。

それを踏まえたうえで「BGMとして無難な音楽」を考えるなら、
「誰からもあまり嫌われない音楽」ということになるだろう。

ここで大事なのは「それが好きな人がそこそこ多い音楽」ではなく、
「誰からもあまり嫌われない音楽」としていることである。

「好きな人が多い」ではなく「嫌う人が少ない」ことこそが
BGMとして「無難な」音楽と呼ぶことができる。

なぜそのように考えたのかを説明することにしよう。

スーパーでも飲食店でも大半のお店にとっては、
BGMは決してお店の主役ではなく「バッググラウンド」の存在である。

お店の主役ではない以上、
「そこのBGMが好きということを最大の理由にしてそのお店に来る」
という人はほぼゼロに等しいと言っていい。

なぜならそのお店に来る最大の動機は
そのお店の最大の主役によって左右されるためである。

スーパーなら品ぞろえや価格、飲食店なら味やコスパである。
それらの要素がないのに、BGMだけで客を呼ぶのは不可能である。

そのため、「BGMを好んでくれる」ことの効果はそこまで大きくない。

一方で「そこのBGMが嫌い」はそれに比べてより強く影響力が出る。

「BGMが嫌いだからそのお店には行かない」まではいかなくとも、
「BGMが嫌いで不快だから滞在時間を短くする」などはよく起きる。

BGMはお店に来る最大の動機になることはないが、
お店に滞在する快・不快の度数には少なからず影響するのだ。

ここで先に触れた「BGMに対する好感度の平均値はおおむね-1~+1になる」
ことを考慮すると、BGMの性質は次の2つに分けることができる。

(タイプ1) 好きな人も多いが、嫌いな人も多い音楽
(-5と+5のあたりに2つの山ができる)

(タイプ2) 好きな人も嫌いな人も少ない音楽
(-1~+1のあたりだけに大きな山ができる)

この2つのタイプの音楽のどちらが店内BGMにふさわしいのかを問えば、
これまでの議論から圧倒的に (タイプ2) のほうが優れていると言えるだろう。

「その音楽を好きな人」を増やすことにはあまり意味がないが、
「その音楽が不快な人」を減らすことには一定の意味があるからである。

◎流行歌は店内BGMにふさわしいのか


ここで現在多くのお店で使われている流行歌が
店内BGMとして必要な資質を備えているか考えてみたい。

結論から先に言ってしまうなら、
「流行歌は流行っているから一見無難そうに思えるが、
実際には店内BGMに必要な資質とは対極にあるためふさわしくない」
となる。

端的に言えば「流行歌は好き嫌いが分かれて当然のもの」なのだ。

先に述べた、音楽のタイプで言えば明確に
(タイプ1) 好きな人も多いが、嫌いな人も多い音楽
に属する。

それゆえ「好き嫌いが割れないことが求められる店内BGM」には適さない。

これは別に「J-POP嫌いの人がいるからやめておくべき」という話ではない。

J-POPを聴いている人でも、
「Aのアーティストは好きだが、Bのアーティストは嫌い」
「バンド系は好きだがアイドルは嫌い」
「ももクロは好きだが、AKBや坂道系は嫌い」
と好き嫌いが分かれることは往々にしてあるものだ。

というか、もともと流行歌は各アーティストごとに
人気の陣地取りをしているような関係にあるのだから、
「こちらは好きだが、あちらは嫌い」
という現象が必然的に起きやすいのだ。

そうしたことを考えると、
多くのお店が「無難」と思って流行歌をかけているが、
「嫌いな人が少ないBGMが求められる」という観点からすれば、
実は流行歌というのは最悪の選択の一つと言っていいものである。

現在はこのように「とりあえず流行歌をBGMに」が
日本のお店で幅を利かせているが、
これは果たして日本では「BGMで人を不快にさせないこと」
という視点が欠けている人が多いためなのだろうか。

この問いに対しては私は「そうではない」と答えたい。

というのも、このBGMを上手く選んでいる人達の層があるからである。
それがyoutubeの配信者である。

◎youtubeにおけるBGMチョイスの例


私はこのところyoutubeを見る機会が増えているが、
なかなか面白いと思うのがそのBGMのチョイスである。

中にはどう考えても好き嫌いが分かれるような歌を
ショート動画のBGMにぶち込んできて見た瞬間に
動画を消さざるを得ないということもあるが、
大抵の動画は「人を不快にしないBGM向きのほどほどの音楽」、
すなわち (タイプ2) 好きな人も嫌いな人も少ない音楽
を上手く選んでいるという印象がある。

そして作曲者の側もyoutube動画のBGMに使いやすいような
無料の「嫌いな人が出ないような音楽」を作っており、
そのサイクルが上手く行っているという印象を与えてくる。

ではなぜ、お店は上手く「嫌いな人が少ない」BGMを選べないのに、
youtube配信者はそこに配慮したBGM選びができるのだろうか。

それはお店よりもyoutubeのほうが、不快なBGMに出会ったときに
客の側が「即座に出る」という選択を取りやすいことがあげられる。

お店ではBGMが不快であっても、何らかの用事があって来ているため、
「BGMが不快」という理由だけで即座にお店から出ることはしにくい。

それに対してyoutube動画は「何が何でも見ないといけない」ものではないため、
不快なBGMを選ぼうものなら、そのせいで即座に再生停止にする人が続出してしまう。

youtube配信者はそれが分かっているから、本当の意味で無難なBGMを選ぶのであろう。

これは逆に言えば、一般の店が「客がBGMで不快になるかどうか」を
いかに軽く扱っているかということの裏返しでもある。

「BGM次第で即退出してしまう人がいる」という危機感のある人は
BGMの選択に慎重になるのだから、現在のお店のBGMを偉ぶ人達は
「BGMで不快にさせてもそれで出て行かないだろう」と高をくくっていることになる。

たしかにそれはその通りだろう。
用事があって訪問している以上、BGMだけで即座に退出はしにくい。

だからといって、「BGMで客を不快にしてもいいや」という姿勢で本当にいいのだろうか。
BGMを理由に即退出する人は少ないとはいえ、やはりそこは考えてしかるべきではなかろうか。

余談 - あまりに意図不明だったお鍋コーナーBGM


余談ではあるが、この記事を書こうと思った大きなきっかけとなったBGMについて触れておきたい。

冬のスーパーのお鍋コーナーでかかっていることが多い、
明らかに流行のアイドルソングを模倣した、
「鍋食べたいの」「お鍋パーティー」
と鼻に抜いた声で歌っている曲である。

私はこの曲がお鍋コーナーでかかっているのを聴くたびに、
「いったい作った人は何を考えてこんな曲にしたのだろう」
と思わずにはいられなかった。

これは私がそうした曲を好きか嫌いかという話ではない。

おそらくは「アイドルが流行ってるから、それに乗ればいいか」
という安直が理由で作ったのだろうが、
あからさまに鼻に抜いた声といい曲調といい、
どこからどう見ても好き嫌いが極端に分かれる曲にしか思えなかったからだ。

私が店内BGMに最もふさわしくない例として述べた、
(タイプ1) 好きな人も多いが、嫌いな人も多い音楽
の極致のような音楽にしか聞こえなかったためである。

先にも触れたように、「BGMを主たる理由にその商品を買う」人は皆無だが、
「BGMが不快という理由でそのコーナーの滞在時間を短くする」人は少なくない。

いったいどうやればこのような好き嫌いがあからさまに分かれる曲を聴いて、
お鍋コーナーの売り上げが伸びると考えたのか、理由を聞いてみたいものである。

◎まとめ - 改めてBGMに必要な要素を考えてほしい


どのお店の人も、決して客をBGMで不快にしたいとは思ってはいないだろう。

しかし、そこで「とりあえず流行歌」という選択が
本当に「BGMを不快に感じない客を減らす」うえで最適なのか、
本当に「流行歌だから嫌いな人は少ないはず」なのか、
改めて考えてほしいのだ。

そうすれば、実際には流行歌はひどく好き嫌いが分かれるもので、
本来は多様な客の来るお店のBGMにはふさわしくないとわかると思う。

そのうえで「では本当にBGMに向いた曲とは何か」を考えてほしい。
youtube配信者という、その良きお手本もいるのだから。

というわけで、お店におけるBGMに関するコラムでした。

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テーマ : ひとりごとのようなもの | ジャンル : 日記

コメント

 
ほぼスーパーとか100均しか行かないからBGMは「その店の歌」( ´艸`)♪健康家族の合言葉ダイイチとか♪笑顔から始めよう いつでも北海市場とかさ( ´艸`)
鳥天さん、こんにちは!

もしかして店内BGMって、地域差もあるのですかね!(●・ω・)

そのお店専用のテーマソングはまぁ別にいいかな派です!笑

というのも、テーマソングはできるだけ多くの人が受け入れやすい
そういうラインを狙って作られているので不快になる人は少なそうですしね!

こちらだとイズミヤというスーパーのテーマソングはそこそこいいのですが、
もう古い曲ということもあってか、最近はめったにかからないですね;

ではでは、コメントありがとうございました!(゚x/)
なるほど 色んな事を考えられますね~~~~ BGMにふさわしいのは きらいな人が少ない歌 この話納得できます

しかし ちょっと反対に考えてみました
割合は高くなくても すごく好きな人がいる歌
御店に入ってきても 実際に購入する人は少ない。
それなら お店のファンになってもらえば 購買確率、リピート率が上がるのでは?

笑) いろんな角度で 検討すると面白いかもしれませんね

 駐在おやじ
駐在おやじさん、こんばんは!

「誰かにとって大好物であるものほど、それを地雷とする人も多い」、
という法則みたいなものがあるのですよね!

これは食べ物でも音楽でも絵でも何でも同じだと思います!

要は「誰かがものすごく好きな音楽をかければどうだろう」
というのは一見するとその人をリピーター化できそうですが、
そういう音楽ほど「それを地雷とする人」がものすごく多く、
そうした人達の客足を遠ざけるリスクが高くもあるのですよね!

簡単に言うと、「割合は少ないけどすごく好きな人がいる歌」は
食べ物にたとえるとパクチーみたいなものになっちゃうのですよね!(●・ω・)

実は広範囲の人に良い印象を与えつつ、嫌われない音楽のチョイス、
というのはないわけではなく、そうしたお店もごく少し出会ったことがありますが、
それを実現するのは選曲者の音楽への知識がかなり高くないと難しいでしょうね!

この記事では長々と書いてはいますが、実は一番大事なところは
「なんか選曲する人達は『流行歌ならみんな好きだろうし嫌う人も少ないだろう』
と思いがちだけど、全然そんなことないどころか逆ですよ」
ってことだったりします!

ではでは、コメントありがとうございました!(゚x/)

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