サイケデリックロックができるまで 第7回

これまで様々なスタイルのサイケデリックロックを紹介し、
そのピークが1967年にかけて訪れたことを紹介しましたが、
まだ触れていないスタイルのサイケデリックロックがあります。

それが後のハードロックやヘヴィメタルの基盤ともなり、
同時に煙(=ドラッグ)の匂いがプンプンとするような
そうしたタイプのブルージーなヘヴィサイケです。

ブルーズロックを単体として見るとこの記事だけでは収まらない
非常に幅広い歴史がありますが、ブルーズの持つこってりとした感覚を
ドラッグを連想させる煙臭さに重ねることでサイケデリアを表現した
そうしたスタイルの一番手と言えるのはおそらくはCreamでしょう。

Creamはあのエリック・クラプトンを中心としたグループですね。

まずは彼らの最初期のシングル"I Feel Free"を紹介しましょう。
1966年の12月にリリースされ、アメリカ版アルバムにも収録されました。

Cream - I Feel Free (1966) [Blues Rock / Psychedelic Rock]


この曲がどれぐらいサイケデリックを意識して作られたのかは
実のところよくわからないところがあるのですよね。

"I Feel Free"というタイトルもLSDによる解放感とも解釈できますし、
別にそうしたことは意図せずにつけたというふうにも読めますからね。

ただこの時点で「ブルーズロック的ヘヴィサイケ」の形はかなり確立されています。

このもやもやとした煙でもやがかかったようなサウンド、
これがブルーズロック系のサイケデリックの特徴なのですね。

これまで紹介したタイプのサイケデリックとはかなり異なりますが、
これもまたLSDやマリファナの効果の表現の一つではあったわけです。

このシングルが発売されたのが1966年の12月であったことを考えると、
この系統のサイケは確立されるのが比較的遅かったとも言えるでしょう。

そしてこうしたスタイルを完成させたのがあのJimi Hendrixです。

1967年3月17日にあの"Purple Haze"のシングルがリリースされます。

The Jimi Hendrix Experience - Purple Haze (1967) [Psychedelic Rock]


この曲はタイトルの「紫のもや」からして実にドラッグ的ですが、
公式としてはこの時点ではLSDはまだやってなかったらしいですが、
ただそれがこの時期によくある「知らんぷり」なのかは謎です。

とはいえ、あまりにもあからさまなこのタイトルですから、
LSDによる幻覚表現と解釈して聴いた人が大半ではあったでしょう。

このあたりのサウンドはハードロックと解釈する人も多いですが、
ロックの歴史としては「ハードロックの源流となるヘヴィサイケ」
として位置付けられることが一般的となっています。

そしてThe Jimi Hendrix Experienceの1stアルバムとなる
"Are You Experienced"はアメリカで500万枚以上を売り上げ、
サイケデリックロックを代表するアルバムの一つとなりました。

そして先に紹介したCreamに明確にサイケデリックを志向していきます。

1967年11月にリリースした"Disraeli Gears"では、
いかにもサイケデリックアート的なジャケットデザインを施します。

そこからの代表曲である"Sunshine of Your Love"です。

Cream - Sunshine of Your Love (1967) [Psychedelic Rock]


"Sunshine"や"Love"という言葉のチョイスもいかにもサイケです。
完全に「ヘヴィサイケ」であることを意識して作られた曲ですね。

「以前に紹介されたサイケとはあまりに違っていて、
ハードロックに近すぎて戸惑う」と感じる人も多いと思いますが、
これもまたLSDの表現の一形態であったととらえてみてください。

そしてヘヴィサイケを語るうえで外せないのがBlue Cheerです。

彼らはハードロックやヘヴィメタルの源流となっただけでなく、
90年代のドラッグロックであるストーナーの源流にもなりました。

彼らは1968年1月16日に1stアルバム"Vincebus Eruptum"をリリースします。

Blue Cheer - Summertime Blues (1968) (Eddie Cochran cover) [Psychedelic Rock]


この"Summertime Blues"はもともとエディ・コクランの曲ですが、
彼らはそれをファズをブリブリにかけたギターでメタメタにしてしまいます。

あまりに曲のスタイルが変わり果てていて驚愕してしまうほどですし、
ここから漂う強烈なドラッグ臭は嫌でも感じてしまうほどですね。

ということで、ブルーズロック系ヘヴィサイケの代表格を紹介しました。

これまで紹介したサイケデリックとはスタイルがあまりに違うので、
「これもサイケと考えていいのか?」と思われるかもしれませんが、
良くも悪くもLSDを志向したロックはどれもサイケとして扱われるので、
「これもひっくるめてサイケ」ととらえてもらえるといいですね。

さて、これでサイケデリックロック形成の歴史はほぼ全部紹介しましたが、
最後に「紹介するか迷ったけどボツにした曲をまとめた番外編」を記事化します。

ということで、ラストの番外編は軽い気持ちで楽しんでみてくださいませ。

◎ここまでのサイケデリックロック形成の年表


1965.6.4 The Yardbirds - Heart Full of Soul (Single)
1965.7.30 The Kinks - See My Friends (Single)
1965.11 The Seeds - Pushin' Too Hard (Single) (Album 1966.4, Re-release 1966.7)
1965.12.3 The Beatles - Norwegian Wood (This Bird Has Flown) (Album "Rubber Soul")
1966.2.25 The Yardbirds - Shape of Things (Single)
1966.3.14 The Byrds - Eight Miles High (Single)
1966.4.15 The Rolling Stones - Lady Jane (Album "Aftermath UK")
1966.5.16 The Beach Boys - Album "Pet Sounds"
1966.5.30 The Beatles - Rain (Single "Paperback Writer")
1966.7.1 Donovan - Sunshine Superman (Single)
1966.8.5 The Beatles - Love You To, Tomorrow Never Knows (Album "Revolver")
1966.8.26 Donovan - Album "Sunshine Superman"
1966.10.10 The Beach Boys - Good Vibrations (Single)
1966.10.17 The 13th Floor Elevators - Album "The Psychedelic Sounds of the 13th Floor Elevators"
1966.10 The Deep - Album "Psychedelic Moods"
1966.11 Blues Magoos - Album "Psychedelic Lollipop"
1966.11 The Electric Prunes - I Had Too Much to Dream (Last Night) (Single)
1966.12 Cream - I Feel Free (Single)
1967.1.4 The Doors - Album "The Doors"
1967.1.13 The Rolling Stones - Ruby Tuesday (Single)
1967.2.1 Jefferson Airplane - Album "Surrealistic Pillow"
1967.2.13 The Beatles - Strawberry Fields Forever / Penny Lane (Single)
1967.3.17 The Jimi Hendrix Experience - Purple Haze (Single)
1967.5.26 The Beatles - Album "Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"
1967.11.2 Cream - Album "Disraeli Gears"
1968.1.16 Blue Cheer - Album "Vincebus Eruptum"


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