サイケデリックロックができるまで 第6回

1967年に入るまでにファンタジー系サイケ、ガレージ系サイケなど、
様々なサイケデリックロックが多くのバンドによって確立されてきました。

それが1967年に入ると、それぞれのサイケデリックロックにおいて、
巨大なムーブメントが起き、全体が一気にピークへと向かっていきます。

まずは1967年1月4日、新進気鋭のサイケデリックロックバンドである
The Doorsが1stアルバムとなる"The Doors"をリリースします。

これが巨大なセールスを記録し、アメリカだけで400万枚以上ヒットします。

そしてこのアルバムからシングルカットされた"Light My Fire"もまた
全米で1位を記録するなど、サイケデリックムーブメントを盛り立てます。

The Doors - Light My Fire (1967) [Psychedelic Rock]


音楽的にはThe Electric Prunesなどが作り上げてきた
「ガレージ系サイケの薄暗いダークネスを帯びたサウンドから
ガレージロック的なラフさを取り除いたもの」の延長線上にあります。

それがこのThe Doorsの登場によって完成させられたと言ってもいいでしょう。

この曲のオルガンのイントロはけっこう多くの人が聴いたことがあると思います。
世界的に見てもこのイントロはかなり有名な部類に入るでしょう。

この曲はしばしば「間奏が異様に長い」と思われてしまいますが、
実際にはこの間奏こそがこの曲のサイケデリアを最も表しています。

このオルガンソロをそのまま脳に流し込むような感覚で聴いてみると、
いかにLSDによるトリップ感を音で表現しているか伝わるかと思います。

ここを楽しめるようになると、サイケの世界にドップリとハマっていきます。

そしてこうしたThe Doorsのサウンドは多くのフォロワーを生み出します。

どの代表格とも言えるのがJefferson Airplaneでしょう。

彼らもThe Doorsに続いて1967年2月1日に
アルバム"Surrealistic Pillow"をリリースします。

アルバムタイトルからしてサイケデリックな香りが漂っていますね。

ここでは、その代表曲である"Somebody to Love"を紹介しましょう。

Jefferson Airplane - Somebody to Love (1967) [Psychedelic Rock]


"Don't you want somebody to love"といった歌詞は
まさにこの時代の"Love & Peace"を象徴しているとも言えますね。

The Doors的なスタイルのサイケデリックロックはこの後も多く登場します。

ここではその代表的なバンドとアルバムを紹介しておきましょう。

[The Doorsに近いタイプのサイケデリックロックの代表的作品]
Pink Floyd - The Piper at the Gates of Dawn (1967.8.4)
Vanilla Fudge - Vanilla Fudge (1967.8)
Procol Harum - Procol Harum (1967.9)
Traffic - Mr. Fantasy (1967.12.8)
Quicksilver Messenger Service - Quicksilver Messenger Service (1968.5)

そして今度はファンタジー系サイケでも大きな変化が起きます。

The Beatlesが従来のインド音楽寄りのサイケデリックから方向転換し、
ファンタジー系サイケを強く志向したシングルである
"Strawberry Fields Forever / Penny Lane"を1967年2月13日にリリースします。

このシングルがファンタジー系サイケに与えた影響は極めて多大でした。
これによってファンタジー系はサイケの最も重要なスタイルとして確立されます。

The Beatles - Strawberry Fields Forever (1967) [Psychedelic Rock]


そしてThe Beatlesはこの"Strawberry Fields Forever / Penny Lane"の
流れを汲んだアルバム"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"を
1967年5月26日にリリースします。

このアルバムの名前は洋楽ロックに詳しくない人でも聞いたことがあるでしょう。
それだけ世界的に強烈な影響を与えたアルバムです。

これによってサイケデリックロックムーブメントは揺るぎないものになりました。

このアルバムは大ヒットし、アメリカだけで1100万枚ものセールスを記録します。
ここから最もファンタジーサイケな"Lucy in the Sky with Diamonds"を紹介しましょう。

The Beatles - Lucy in the Sky with Diamonds (1967) [Psychedelic Rock]


この曲はファンタジー系サイケの見本と言っていいような作風です。

それはもうよく語られるこの曲のタイトルが物語っています。

タイトルから前置詞と冠詞を外して名詞だけをピックアップすると、
Lucy, Sky, Diamonds、頭文字がLSDになっているのですよね。

もちろん公式には「LSDを意図したわけではない」ことになっていますが、
それは例によってこの時代にありがちな「知らんぷり」と見ていいでしょう。

音楽的には先行したThe Rolling Stonesの"Ruby Tuesday"などの流れにありますが、
LSD的な酩酊感を極限にまで高めているところがこの曲の強烈な個性となっています。

そしてこのアルバムも極めて数多くのフォロワーを生み出しました。
ここでそうしたファンタジー系サイケの代表的アルバムを紹介しましょう。

[サージェントペパーズ的なファンタジーサイケの代表的作品]
Bee Gees - Bee Gees' 1st (1967,8.9)
The Hollies - Butterfly (1967.11)
The Lovin' Spoonful - Everything Playing (1967.12.6)
The Rolling Stones - Their Satanic Majesties Request (1967.12.8)
The Who - The Who Sell Out (1967.12.15)
The Zombies - Odessey and Oracle (1968.4.19)
Manfred Mann - Mighty Garvey! (1968.6.28)
Status Quo - Picturesque Matchstickable Messages (1968.9.27)

さて、こうして様々なサイケデリックロックがピークを迎えたことによって、
サイケデリックロックが形成されるまでの歴史は終わり・・・となるはずですが、
実はまだこの6記事の中で全く取り上げていないサイケのスタイルがあるのです。

次回はその残されたサイケデリックロックのスタイルを見ていきましょう。

◎ここまでのサイケデリックロック形成の年表


1965.6.4 The Yardbirds - Heart Full of Soul (Single)
1965.7.30 The Kinks - See My Friends (Single)
1965.11 The Seeds - Pushin' Too Hard (Single) (Album 1966.4, Re-release 1966.7)
1965.12.3 The Beatles - Norwegian Wood (This Bird Has Flown) (Album "Rubber Soul")
1966.2.25 The Yardbirds - Shape of Things (Single)
1966.3.14 The Byrds - Eight Miles High (Single)
1966.4.15 The Rolling Stones - Lady Jane (Album "Aftermath UK")
1966.5.16 The Beach Boys - Album "Pet Sounds"
1966.5.30 The Beatles - Rain (Single "Paperback Writer")
1966.7.1 Donovan - Sunshine Superman (Single)
1966.8.5 The Beatles - Love You To, Tomorrow Never Knows (Album "Revolver")
1966.8.26 Donovan - Album "Sunshine Superman"
1966.10.10 The Beach Boys - Good Vibrations (Single)
1966.10.17 The 13th Floor Elevators - Album "The Psychedelic Sounds of the 13th Floor Elevators"
1966.10 The Deep - Album "Psychedelic Moods"
1966.11 Blues Magoos - Album "Psychedelic Lollipop"
1966.11 The Electric Prunes - I Had Too Much to Dream (Last Night) (Single)
1967.1.4 The Doors - Album "The Doors"
1967.1.13 The Rolling Stones - Ruby Tuesday (Single)
1967.2.1 Jefferson Airplane - Album "Surrealistic Pillow"
1967.2.13 The Beatles - Strawberry Fields Forever / Penny Lane (Single)
1967.5.26 The Beatles - Album "Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"


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テーマ : 洋楽ロック | ジャンル : 音楽

コメント

 
ドアーズ…最近のカートさんの記事を読んでいて、どーしても思い出せなかったバンド名。
ドアーズでした。
なんか、若い頃にハマって本まで買って読んでいたような。
世代的にはボクの方が全然下なんだけど、なんか新鮮な気がして…やたら聞いていましたね。
ビートルズはアンサーバストマスターズやボックスまでもっているという(笑)
レコードをやたら買ったので、今でも押し入れにあると思う。メルカリに出したら売れるかな?
焼き鳥おうじさん、こんばんは!

おおぉ、なんと焼き鳥おうじさんがThe Doorsのファンだったとは!

たぶん焼き鳥おうじさんと自分はそこそこ世代が近いはずですが、
それでThe Doorsが好きというのはけっこう珍しいですね!

自分も最初は「かつて有名だったバンド」みたいにして触れましたし!(=゚ω゚)

恥ずかしながら自分はThe Doorsを初めて聴いたとき、
「なんだか古臭い感じの音だな」と思ってしまい、
今のように好きになるまでけっこう時間がかかりました;

でも実際好きになるとThe Doorsはいい曲が多いですよね!
ジム・モリソンがなくなるまでは定期的に良曲がありましたしね!

The Beatlesについてもボックスセットまで持っているのですか!
The Beatlesに関しては自分よりも詳しいかもしれませんね!

自分は一通りのオリジナルアルバムとベストぐらいしか持ってないですし!

音源をmp3にしてパソコンに入れておいたうえで、
ボックスセット本体などは売ってもいいかもしれませんね!

年代物だとそこそこの価値になる可能性もありますしね!

ではでは、コメントありがとうございました!(゚x/)
かーとさま
1967年にはいりサイケデリックもピークへ到達したんですね。ドアーズ、ほとんど聞きませんがこのLight My Fireはさすがに知ってますね。すごい大ヒットだったんですね。ホセ・フェリシアーノという歌手がカバーしてるのが好きでよく聞いてました。オルガンが実に象徴的ですね。しかし実に単純なメロディーです。邦楽だとこんな単純なメロディの曲は見当たりませんが洋楽のロックでは結構あるんですね。曲の作りの違いに関心を結構持ってしまうんですよ。

次のJefferson Airplaneの曲、のりがいいですね。サイケで初めての女性ボーカル (Grace Slick?)紹介ですね、パンチがあってとてもいいです。しかしこのバンド、メンバーの入れ替わりがすごいようでちょっと訳が分かんないですね。

お次はビートルズ、Strawberry Fields Foreverはもちろん聞いておりますがやっぱりビートルズもファンタジーに踏みこんだんですね。イントロのメロトロンがほんわかした管楽器のようで典型的ですね。やっぱりビートルズもやると影響がものすごいですね。
Lucy in the Sky with Diamondsでもやっぱりイントロが象徴的ですね。ハモンドオルガンだそうですが変わったやりかたで演奏したみたいですね。いろんな試みをしてますね。自分でも楽器を演奏するのでこれはどうやって音だしてるんだ?というのにどうしても関心が向いてしまいます。

次回、また楽しみにしております。
とら次郎のとうちゃんさん、こんばんは!

サイケデリックロックのピークは今回の記事で紹介した
The Doors、そしてThe Beatlesの"Sgt. Pepper's~"、あとは
次回の記事で登場するあるバンドで完成された感がありますね!

"Light My Fire"はさすがに世界的に有名ですよね。

洋楽と邦楽を聴き比べたときの最大の違いが、
洋楽は「どういう音楽を表現するか」につねに主眼があって、
メロディは二の次三の次ぐらいに扱っていることが多いですね。

詞は内容が深くても、全体の中での比重はさらに下ですよね。

それに比べると邦楽は明らかにメロディ偏重主義の傾向が強く、
メロディを盛り立てるための「伴奏」を作る傾向がありますよね。

それゆえメロディはわかりやすけど、
曲全体としてどんな音楽をやりたいのかが残念ながらわからない、
そういう音楽も多いという印象ですよね。

詞→メロディ→伴奏の順で曲を作ることもあるのなんて、
いかにも日本の音楽観が表れているなと思わされますね。

サイケの女性ヴォーカルというとジャニス・ジョップリンが有名ですが、
このJefferson Airplaneのヴォーカルもなかなかのものだと思います。

このバンドは後にJefferson Starshipになったり、さらにStarshipになったり、
バンドの原型がどこにいったかわからなくなっていることでも有名ですね笑

自分は初期のサイケなJefferson Airplaneが最も好きですが!

Strawberry Fields Foreverは有名ですし、同時に名曲ですよね。
この曲はメロトロンが使われていることでも有名ですよね。

Lucy in the Sky with Diamondsのイントロは恥ずかしながら、
今までずっと普通にハープシコードだと思い込んでいたのですが、
調べてみるとローリーオルガンというもので演奏したそうですね。

いやはや、指摘してもらったことで思わぬ発見がありました。
どうやってサイケデリアを演出するか、いろいろ考えたのでしょうね。

自分が音色で最も不思議に思うのはThe Beach Boysの
アルバム"Pet Sounds"の1曲目の"Wouldn't It Be Nice"の
ポンロポンロ~というイントロが12弦ギターだということですね!

いったいギターにどういうエフェクトをかけて、
あの丸みのある音にしたのか不思議で仕方ないです。

それでは、今回も素晴らしいコメントをありがとうございました!

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