サイケデリックロックができるまで 第1回

「新しいロックのジャンルができるまで」シリーズの第3弾は
60年代中期から70年代初期にかけて巨大なムーブメントを起こした
「サイケデリックロックができるまで」の紹介となります!

このシリーズの第3弾にサイケデリックロックを選ぶのは自分でも予想外でした。

サイケデリックロックは自分としても非常に大好きなジャンルですし、
もちろんいずれはこのブログで取り上げたいとは思っていたのですよね。

ただサイケデリックロックは成立過程を書くという点で言うと、
最難関ジャンルでもあるので手を出しにくい印象だったのですね。

難しい理由はいくつかあるのですが、一つはムーブメントの流れをある程度知っていても、
どのバンドがそれを先導したのかが見えてきにくいというところなのですね。

「サイケではこのバンドとこのバンドが有名」ということは知っていても、
「じゃあ誰が始めて誰が完成させたの?」というと途端に見えなくなるのです。

そして最大の難関ポイントは、音楽性があまりに多岐にわたる点です。

ざっくりと分けても6つぐらいには音楽性を分類することができて、
しかも当然ながらそれぞれにその音楽性の成立過程があるわけで、
それを記事化できるぐらいに調べるにはなかなか骨が折れるわけです。

それゆえにサイケはかなり後回しにしようと思っていたのですが、
暇なときに成立過程などをあれこれ調べていると夢中になってきて、
「やる気になってきたなら次はもうサイケでいくか」となったわけです。

でもやはりサイケデリックロックは調べるうえで大変でしたね。

基本的には英語圏の音楽系サイトをもとに調べることが多いのですが、
それだけでは不十分な点も多くあるので、自分の手持ちの音源も調べつつ、
そこからわかった情報も多く加えながら情報を整理するようにしています。

なので、それなりに読む価値のある記事にはできるように思います。

-------------

さて、サイケデリックロックは一言で言うなら、
「LSDによる幻覚作用などを表現したロック」となります。

しかしながら、サイケ的な音楽が最初から
「LSDによる幻覚作用を音楽で表現しよう」
というふうにして始まったというわけではないのです。

サイケデリックロックのルーツは
60年代のロックバンド達が「普通のロックをただ作るだけじゃなくて、
何かそこに新しい実験性のようなものを取り入れられないだろうか」
と考えたところにあります。

そこで目をつけられたのが、外国の民族音楽やそこで使われる楽器、
その中でもインド音楽とそこで使われるシタールなどに注目が集まりました。

この「ロックバンドによるインド音楽への接近」がサイケ的音楽のルーツとなります。

その先陣を切ったのがThe Yardbirdsでした。

このThe Yardbirdsに関しては「ちゃんと聴いたことはないけど、
バンドの存在は知ってる」という人も多いのではないでしょうか。

エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジという
超有名ギタリストが在籍し、Led Zeppelinの前身にもなったバンドです。

それゆえ「存在だけはよく知られている」バンドではあるのですが、
実際には60年代のロックを形成するうえで重要な役割を果たしています。

彼らは他のバンドに先駆け、1965年6月4日に"Heart Full of Soul"の
シングルを発売し、ここでインド音楽の要素とシタールをロックに取り入れます。

The Yardbirds - Heart Full of Soul (1965) [Raga Rock]


その約1ヶ月半後の1965年7月30日には当時のイギリス4大バンドの
1つに数えられるThe Kinksもインド音楽への明確な接近を見せます。

この"See My Friends"ではシタールそのものは使っていませんが、
ギターのサウンドは明確にシタールを模したものとなっており、
曲全体のインド音楽への接近は先のThe Yardbirds以上のものとなっています。

The Kinks - See My Friends (1965) [Raga Rock]


このダラーンとした酩酊感にあふれるヴォーカルは音楽性だけで言えば、
もはやサイケデリックロックそのものと言っていいものとなっています。

ただこの時点では「LSDの酩酊感を表現しよう」とは考えられていなかったと見られることから、
それゆえジャンル形成のうえでは「サイケデリックロックが作られる過程」に位置付けられます。

こうしたインド音楽を取り入れたロックは「ラーガロック」とも呼ばれます。
おおむねサイケデリックロックのサブジャンルとしてとらえていいでしょう。

そしてこの2つのバンドに続けてシタールを取り入れたのがThe Beatlesです。

The Beatlesは1965年12月3日リリースのアルバム"Rubber Soul"の収録曲である
"Norwegian Wood (This Bird Has Flown)"でシタールを取り入れます。

"Rubber Soul"はThe Beatlesがフォークロックに接近した作品としても知られており、
この曲は「シンプルなフォークにシタールを取り入れた」というスタイルになっていて、
結果的にサイケデリックフォークの先駆けという位置付けにもなりました。

The Beatles - Norwegian Wood (This Bird Has Flown) (1965) [Raga Rock / Folk]


このようにして、外国の民族音楽が徐々にロックへと取り入れられ、
これが新しいロックのスタイルが作られていく土台となりました。

◎ここまでのサイケデリックロック形成の年表


1965.6.4 The Yardbirds - Heart Full of Soul (Single)
1965.7.30 The Kinks - See My Friends (Single)
1965.12.3 The Beatles - Norwegian Wood (This Bird Has Flown) (Album "Rubber Soul")


この「サイケデリックロックができるまで」シリーズでは、
このように最後に細かな年表をつけていくことにします。

というのも、サイケデリックロックの形成は複雑であると同時に
時系列が細かいため、年表がないと理解がかなり難しいのです。

また、その記事で新たに登場した話題の部分は赤文字で記しています。

ということで、第1回ではロックのインド音楽への接近を紹介しました。

【関連記事】
サイケデリックロックができるまで 番外編
サイケデリックロックができるまで 第7回
サイケデリックロックができるまで 第6回
サイケデリックロックができるまで 第5回
サイケデリックロックができるまで 第4回
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テーマ : 洋楽ロック | ジャンル : 音楽

コメント

 
かーとさま
サイケデリックロックですね。実は昔、サイケというとごく限られたジャンルと大きな勘違いしてたんですが、これがすごい広範なジャンル、いろんな派生ジャンルがありロックの中では大樹のような存在というのはだいぶ後から知ったんですよ。

調べるのに英語圏の音楽サイトなども調査してるんですね。それが歌詞和訳におおいに役立ってることと思います。

サイケ以前のロックというとロックンロールになるんでしょうか?ビートルズがプレスリーからすごい影響を受けたという話は有名ですが今回紹介の代表曲を耳にしてもそれ以前とずいぶん飛躍してるのを感じます。ほんとに革新的ですね。

最初のヤードバーズ、実はギターを少しかじったものとしてジェフベックが一番お気に入りのミュージシャンなんですよ。ところが私も実はヤードバーズ自体は少ししか聞いたことがありません。この曲はポップ調であるにもかかわらずシタールを使っているのはちょっと驚きで新鮮ですね。
次のキンクスは曲調自体がインドを連想させますね。キンクスもへ~こんな曲をやってたんだという意外な気持ちになります。
で、ビートルズですね。これは有名ですね。シタールのアクセントがきいてますね。ところでラバーソウルの次のアルバム、リボルバーは中学の時買って、よく聞きました。このなかのLove You Toは完全にインド音楽ですよね。ジョンレノンはここまでどっぷりのは気がすすまなかったらしいですが、ジョージハリスンのインドへの傾倒はすごかったですね。シタールはちょっと私も興味があってシャンカールの演奏はたまに耳にしてます。

実はイギリスにも何度か仕事でいってたんですが地方でもインド系の人が多くいてそこらにインド料理屋が結構あるんですよ。インドの音楽は小さいころから聞きなれていた背景があるのでしょうね。


年表があると分かりやすいですね。サイケデリックロックは短期間でいろんな革新的バンドがでてきましたし複雑ですし、また次回を期待しております。
とら次郎のとうちゃんさん、こんばんは!

自分も最初の頃はサイケがそこまで大きなジャンルだと思ってなかったのですよね!

それが調べていくと、あまりにも多岐に渡っていてバンドも数多く、
ロック史上最大のムーブメントだったと理解して驚きましたね!

60年代後期はほとんどのバンドがサイケ化していましたからね!(●・ω・)

英語圏の音楽サイトを見るのはもはや日常の風景になってますね!

自分はどうしてもマイナーなバンドを聴くことも多いですし、
そうすると日本の音楽サイトだと全然情報が足りないのですよ!

なのでいつの頃からか自然と英語圏のサイトばかり見るようになりましたね!

サイケ以前というと、ざっくり言ってしまうと
ブリティッシュ・インベイジョンとフォークとフォークロックの時代という印象ですね!

まだ様々なバンドが素直なロックをやっていた頃ですね!
たとえばビートルズなら1stから"Help!"あたりまでが当てはまる感じですかね!

ビートルズは"Rubber Soul"からの進歩がものすごいのですよね!
1曲1曲の持つ厚みがこのあたりで一気に変わってきた印象がありますね!

それ以前の「素直にいい」という感じの曲とは変わってきてますよね!

そういえばジェフ・ベックはサイケ期ヤードバーズに深く関わっているので、
実は一般的なイメージとは異なりサイケとも関係が深いギタリストですよね!

たぶんヤードバーズって、どういう立ち位置で聴くべきか迷いやすいのでしょうね!

あまり「Led Zeppelinの前身」というようなことは意識せずに、
シンプルに60年代中期から後期を彩ったバンドと考えたほうが
受け入れやすいような印象はありますね!

The Kinksは日本では初期の2曲("You Really Got Me"など)に偏っている印象ですが、
60年代中期から様々な音楽的な試みをしていて、
60年代後期頃がバンドのクリエイティブの頂点だったのですよね!

いずれはThe Kinksに注目した記事も書きたいと思っています!

>リボルバーは中学の時買って、よく聞きました。
>このなかのLove You Toは完全にインド音楽ですよね。

あぁっ、第2回の記事の話題が!笑

そうなんですよ、サイケの歴史をたどるうえで、
"Revolver"はものすごく重要なアルバムなのですよね!

そして"Love You To"などのジョージ・ハリスンのモロなインド音楽が
サイケデリックムーブメントに果たした役割は非常に大きいと思っています!

あれだけ思い切ってインド音楽に振り切ってしまえば、
「ここまでやってもいいんだ」と他のバンドも思えるでしょうし、
それが様々なバンドの創造性を助けたと思うのですよね!

それでは、今回も温かいコメントをありがとうございました!(゚x/)

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