パンクロックができるまで 第2回

さて、「パンクロックができるまで」の第2回記事がやってきました。

前回記事ではMC5やThe Stoogesなどのストレートなガレージロック、
70年代前半のグラムロックがパンクに与えた影響を見てきました。

そしてパンクロックの成立において欠かすことができないのが、
ニューヨークのアンダーグラウンドシーンにおける動きです。

ニューヨークの地下シーンはThe Velvet Undergroundをはじめとして、
実験的で先鋭的な音楽の確立につねに大きな寄与をしてきました。

パンクロックもまたこのニューヨークシーンから生まれたのです。

その中でも最重要とも言えるバンドがNew York Dollsです。

まずは彼らの代表曲である"Personality Crisis"を聴いてもらいましょう。

New York Dolls - Personality Crisis (1973) [Proto-Punk / Glam Punk]


もうすでにパンクのエッセンスが凝縮されていることが伝わるかと思います。

ストレートでラウドで攻撃的、でもガレージロックとは少し異なり、
感覚的にはすでに後のパンクロックに繋がる部分がかなり大きいです。

しかもこの曲が登場したのはパンクロックが成立したとされる1976年の3年前、
The Stoogesの"Raw Power"のアルバムと同時期にあたるわけですね。

さて、ここで少し注目してもらいたいのが彼らの衣装です。
この派手な衣装はパンクではなく、明らかにまだグラムロックの流れです。

またピアノの使われ方に着目すると、これもまたグラムの流れにあります。

すなわち彼らは全く新しいスタイルのものを創造したというよりは、
グラムロックの流れからよりストレートな音楽性を作り出したと言えます。

なので、ここからパンクそのものに至るにはもう一段必要になるのですね。

しかしそうでありながらも、このNew York Dollsにはもう一つ大きな注目点があり、
それがこのバンドのマネージャーを務めていたマルコム・マクラーレンが
後にロンドンへと渡りSex Pistolsの結成へと動いたということです。

すなわち、New York Dollsの音楽性はピストルズなどの
ロンドンパンクの直接的な始祖と言ってもいいわけですね。

そしてついに1976年、同じくニューヨークシーンから画期的なバンドが登場します。
それが最初のパンクバンドと呼ばれることになるRamonesです。

Ramones - Blitzkrieg Bop (1976) [Punk Rock]


これはもうどこからどう見てもパンクロックそのものと言えます。

ただRamonesが最初に目指したのは
「ストレートで攻撃的」なサウンドとは少し異なります。

ミュージックビデオではかなり攻撃的な演奏となっていますが、
アルバムでは他のパンクバンドに比べると演奏は比較的優しいのです。

むしろ彼らが最も志向したのは「極限まで単純化させたロック」です。

70年代はプログレッシブロックを筆頭にロックの複雑化が進んでおり、
それに対するある種のアンチテーゼとしてのロックのミニマル化、
それを目指して実現したのがRamonesだったと言えるのですね。

さて、こうしたニューヨークシーンにおける
RamonesやNew York Dollsのサウンドがロンドンへと渡って
重要なバンドが生まれます。

それがあのSex Pistolsですね。

Sex Pistolsはまさにパンクのイメージを体現しきったバンドです。

ストレートでシンプルで攻撃的、そして社会的なメッセージも強く内包している。
RamonesやNew York Dollsが作り出したものをさらに一段高めたとも言えます。

こうした社会的なメッセージ性は先に触れたMC5などを受け継いでいるとも言えますね。

Sex Pistols - God Save the Queen (1977) [Punk Rock]


ニューヨークパンクは地下シーンでの注目にとどまったところがありましたが、
このSex Pistolsはイギリスにおいて商業的な成功を得ることになりました。

そしてSex Pistolsの影響を受けてイギリスでパンクバンドが増えていき、
イギリスの音楽シーンを席巻することになる・・・はおおむね正しいのですが、
そこに繋がるには実はまだパズルのピースが一つ足りないのです。

イギリスでパンクロックが一気に広がった背景にはもう一つの理由があるのです。

最終回となる第3回では、イギリスのシーンが持っていたその個性を見ていきます。

【関連記事】
パンクロックができるまで 第3回
パンクロックができるまで 第2回
パンクロックができるまで 第1回

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テーマ : 洋楽ロック | ジャンル : 音楽

コメント

 
かーとさま
今回はニューヨークでの70年代のパンクムーブメントですね。

New York Dolls 、これ、見た目がほんとグラムロックですね、ニューヨークでこんな動きがあったとはビックリです。この楽曲、出だしから個人的にはRストーンズをワイルドにした印象に感じますね。なかなか面白いです。
2つめのRamones、この単調な繰り返しまさにパンクそのもですね。一発でそう感じます。
ニューヨークではパンクはアンダーグランド的存在というのはその都市の特徴でしょうか。ミュージカルやジャズは世界的に有名な都市というイメージはありますが、ロックというのはあまり聞きませんね。
しかしそれがイギリスのパンクに繋がり花開くんですね。ピストルズは少しは耳にしたことがありますが、楽曲、雰囲気まさにパンクの完成された姿という感じですね。

パンクはほとんどまともに聞いてなかったんですがこうして耳にすると結構面白いですね。さてもう一つパズルのピースが一つ足りないとのこと、次回楽しみしてます。
とら次郎のとうちゃんさん、こんばんは!

New York Dollsのビジュアルは完全にグラムロックですよね!

メンバーも普通にグラムロックをやってるつもりだったのかもしれないですね!
それが結果的に新しいサウンドになったということだったのかもしれませんね!

そういうことって、けっこうロックの歴史ではよくありますからね!(●・ω・)

たしかに言われてみれば、The Rolling Stonesっぽいところはありますね!
60年代のストーンズをよりストレートにしたような雰囲気はありますね!

Ramonesはまさに「シンプルなロックとしてのパンク」を体現していますね!
「いかにシンプルなのに格好いいロックを作れるか」を目指した感じがします!

ロックの歴史を眺めてみると、ニューヨークって
前衛的で実験的なロックの発信基地になってきていたのですよね!

60年代から80年代にかけてずっとそうした傾向があったので、
何かロックの前衛性を競争するかのようなムードが
ニューヨークのアンダーグラウンドで息づいていたのでしょうね!

ニューヨークではあくまで「地下シーンでの実験的な音楽」
としてしかとらえられていなかったこともあって、
これといった商業的な成功はなかったのですが、
New York Dollsのマネージャーだったマルコム・マクラーレンが
イギリスに渡ったことで大きなムーブメントへと繋がりましたね!

彼が実験性を全面的に押し出すニューヨークパンクとは異なったスタイルを
Sex Pistolsに持たせたことも非常に大きかったと思いますね!(=゚ω゚)

ではでは、コメントありがとうございました!(゚x/)

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