Blind Melon - No Rain 歌詞和訳

今回は90年代のオルタナティブロックバンドBlind Melonの
最大の代表曲である"No Rain"の和訳をしてみました。

本当は別の曲の和訳をする予定になっていたのですが、
ふとこの曲に気が向いたのでそちらを先に済ませました。

Blind Melonというバンドはものすごく有名というほどではないのですが、
この"No Rain"は非常に知られているため、和訳をしている人も多いです。

でもって、他の方もおおむねきちんとした和訳をされているので、
あえて私が和訳をする特別な意義というのはそれほどないのですが、
単に自分の気が向いたのでこの曲の和訳をすることにしました。

実はこの曲の和訳はブログとは別に以前にしたことがあるのですね。
そのため今回の和訳は非常にすんなりと1時間ぐらいで終わりました。

文法事項なども全部把握していたので特に迷う箇所はなかったですね。
曲が何を意図しているのかということもあらかじめ知っていましたしね。

◎Blind Melonというバンド


Blind Melon - No Rain シングルジャケット

Blind Melonというバンドは90年代の中でも珍しい立ち位置にあります。

実はNirvanaやAlice in Chainsと同じくグランジにもカテゴライズされますが、
一般的なグランジバンドとはその音楽的なルーツが全く異なるのですね。

パンクの影響が非常に薄く、Grateful DeadやLynyrd Skynyrdのような
レトロでおおらかなサウンドを持ったバンドからの影響が非常に顕著です。

そのため、「90年代型アメリカンロックの一つの形」と考えるほうが近いです。

そうしたサウンドはアメリカン・トラッド・ロックと呼ばれるのですが、
Blind Melonはその中でとらえても、微妙に異質な立ち位置になるのですね。

Blind Melonのサウンドはたしかに60年代後半から70年代前半を思わせる
レトロな感覚がありますが、同時にファンクのグルーヴを取り込んだり、
他のアメリカントラッド系にはない独特の陰りを持ってもいます。

この「独特の陰り」がグランジとも呼ばれる理由なのでしょうが、
この「一筋縄ではいかない90年代型アメリカンロック」であるのが、
Blind Melonの「レトロなのに実験的」な凄さを表してもいます。

このBlind MelonはGuns N' Roses経由で知ったという人も多いでしょう。
GN'Rのアクセル・ローズのお気に入りで、GN'Rの一部の曲に参加もしましたし。

ただ音楽性はGuns N' Rosesとはかなり違ったタイプではあるのですよね。

そうしたこともあって、Blind Melonは自分達の音楽を
素直に受け取ってもらうのに苦労したという印象がありますね。

ですが、最終的には1stアルバムがアメリカで400万枚を超えるなど、
十分なセールスを収めることに成功したわけでもありますが。

また、Blind Melonは60年代ヒッピームーブメントの立役者の一つであった
Grateful Deadの影響を非常に強く受けていることもあって、
「ネオヒッピーバンド」というふうにとらえられることもありました。

たしかに「90年代におけるGrateful Dead」と言えなくもないですからね。

それでは、まずは"No Rain"の歌詞対訳を素直に読んでいただきましょう。

Blind Melon - No Rain (1992)
[Alternative Rock / American Trad Rock / Grunge]


Blind Melon - No Rain 歌詞和訳



All I can say is that my life is pretty plain
僕に言えることなんて、僕の人生はひどく平坦だってことぐらい
I like watching the puddles gather rain
僕が好きなのは水たまりに雨がたまっていくのを見ていることぐらい
And all I can do is just pour some tea for two
そして僕にできることなんて、二人分のお茶を入れて
And speak my point of view
僕が何を考えているかを話すことぐらい
But it's not sane
でも、自分の考えがおかしいってことぐらいわかってるよ
It's not sane
おかしいってことぐらい

I just want someone to say to me
僕はただ誰かにこう言ってほしいだけなんだ
"I'll always be there when you wake"
「君が起きている間はずっとそばにいてあげるよ」って
You know I'd like to keep my cheeks dry today
わかるよね、今日は頬を涙で濡らさずにいたいんだ
So stay with me and I'll have it made
だからそばにいておくれ、そしたら涙を流さずにいられると思うから

And I don't understand why I sleep all day
なんで僕が一日中眠っているかなんて、自分でもわからない
And I start to complain that there's no rain
そしたら今度は「雨が降らない」って僕は文句を言い出すんだ
And all I can do is read a book to stay awake
僕のしてることなんて、ただ起きているために本を読むことぐらい
And it rips my life away
そんなことをしてたら人生が壊れるのはわかってるんだけどね
But it's a great escape
でも、それが僕にとってはかけがえのない現実からの逃避なんだ
Escape
逃避なんだ
Escape
逃避なんだ
Escape
逃避なんだ

All I can say is that my life is pretty plain
僕に言えることなんて、僕の人生には何もないってことぐらい
You don't like my point of view
君だって僕の考え方を好きになんてなれないのはわかってるよ
You think that I'm insane
君だって僕の考え方はおかしいって思うだろう?
It's not sane
おかしいって
It's not sane
おかしいって

I just want someone to say to me
僕はただ誰かにこう言ってほしいだけなんだ
"I'll always be there when you wake"
「君が起きている間はずっとそばにいてあげるよ」って
You know I'd like to keep my cheeks dry today
わかるよね、今日は頬を涙で濡らさずにいたいんだ
So stay with me and I'll have it made
だからそばにいておくれ、そうしたら涙を流さずにいられると思うから

◎Blind Melon “No Rain”の歌詞和訳の解説


この曲の意味は和訳を読んでいただければほぼ完全に伝わると思います。

社会から隔絶してしまった存在の人が、
そうであるがゆえの悲哀を語っている歌ですね。

精神的な病気から社会に適応できなくなってしまった人、
肉体的な病気によって社会に出ることができなくなった人、
不登校になって家で過ごすことしかできなくなった学生、
その他にも様々な理由で家から出られない生活になった人、
そういう立場の視点で書かれた曲であると言えるでしょう。

このような立場の人を馬鹿にするのは非常に簡単です。

「何を泣き言を言ってるんだ。自分の努力不足だろ。」と、
この曲の和訳を見てそう言いたくなる人もいるでしょう。

ただこの曲の和訳を見て少しでも感じ取ってほしいのは、
社会から隔絶されてしまった人もまたそのことにひどく悩んでいて、
毎日涙を流さざるをえないぐらいに辛い思いをしているのですね。

決して社会に出ない生活を満喫しているわけではないのです。

そして人間は一度社会に出ない状態に陥ってしまうと、
肉体的にも精神的にもそこから離脱するのが非常に困難になります。

多くの人が思う以上に、こうした立場の人達は袋小路に陥っているのですね。

そんな方々が感じている辛さを表現できるように和訳していきました。

MVは一見すると曲のテーマとは関係ないように見えますが、
蜂の少女は「一般社会から笑いものにされて排除された存在」です。

その少女が最後には自分達の仲間と出会い、居場所を見つけるのですね。

これはもしかすると、社会から隔絶されている人達に向けた
「笑いものにされている立場であっても、同じ気持ちの人達は必ずいるし、
そうした人同士の居場所はある」というメッセージなのかもしれません。

◎文法事項の解説


まずこの曲で頻出するのが
All I can say のような表現です。

これは All (that) I can say のように関係代名詞 that が省略されたもので、
「僕が言えることの全て」という意味になります。

>All I can say is that my life is pretty plain

この文はその"All I can say"が主語で、
補語がthat節(~であること)に導かれた名詞節になっています。

>watching the puddles gather rain

これは原形不定詞の表現ですね。
実は watch も原形不定詞を取ることができます。

watch O(目的語)+動詞の原形 の形で、
「Oが~するのを見る」という意味になります。

すなわち、puddle(水たまり)がgather rain(雨を集める)のをwatch(見る)のですね。

>I just want someone to say to me

ここも第5文型の表現ですね。
この曲は第5文型がけっこう頻繁に使われています。

V+O+to不定詞 の形で「Oが~するのをVする」となります。
すなわちこの文では「誰かが自分に言ってくれるのをwantする」となります。

>I'd like to keep my cheeks dry today

さぁ、この曲の最も鍵となる部分です。
I'd like to は「~したい」だから別にいいでしょう。

肝となるのは keep my cheeks dry です。
これはもう典型的な第5文型ですね。

my cheeks=dry な状態にkeepしたいという意味です。

直訳すると「頬を乾いた状態に保っておきたい」なのですが、
これは要するに「頬を涙で濡らしたくない」の婉曲表現ですね。

>So stay with me and I'll have it made

そしてこの曲の文法事項の最難関箇所がここになります。

まずは命令文+andで「~してくれ、そうすれば」という意味になります。

むしろ鍵は後半の I'll have it made です。
これももちろん第5文型となっています。

しかも have も made も使役ですから解釈が難しいのです。
it made は「it をそうさせる」という強い使役の意味になります。

これはどういうことかと言うと、「it(=自分の頬)をdryな状態にさせる」です。
要するに前文の繰り返しみたいになっているのですね。

そして have は緩い使役で「そうしてもらう」ぐらいの意味です。
I'll には「そうなると思う」という意思の意味が込められています。

なので、結局は「僕は自分の頬を涙で濡らさずにしてもらえると思う」みたいな感じです。

このシンプルな I'll have it made にはそこまで込められているのですね。
使役だらけの第5文型ですから、英語の勉強にも役立つと思います。

文法事項についてはこれぐらいですかね。

極端にひねった表現はないのですが、第5文型が多用されており、
それに慣れていないと訳に困りやすい曲ではあるでしょうね。

◎まとめ


社会から隔絶された人は社会から無視されがちですし、
むしろしばしば多くの人から軽蔑の目すらも向けられます。

中には何らかの歯車が狂ってそうした状態に陥る人もいるため、
同情の感情すら持ってもらえないということが少なくありません。

そうした立場にあえて立ったうえでその人達が抱える悲しさや辛さを書く、
このようなスタンスはまさに90年代のバンドらしいと言えるでしょう。

この「目を向けられにくい弱者にも手を差し伸べる」というのは、
90年代のバンドが自然と身に着けているものでもありましたからね。

きっとこの曲は同じ境遇にある人達に対して、
「あぁ、自分も同じような気持ちで過ごしているよ。
そういう人が自分以外にもいるんだな」
とそう思わせ、勇気を与えることになると思います。

それでは、Blind Melonの"No Rain"の歌詞対訳をお送りしました。

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Alice in Chains - Down in a Hole 歌詞和訳

近況報告以外のブログ記事復活の第1弾は歌詞対訳コーナーにしました。

というのも、ブログを再開するにあたっては、
どうしてもこの"Down in a Hole"という曲の和訳から始めたかったのですよね。

もともと歌詞対訳コーナーの次の更新予定は別の曲だったのですが、
自分の生活に大きな変化があったことからこの曲が頭に浮かんできて、
「この曲の和訳をきっかけにして再開しよう」と考えたのですよね。

今回の"Down in a Hole"はAlice in Chainsというバンドの曲ですが、
前回紹介したNirvanaと同じく、90年代のグランジシーンで活躍したバンドです。

簡単に言えば、ダークでシリアスな世界観を持ったバンドですね。

自分はそうした世界観を持ったバンドが特に好きということもあって、
Alice in Chainsの曲の和訳はこのコーナーでも取り上げたいと思っていました。

もともとは別の曲を最初に取り上げる予定だったのですが、
今回はどうしてもこの曲がいいということで予定を変更しました。

歌詞の意味については一部の箇所を除いておおむね読みやすいので、
まずは楽曲のリンクを貼りつつ、歌詞の和訳をそのまま書いていきます。

Alice in Chains - Down in a Hole (1992) [Grunge]


Alice in Chains - Down in a Hole lyrics 歌詞和訳



Bury me softly in this womb
僕が生まれたところへとそっと葬っておくれ
I give this part of me for you
僕の一部を君へと捧げるよ
Sand rains down and here I sit
砂が降り注いで、僕は埋められていく
Holding rare flowers
In a tomb... in bloom
そこにしかない咲き誇る花を抱きながら、墓となる穴の中で

Down in a hole and I don't know if I can be saved
穴の中で生気を失い、救われることができるかすらもわからない
See my heart, I decorate it like a grave
僕の心を見ておくれ、墓のように彩ったこの心を
You don't understand who they thought I was supposed to be
君は知らない、皆が僕をどんな存在と思っていたかを
Look at me now I'm a man who won't let himself be
でも今の僕を見ておくれ、僕はもう自分自身であることすらできない存在なんだ

Down in a hole, feeling so small
穴の中で生気を失い、縮こまるような思いで
Down in a hole, losing my soul
穴の中で生気を失い、魂も消え失せそうで
I'd like to fly
ここから飛び立ちたい
But my wings have been so denied
でも僕の翼はとうに消えてしまっているんだ

Down in a hole and they've put all the stones in their place
穴に落ちて生気も失い、皆がそこにたくさんの石を並べていった
I've eaten the Sun so my tongue has been burned of the taste
太陽を食らってしまったがゆえに、僕の舌はもう焼け落ちてしまってるんだ
I have been guilty of kicking myself in the teeth
そして自らの歯を蹴り飛ばして崩した罪も背負ってる
I will speak no more of my feelings beneath
だからもう僕は地中深くで自分の思いを口にすることすらできないんだ

Down in a hole, feeling so small
穴の中で生気を失い、縮こまるような思いで
Down in a hole, losing my soul
穴の中で生気を失い、魂も消え失せそうで
I'd like to fly
ここから飛び立ちたい
But my wings have been so denied
でも僕の翼はとうに消えてしまっているんだ

Bury me softly in this womb
僕が生まれたところへとそっと葬っておくれ
(Oh I want to be inside of you)
(ああ、僕を君と一体の存在にさせておくれ)
I give this part of me for you
僕の一部を君のために捧げるよ
(Oh I want to be inside of you)
(ああ、僕を君と一体の存在にさせておくれ)
Sand rains down and here I sit
砂が降り注いで、僕は埋められていく
(Oh I want to be inside of you)
(ああ、僕を君と一体の存在にさせておくれ)
Holding rare flowers in a tomb... in bloom
そこにしかない咲き誇る花を抱きながら、墓となる穴の中で
(Oh I want to be inside)
(ああ、僕を君と一体の存在に)

Down in a hole, feeling so small
穴の中で生気を失い、縮こまるような思いで
Down in a hole, losing my soul
穴の中で生気を失い、魂も消え失せそうで
Down in a hole, feeling so small
穴の中で生気を失い、縮こまるような思いで
Down in a hole, out of control
穴の中で生気を失い、動くことすらできなくなって

I'd like to fly
ここから飛び立ちたい
But my wings have been so denied
でも僕の翼はとうに消えてしまっているんだ

◎Alice in Chains “Down in a Hole”の歌詞和訳の解説


この曲の大まかな意味は和訳を読むだけでおおよそ伝わるとは思います。

これは「死にゆく存在が、残された大切な人に向けて思いを伝えている曲」ですね。

すなわち、今にも命が失われそうな、あるいは命を失った存在の立場から、
その残された命や魂を通じて残された人へとメッセージを伝えているわけです。

とはいえ、この曲を聴く多くの人はまだ命が残された存在ですから、
この曲は「命が失われそうな人」が自らの立場から感情移入する曲というよりは、
大切な存在(人でも動物でも)を失った、あるいは失いそうになっている人が
「あの子は自分にどんな思いを抱きながら旅立ったのだろう」と考え、
そこに思いを巡らすことに対して寄り添う曲と言ったほうがより適切でしょう。

だから大切な人でも、ペットという家族でも、それを失って間もない人にとって
その心に寄り添ってくれる、救いを与えてくれる曲ということができるでしょう。

私がこの曲の歌詞で最も好きな箇所は、
>Oh I want to be inside of you
なのですよね。

命が失われ、肉体も消えそうになっている存在が、残された人に対して、
「僕はもう命は失われるけど、魂として君の中で一体となって生きたいんだ」
という願いを言葉にしているのですね。

自分はいつもこの箇所を聴くたび、胸がギュッと締め付けられるような思いになります。

ただ、実はこの曲は作者であるAlice in Chainsのジェリー・カントレルによると、
もともとは彼自身のかなり長い間恋愛関係にあった女性との別れがテーマだったそうです。

とはいえ、この曲をストレートに恋愛と別れの歌詞として読むのは難しく、
おそらくはその別れを死にたとえて、別れ行く自分=死にゆく自分の立場から、
大切な相手へのメッセージを送るという歌詞として組み立てたのでしょう。

なので、やはり全体としては「死にゆく存在から残された人へのメッセージ」
として書かれているのは間違いなく、あえてそこまで抽象化していることを考えても、
ジェリー・カントレルの恋愛と別れの話はあくまでこの曲の裏話として受け取り、
歌詞は「死にゆく存在から残された人へのメッセージ」として読めばいいでしょう。

今回の和訳では、いつものように「俺」と「おまえ」という表現を使わず、
「僕」と「君」という表現にしたことも一つの特徴になっています。

これは「自分にとって大切な死にゆく存在」が動物でも女性でも、
自分の中で感情移入しやすくするには「俺」とするよりも、
「僕」としてほうが受け入れられやすいだろうと感じたためです。

「俺」だと、どうしても「人間の男性」のイメージが強すぎますからね。

言葉遣いを普段よりやわらかめにしたのもそのあたりが理由です。

◎文法事項の解説


この曲はなかなか文法的にも厄介なところも多く、
ちょっと悩ませられる言葉のチョイスも多いのですよね。

なので、いくつか迷ってしまったところもありますが、
数行を続けて眺めて読むと意味がわかることもあるなど、
なかなかクセのある表現が多用されているといった印象です。

>Bury me softly in this womb

まずここ、文法事項としては簡単なのですが、
なぜいきなりwomb(子宮)が出るのかに迷いました。

この箇所は基本的に埋葬が描写されている部分ですから、
womb(子宮)はちょっと違和感があるのですよね。

でもこれは「死によって、自分を生まれたところ(=子宮)へと帰してほしい」
というメッセージととらえると、なるほどと思えるのですよね。

そう考えると、womb(子宮)という言葉を選んだことにセンスを感じますね。

>Sand rains down and here I sit

このrainは「雨が降る」という動詞と見ていいでしょう。
すなわち、「砂が雨のように降り注いだ」ということですね。

もちろんこれは命を亡くした者を穴に埋めて砂をかける描写ですね。

>Down in a hole and I don't know if I can be saved

実はこの曲の最も難しいところはdownの解釈かもしれません。

シンプルに「穴に落ちて」と考えてもいいでしょうけども、
もうすでに墓の穴の中には入っている状況とも読めるので、
「その穴の中でdownな状態」と考えるほうがいいのではと、
それで「穴の中で生気を失い」という訳を採用しました。

I don't know if I can be saved の if は「~かどうか」の意味の
名詞節を導く接続詞であると判断すればいいでしょうね。

>You don't understand who they thought I was supposed to be
>君は知らない、皆が僕をどんな存在と思っていたかを
>Look at me now I'm a man who won't let himself be
>でも今の僕を見ておくれ、僕はもう自分自身であることすらできない存在なんだ

ここは今回の訳で特に迷った部分の一つですね。
2つ目の文についてはそこまで難しくはないのですが。

1つ目の文でまず鍵になるのは who の存在ですよね。

先行詞の the man が省略された関係代名詞としてとらえるか、
疑問詞 who に導かれた節としてとらえるかがまず問題になりますが、
前者だと意味が通らないので、これは後者だと考えられます。

そして who 節を眺めると、この who は supposed to be の目的語、
すなわち [they thought I was supposed to be whom] のように考えて、
訳していくべきということになるでしょう。

しかしこうなると supposed to be をどうとらえるかが厄介なのですよね。
supposed to be って、けっこういろんな解釈の仕方がありますからね。

特にこの一文だけを見ると、意図を読むのが非常に難しいのです。

でも次の文を見ると、2文目が「今の自分」を表していて、
1文目が「過去の自分」(生きていた頃の自分)を指しているとわかります。

そのあたりを考慮して、supposed to be はあまり深く考えずシンプルに訳しました。

2文目は let himself be が鍵になりますが、
これは「自分自身のままでいる」というふうに解釈できますね。

let ○○ be の解釈は日本人には慣れないところがありますが、
この曲の場合はけっこうわかりやすい感じで使われていると言えますね。

>I've eaten the Sun so my tongue has been burned of the taste
>I have been guilty of kicking myself in the teeth
>I will speak no more of my feelings beneath

急に解釈が難解な表現が登場する、この曲で最も訳しにくい箇所です。

これは1文ずつ解釈するより、最後の文に着目したうえで、
トータルとして何が言いたいのかを読み取るのがいいでしょう。

この3つの文、よく見ると全部「口」にフォーカスを当てているのですよね。

1文目は「舌」、2文目は「歯」、3文目は「口が発する言葉」です。

すなわち、この3文の趣旨は「もう自分は命が失われて、
舌も歯を含めて口がボロボロになってしまっていて、
そうであるがゆえに言葉を伝えることもできない」
というところにあると読み取ることができるでしょう。

そうすると、1文目の eat the Sun や、2文目の kicking myself in the teeth などの箇所は、
本当に「太陽を食べた」とか「自分の歯を蹴り飛ばした」わけではなくて、
舌や歯がボロボロであることを示すための比喩的な表現だと読めます。

eat the Sun にはあまり使われない熟語表現として、
「ドラッグの大量摂取」という意味があるそうですが、
「舌が焼けた」などの表現も見るにそれとは関係はなさそうです。

be guilty は feel guilty の「罪悪感を感じている」とは異なり、
「実際に罪を負っている」という意味になるので、そちらを採用しました。

kick ○○ in the △△ は「○○の△△を蹴った」という意味です。
こうした表現は英語圏の人はけっこうよく使うのですよね。

kick 以外にも slap me in the face みたいに書くと、
「俺の顔をはたいた」という意味になります。

>I will speak no more of my feelings beneath

ここは beneath の訳にちょっと迷ったのですが、
beneath はあくまで高低の「低い」という意味のみで、
精神的な意味での「低い」は意味しないようなので、
「穴の中で感じている思い」みたいに考えました。

◎まとめ


Alice in Chainsの曲はもっとヘヴィでドロドロしたものが多いのですが、
この曲は彼らの中では比較的しっとりとして聴きやすいですし、
曲のテーマ性もけっこう広く受け入れられやすいとは思うのですよね。

どんな人間でも大切な存在を失うときというのはやってきますし、
そのことについて思いを馳せるときというのは必ずありますからね。

そういうときに支えになってくれる曲があるというのはありがたいことだとも思いますし。

最後にこの曲のアンプラグドライブバージョンも貼っておきます。

アコースティックのみで演奏しているのでより聴きやすいですし、
セットが葬式を模していることもあって、雰囲気がよく合っているのですよね。

この曲の持っている良さがより伝わりやすいのではないかとも思います。

Alice in Chains - Down in a Hole (MTV Unplugged) (1996) [Grunge]

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Nirvana - Come As You Are 歌詞和訳

この洋楽ロックの歌詞対訳コーナーを始めて以来、
ずっと「いずれNirvanaの歌詞対訳をしたい」と言っていましたが、
やっと第4回記事である今回になってNirvanaの和訳に挑戦しました。

自分がずっと和訳をしたいと思っていたNirvanaの曲が
この"Come As You Are"で、ただ自分の和訳の解釈が正しいと言えるのか、
という点に多少の不安がありましたが、当時のカート・コバーンなどの発言から、
適切な解釈ができそうだとの確信に至り、Nirvanaの和訳第1弾に選びました。

◎カート・コバーンの人となり


「Nirvanaの歌詞対訳をしたい」と思っていた最大の理由は、
日本においてNirvanaのソングライターでありフロントマンであった
カート・コバーンの人となりへの理解があまりに誤解に満ちていると感じていたためです。

英語圏の人達ならリアルタイムにカートの発言を多く聞いていて、
そこからカートの社会的な問題への見解や価値観を理解していたでしょうが、
日本だとそうした情報はどうしても伝わりにくくはなってしまうため、
日本盤のCDについている和訳ぐらいしか情報がないのですよね。

しかし、大抵の場合はCDについてる和訳はひどく雑で、
そこに込められた本当は意図は全然伝わらないのがほとんどです。

しかもカート・コバーンはわざと表面的にわかりにくい歌詞を書いたり、
彼の価値観を理解していないと逆の意味に理解しかねない曲も多いのです。

さらにカートは若くして自殺したこともあって、
変に物語化されて受け止められてしまうことも多く、
生身の彼の生き方や考え方が日本ではあまり伝わってないのですよね。

自分はそのことに対して以前から強い不満を持っていて、
それを変えるためにもカートの人となりや価値観をちゃんと伝えるため、
カートの本来の意図に沿った和訳をしたいと思っていたのです。

日本盤のCDの和訳では、カートは「何だか危ない人」にばかり見えますが、
彼はあえて極端な言葉を使うことがあれど、決してそういう人ではありません。

まずはこの"Come As You Are"の和訳で、多少なりともそれが伝わればと思っています。

◎Nirvana “Come As You Are”の概要


Nirvana - Come As You Areのシングルジャケット

この曲はキーフレーズとなっている
"I don't have a gun"という言葉に関しては、
何を意図しているかはけっこう簡単に読むことができます。

しかし問題はそれ以外の部分の歌詞です。

ひたすら矛盾するような複数の要求が投げかけられるわけですが、
これは以下のように様々な解釈を取ることができます。

(1) カートがその相手に矛盾した複数の要求をしている
(2) その相手が(カート以外の)他人から複数の矛盾した要求をされていることの描写
(3) 複数の選択肢を提示し、それをどのように選ぶか委ねている

この疑問を解くのが、この曲に関するカート・コバーン本人と
アルバム"Nevermind"のプロデューサーをしたブッチ・ヴィグの発言です。

カート・コバーンの発言
>about people, and what they're expected to act like.

「これは人々についてのことで、彼らがどのように振る舞うかを期待されてることについての歌だ」
ということが語られている。

すなわち、「誰もが様々な人間から『こう振る舞え』と要求を投げつけられている」
というテーマが含まれていることがここから読み取れます。

これによって歌詞の大半の部分がどのような意図で書かれているかがわかります。

ブッチ・ヴィグの発言
>I think that song is about acceptance, and about misfits
>You're cool no matter how screwed up you are.
>‘Come As You Are’ is an ode to accepting someone for who they are.

「この歌は『受け入れる』ことについての歌であり、社会に適応できない人についてでもある」
「君がどんなに混乱させられていたとしても問題なんてないんだよ」
「'Come As You Are'はあるがままでいたいとする人を受け入れる歌なんだ」

この2人の発言によって、歌詞の読み取り方のピースはきれいに埋まります。

それをもとにしながら、実際の歌詞対訳へと取りかかっていきましょう。

Nirvana - Come As You Are (1991) [Grunge]


Nirvana - Come As You Are lyrics 歌詞和訳



Come as you are, as you were
今のおまえのままでいろよ いや、昔のおまえへと戻れよ
As I want you to be
とにかく俺が望むように振る舞ってくれ
As a friend, as a friend
友達のように、友達のようになってくれ
As an old enemy
いや、昔からの敵のようになってくれよ

Take your time, hurry up
ゆっくりしろ いや、急げよ
Choice is yours
どうするかはおまえが選べ
Don't be late, take a rest
遅れるな いや、休憩しろよ
As a friend, as an old memoria
友達のようになれ いや、昔の思い出のようになれよ

Memoria
思い出のように
Memoria
思い出のように
Memoria
思い出のように

Come doused in mud, soaked in bleach
泥に浸かって黒くなれ いや、漂白剤に浸かって白くなれよ
As I want you to be
とにかく俺が望むようになれよ
As a trend, as a friend
流行り物のようになれ いや、友達のようになれ
As an old memoria
いや、昔の思い出のようになれよ

Memoria
思い出のように
Memoria
思い出のように
Memoria
思い出のように

And I swear that I don't have a gun
ああ、誓うよ 俺はおまえに何か要求するつもりなんてないよ
No, I don't have a gun
ああ、俺はおまえを責めるつもりなんてない
No, I don't have a gun
そうさ、俺はおまえを責めるつもりなんてないんだ

Memoria
思い出のようになれよ
Memoria
思い出のようになれ
Memoria
思い出のようになれ
Memoria
思い出のようになれ
(No, I don't have a gun)
(気にするな 俺はおまえを責めるつもりなんてないから)

And I swear that I don't have a gun
誓うよ 俺はおまえに何か要求するつもりなんてない
No, I don't have a gun
ああ、俺はおまえを責めるつもりなんてない
No, I don't have a gun
ああ、俺はおまえを責めるつもりなんてない
No, I don't have a gun
ああ、俺はおまえを責めるつもりなんてない
No, I don't have a gun
そうさ、俺はおまえを責めるつもりなんてないんだ

◎Nirvana “Come As You Are”の歌詞和訳の解説


まずこの曲は全体の大きな意味をとらえないといけません。

そのために事前に触れたカート・コバーンとブッチ・ヴィグの発言趣旨をもとに
全体の持つ大きな流れと意味を探っていきましょう。

ヴァースの"Come as ~"と何度も連続して語られている部分は、
「ある人物が多くの他人から様々な要求や期待をぶつけられている」
場面の描写だと解釈することができます。

「今のおまえのままでいろ」、「昔のおまえのようになれ」、
「俺の望むようになれ」などと人によって相反する要求をぶつけられるわけです。

「友達のようになれ」「宿敵のようになれ」もそうですし、
「泥にまみれて黒くなれ」「漂白剤で白くなれ」もそうです。

そしてこうした様々な相反する期待や要求をぶつけられることで、
その人物は疲弊し、社会への適応が難しくなっている状況なわけです。

そこでカートがその人物にこう語りかけるわけです。
「俺は銃なんか持っていないよ(=I don't have a gun)」と。

これはどういうことかと言うと、
「俺はおまえのことを攻撃しようなんて全く考えていない」
ということであり、「俺はおまえを受け止める」という言葉です。

なので、ヴァースとコーラスで場面が切り替わっているのですね。

ヴァースではある人物が他人から要求をぶつけられている場面が書かれ、
コーラスではカートがその人物に対して「受容」の姿勢を示すわけです。

なのでヴァースとコーラスの行間に
「こうしていろんな要求をぶつけられてきたんだろ」
のようなニュアンスが込められていると理解すると読みやすくなるでしょう。

さらにここでタイトルの"Come As You Are"が効いてくるわけです。
「俺はおまえに何も要求する気なんてない。あるがままでいればいい(=come as you are)」と。

カートが言っていた「期待されている人についての歌」という話と、
ブッチ・ヴィグの「そうした人を受け止める歌」という話がきれいに繋がるわけです。

カートは一見すると繋がりが見えにくい歌詞をあえて書きますが、
この曲における大事な2点を踏まえると、一気に解釈がクリアになります。

なので、この曲はカートがNirvanaの中で書いた歌詞の中でも
最も優しさを持ったものであると言ってもいいでしょう。

こうしたカートの側面は日本ではあまり知られてないところですよね。

そしてこの曲の歌詞は、ものすごく90年代らしいとも思わせてくれます。

90年代のミュージシャンは総じて「飾らない」という特徴がありました。
これは派手さや虚飾をアピールしがちだった80年代とは実に対照的です。

そしてこの曲では聴く者に「あるがままでいいんだよ。それを責める気なんてない」
と受け入れる姿勢を示すわけです。

「飾る必要なんてない。そのままでいい。弱くても混乱していてもいい。
俺はそのままで受け入れるよ」と語りかけているわけですね。

そう考えると、まさに90年代的なテーマを内包していることを実感しますね。

◎文法事項の解説


この曲を読むうえで重要になってくるのは、やはりasの扱いでしょう。

asは接続詞として、後ろに文の形(節)を取ることもできるし、
as a friendのようにシンプルに名詞を取ることもできます。

細かいことを言えば前者は接続詞で後者は前置詞だと言えますが、
それよりも「asは文の形も名詞も後ろに取ることができる」と理解するのがいいでしょう。

>Come as you are, as you were

そして和訳が最も難しいと感じられがちなのはこの部分でしょう。

asが「~のように」となるのはいいとして、その後ろが「主語+be動詞」だけなので、
慣れていない人はこれをどう解釈すればいいかを迷ってしまうのですよね。

この場合は時制に合わせて「(そのとき)主語がそうであったように」と考えればいいです。

as you wereと過去形なら「あなたがかつてそうだったように」と考え、
as you areと現在形なら「あなたが今そうであるように」と考えることができます。

この文では現在と過去をあえて並べていることから、
「今のおまえのままでいろ」「昔お前のようになれ」と解釈できます。

しかし、単独でcome as you areと出てくると、解釈に幅が生まれます。

というのも、現在形には「普遍的な変わらないもの」というイメージがあるため、
「今に限定した話」ではなく「本質についての話」という意味も持ちえます。

すなわち、「あるがままのおまえでいればいい」という訳にもなります。

タイトルとしてのcome as you areはこちらでとらえるのが適切でしょう。

そう考えると、この曲ではcome as you areという言葉の2つのニュアンスを上手く使っているわけですね。

>Come doused in mud, soaked in bleach

ここは直訳すると「泥の中に浸かれ、漂白剤に浸かれ」となりますが、
これだけでは何が言いたいのかわからず、単なる怖い言葉に見えます。

でもここの趣旨は「泥(=黒)」と「漂白剤(=白)」との対比にあります。
「黒くなれ」と「白くなれ」という要求が同時に浴びせられるという描写ですね。

>As a trend, as a friend

「なぜここで急に流行り物(=trend)が?」と思われるでしょうが、
これは単にtrendとfriendで韻を踏んだ言葉遊びの類いでしょう。

カート・コバーンは意外とこうした言葉遊びをしますからね。

なので、訳についてはあまり深く考えなくていいでしょう。

◎まとめ


何の予備知識もなしにこの曲の歌詞を見た人は、
「なんだか矛盾した要求をひたすらぶつけてるわ、泥や漂白剤に浸かれとか言ってるわ、
唐突に銃は持ってないと言いだすわ、なんだかよくわからないけど怖い曲だな」
みたいになりがちですが、実際には怖い曲でも何でもないわけですね。

むしろ「俺はおまえがあるがままでいることを受け入れるよ」という受容の歌なのです。

今回のこの"Come As You Are"の和訳を読むことによって、
カート・コバーンの人となりへのイメージが変わった人もいると思います。

カートはしばしば単語だけを見るとギョッとする歌詞を書く人ですが、
そこに込められた意図を読んで理解すると実は深い言葉が多いのです。

今後もNirvanaのそうした歌詞の姿について伝えていきたいと思います。

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テーマ : 洋楽ロック | ジャンル : 音楽

Days of the New - Now 歌詞和訳

洋楽ロックの歌詞対訳コーナーを始めてこれで3記事目となりますが、
この曲は間違いなくこれまでの中では最も検索需要が低いでしょうね;

Days of the Newというバンドは決して全く知名度がないわけではないですが、
90年代のグランジ界隈の中では中堅からややマイナーぐらいの位置付けですし、
ましてや今回の"Now"はシングル曲ではなく、普通のアルバム曲ですからね。

「じゃあなんでそんな曲の和訳を選んだのか」ということになりますが、
これはもう端的にこの曲の歌詞がものすごく好きだからということに尽きます。

それと同時にこの曲の歌詞が自分の心情にものすごくフィットしているというか、
自分の吐き出したいものがこの歌詞の中にピッタリと詰まっているのですよね。

なので、今後のブログの更新方針などについても関わってくるのですが、
その意思表明としてこの歌詞の和訳を選んだと考えてもらえるといいです。

◎Days of the Newというバンドについて


Days of the Newは90年代初期のグランジムーブメントを受けて、
その中でもAlice in Chainsの影響を強く受けて作られたバンドです。

このバンドの最大の特徴はギターがアコースティックのみというところです。

かといって、フォークっぽいかというとそういうことは全くないのですね。

Alice in Chainsのような不気味な世界観をアコースティックギターで表現している、
そしてそれがこのDays of the Newの独自の個性になっていると言えます。

雰囲気を例えるなら「中世ヨーロッパの廃墟」といったところでしょうか。
まるでそういうところでたたずんでるような、「壊れそうな世界」を感じます。

今回の"Now"も収録されているバンドの1stアルバムがリリースされたとき、
バンドのメインソングライター兼ヴォーカルのトラヴィス・ミークスは
なんとまだ18歳の高校生だったというのですよね。

それでこの渋くダークな音楽に、負の感情を絞り出したかのような歌詞を書く、
この時代の申し子とはいえ、ちょっと驚かざるを得ないものはありますね。

Days of the New - Now (1997)


もうアルバムジャケットからして「滅びゆく廃墟」のような雰囲気が漂っていますよね。

Days of the New - Now lyrics 歌詞和訳



I feel alone even with myself
俺は自分と一緒にいるのに孤独を感じてる
But it does better me
だがそのほうが他の誰かといるよりはマシなんだ
I'd like to tell you how I'm feeling now
俺は今抱えている感情をおまえに話したいんだ
But it ruins everything
でも、言葉にしたら何もかもが壊れてしまう

You try to judge me now, tomorrow's okay
今おまえは俺に「間違ってる」と言いたいんだろうが、明日にしてくれよ
You try to tell me now how I should feel
今おまえは俺に「こう考えるべきだ」って指図したいんだろう
I don't feel like I should be here
おかげで俺はここにいないほうがいいんだろうなと思ってるよ

I feel alone even with myself
俺は自分と一緒にいるのに孤独を感じてる
Do you know what I mean?
これがどういう意味かわかるか?
I can't explain those things that seem to repel me
俺を拒絶しようとしてるのが何なのかを上手く言葉で表せない
They ruin everything
そうしたものが何もかもを壊してるんだ

Your fears are working now, but I don't complain
おまえの中では今恐怖が湧き上がってるようだが、俺は文句を言いたいんじゃない
I'm working hard to listen and that's okay
俺だって話を聴くのが辛くなってきてるが、それも別にいいんだ
Don't you know it's not okay to be afraid of me
だけどどうか俺のことを怖いと思うのはやめてくれないか

I hate to tell you but you're in my way
言いたくはないが、今おまえは俺の目の前に立ちはだかってる
I hate when someone tries to push me away
俺は誰かに押しのけられようとするのは許せないんだよ
Don't you know you can't be afraid of me
どうかもうこれ以上俺のことを怖がらないでくれないか
Giving away all I'm feeling now
今俺は自分の感情を何もかも曝け出してるんだ

Now...
今・・・

Why don't you listen to this heart full of pain
どうしておまえは苦痛に満ちた俺の心に耳を傾けてくれないんだ
Sounds like complaining, but it's hard to refrain
文句のように聞こえるかもしれないが、もう言わずにいることができないんだ
Don't you know you can't be afraid of me
俺のことを怖がっていいはずがないっておまえはわからないのか?
Giving away all I'm feeling now
今俺は自分の感情を何もかも曝け出してるんだ

Now...
今・・・

◎Days of the New "Now"の歌詞和訳の解説


背筋がゾクッとするような怖さを持った歌詞であることを除けば、
シチュエーションやテーマそのものはかなり読み取りやすい歌詞ですね。

まず主人公は心の中にものすごく大きな苦痛などを抱えた人物です。
そしてそうしたところが、他人からは奇異にも見えているのでしょう。

ただ一方で普段は自分の心を全て曝け出しているわけでもないように見えます。

そしてそこに友人か誰かが主人公と話をするために来てるのですね。

で、その友人はそうしたネガティブな考えに支配された主人公に対して、
「そういった考えは変えるべきだ」と諭すつもりで来ているのでしょう。

そしてそのことが主人公にははっきりと伝わっていて、
そうした指図を受けることを強く拒否しようとしているわけです。

それと同時に主人公は「そうして自分の心の中に踏み込もうとするなら、
じゃあもう俺はその自分の思っていることを全部さらけ出すよ」という感じで、
その苦痛に満ちた価値観や心の中を全部オープンにしようとしてるのですね。

だけど友人はそうした心を全てぶつけられることを強く恐れている。
それに対して主人公は「どうか怖がらずに聴いてくれ」と言ってるわけです。

こういったシチュエーションであることはかなり読み取りやすいと思います。

>I feel alone even with myself
>俺は自分と一緒にいるのに孤独を感じてる

いきなり意味の分からない歌詞が出てきますが、これは意図して書いたものでしょう。

I feel alone even with ***.

と言えば普通に「誰かと一緒にいるのに孤独感を感じてるのか」となりますが、
そこにmyselfが入ることで、「え、そりゃ自分一人なら孤独だよね」となる、
そういう落差を感じさせたいフレーズであると言っていいでしょう。

>You try to judge me now, tomorrow's okay
>今おまえは俺に「間違ってる」と言いたいんだろうが、明日にしてくれよ

judgeは「判定する」ですが、要はここでは友人(you)は、
主人公に対して「その考えはダメだ」と言いたいのでしょう。

なので、そのことがはっきりとわかるように訳しています。

面白いのは前半にnowと言って、続きでtomorrow's okayと言っている点ですね。

これ別に本当に「今はダメだけど明日ならいいよ」と言いたいわけではなくて、
日本語でも言う「別の日にしてくれ(=やめてくれ)」の意味でしょうね。

>I feel alone even with myself
>俺は自分と一緒にいるのに孤独を感じてる
>Do you know what I mean?
>これがどういう意味かわかるか?

最初のヴァースのときは1文目の意図がはっきり見えませんでしたが、
2番になってDo you know what I mean?と言ってることから、
「1文目はあえて意味の分からない言葉を言ってる」ことがわかりますね。

>Your fears are working now, but I don't complain
>おまえの中では今恐怖が湧き上がってるようだが、俺は文句を言いたいんじゃない

ここは2つの解釈ができて、そこで少し迷ったのですよね。

「文句を言いたいわけじゃないから怖がらないでくれ」と言いたいのか、
「怖がってるようだけど、そのことに文句は言わないよ」と言いたいのか、
ここでは他の部分との整合性などを考慮して前者の意味でとらえました。

というのも、後に「俺のことを怖がらないでくれ」という意味の文が何度も出るので、
後者のように訳すとちょっとそこの辻褄が合わない感じがしましたからね。

>I hate to tell you but you're in my way
>言いたくはないが、今おまえは俺の目の前に立ちはだかってる

you're in my wayはあえてそのままでイメージを描きましょう。

my way(=自分が歩こうとしてる道)にyouがいるということなので、
「おまえが(物理的に)邪魔をしている、立ち塞いでる」という意味になります。

>Don't you know you can't be afraid of me
>どうかもうこれ以上俺のことを怖がらないでくれないか

>Why don't you listen to this heart full of pain
>どうしておまえは苦痛に満ちた俺の心に耳を傾けてくれないんだ
>Don't you know you can't be afraid of me
>俺のことを怖がっていいはずがないっておまえはわからないのか?

この曲の表現の特徴って、否定形の疑問文がすごく多いところです。

これはやわらかく訳せば「~してくれないか」という感じになりますが、
直訳っぽくすると「(なぜ)~しないんだ?」と問い詰める感じが強くなり、
言葉の圧力の強さが変わってくるのですよね。

だから否定形疑問表現を多く使っていることから、
主人公の強い圧力を伴う感情表現が非常によく伝わるのですが、
今回はそれを前半はやわらかく訳し、後半はきつく訳しています。

これはだんだんと主人公の感情が高ぶっていく、
そして受けてからゾクッと来るような怖さを感じられるように、
読むうちに一歩一歩感情の高まりが感じられるようにするための工夫でそうしてみました。

◎文法事項の解説


今回の歌詞は文法的にはかなり平易なので、特に解説するところはないですね。
なので、訳しやすく解釈もあまり極端にはバラけない曲だったと思います。

訳に少し注意が必要なところはすでに触れていますからね。

◎まとめ


この曲を聴くと、いつもものすごく主人公に自分を投影してしまうのですよね。

このブログを長く読んでいる方は月末記事などの内容から、
「この管理人は普段は明るそうに振る舞ってはいるが、
実際にはかなり陰鬱な価値観の持ち主だろうな」と伝わってるとは思いますが、
そういう価値観を持っているがゆえの苦痛というのはものすごくあるのですよね。

希死念慮などを含む陰鬱な価値観ってあまり表には出せないので、
どうしても他人から見ると「心を開かない奴」に見えるわけです。

それゆえ「あいつは秘密主義だ」「あいつは何か隠してる」みたいに思われる、
そういうのは嫌というほど自分自身も体験してきたところがありますからね。

そして一方で自分のそうした心情や価値観をどこかでさらしたいとも思っている、
でもそれはものすごく大変だし、遠回しになったり、重苦しくなりすぎたり、
たとえ言葉にしても理解してもらえないことは理解しているのですよね。

それってまさにこの曲の主人公の心情に重なるように思うのですよね。

「俺の考えを変えたいと、俺の考えがわからないと思ってるんだろう。
そういうのはやめてくれ。それならいっそ自分の思いを全部吐き出してやる」と。

こうした追い詰められた感覚とつねに向かい合ってるので、
そういう人でないと書けない歌詞だなということを強く感じますね。

なので、「こういう悩みを抱えてる人間もいるんだ」ということが、
この曲の和訳を通じて伝わってくれればいいなと少し思います。

これからもいろんな曲の和訳に挑戦していきますのでよろしくお願いします。

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R.E.M. - Imitation of Life 歌詞和訳

◎R.E.M. "Imitation of Life"の紹介


1980年代のインディーシーンにおけるオルタナティブロックの成立、
そしてそれを1990年代にメインストリームに押し上げるうえで大きな貢献をした
R.E.M.の代表曲の1つである"Imitation of Life"の歌詞対訳が今回のテーマです。

R.E.M.で歌詞の和訳を最も紹介したい曲は"Losing My Religion"なのですが、
今回たまたまひさしぶりにこの"Imitation of Life"が気になって、
歌詞を軽く訳していたら新たな発見が多くあったのですよね。

「これってまさに90年代においてスターダムに立った人達が
抱えていた問題が見事に描写されているのではないか」と。

90年代の音楽に詳しい人ならよく知っている話だと思うのですが、
90年代にトップに立ったミュージシャンの人達って、
他の年代と比べて「スター志向」がものすごく弱かったのですよね。

「スターになんてなりたくなかったのにそうなってしまった人」がほとんどで、
それゆえに板挟みになって苦しんだ人達がものすごく多かったのですよね。

Nirvanaのカート・コバーン、Pearl Jamのエディ・ヴェダーを代表に、
そういった悩みに直面した人達がすごく多くいましたし、
そうした感情をストレートに吐露する人もまた多かったのですよね。

そしてそれは91年に大きくブレイクし、アメリカンオルタナティブの代表格として
語られ続けたこのR.E.M.のマイケル・スタイプもまた同様だったことでしょう。

ただこの"Imitation of Life"はその10年後の2001年の曲ということもあり、
「そうした悩みを乗り越えた」立場からの言葉という意味も強く感じます。

またこの"Imitation of Life"、一見すると歌詞がものすごく抽象的なのですよね。

だから何も知らずに読むと「きれいで抽象的な言葉の羅列」に見えます。

でもそこに添えられているテーマを知ったうえで読み返すと、
それぞれの言葉の持つ意図が一気にクリアに見えてくるのですね。

で、この抽象的なところが和訳を書くうえでは非常に厄介で、
どこまで追加的な補完をしてあげるのか迷うところなのですよね。

この歌詞対訳コーナーは「歌詞の意図を伝えること」を最優先しているので、
今回は思い切って意味がわかるための補完をかなり大幅に行っています。

このあたりは今後もその曲の歌詞の性質などに照らし合わせて、
補完を多くすべきかどうかはその都度変えていきたいと思います。

◎歌詞和訳コーナーについて


この歌詞対訳コーナー、実は今回が初ではなく第2回になるのですよね。

一度音楽系の記事を作りたいと思ってコーナーを始めたのですが、
カップ麺ブログと音楽系記事の両立にはどうしても悩むところがあり、
中断していたのですが、今回音楽系の記事をメインにしたいということで、
最も検索ニーズが高そうな歌詞対訳コーナーを復活させたわけですね。

第1回記事のときは「次回はNirvanaの曲で」と予告していたのですが、
今回書きたくなったのがたまたまR.E.M.だったということで、
今回は自分の気持ちを優先してそのままR.E.M.でいきました。

やりたいものをそのままやるというのが、精神衛生上もいいですからね。

R.E.M. - Imitation of Life (2001) [Alternative Rock / Jangle Pop]


このビデオを何も考えずに見ると「なんじゃこりゃ」なのですが、
これを「虚像を演じることで紛い物の人生(=Imitation of Life)を送る人達」として見ると、
背筋がサーッと寒くなるような感覚になってくるのですよね。

そう考えると、これはこれでよくできたビデオと言えるのかもしれません。

R.E.M. - Imitation of Life lyrics 歌詞和訳



Charades, pop skill,
Water hyacinth
見え透いた見せかけに、大衆向けに演じるスキルだけを持った
水栽培のヒヤシンスのような存在
Named by a poet
詩人につけてもらった芸名で
Imitation of life
人生の紛い物を演じる

Like a koi in a frozen pond
まるで凍った池にいる鯉のように
Like a goldfish in a bowl
まるで金魚鉢にいる金魚のように生きている
I don't want to hear you cry
俺は君が泣いている声を聞きたくはないんだ

That's sugarcane that tasted good
甘みを湛えたサトウキビ
That's cinnamon, that's Hollywood
香りを湛えたシナモン、それがハリウッドの住人達なのさ
Come on, come on, no one can see you try
ステージに上がりなよ、君の努力する姿なんて誰一人として見たいとは思ってないんだ

You want the greatest thing
君は素晴らしいものを手にしたがってる
The greatest thing since bread came sliced
パンをスライスする機械を超えるほどに画期的で素晴らしいものをね
You've got it all, you've got it sized
そして君はそれを全て手に入れ、大きな賞から順に並べてる

Like a Friday fashion show teenager
金曜日のファッションショーに出ているティーンエイジャーのように
Freezing in the corner
隅っこで凍えている
Trying to look like you don't try
努力なんてしてないように見せかけるために努力してるんだろう?

That's sugarcane that tasted good
甘みを湛えたサトウキビ
That's cinnamon, that's Hollywood
香りを湛えたシナモン、それがハリウッドの住人達なのさ
Come on, come on, no one can see you try
ステージに上がりなよ、どうせ君が努力してる姿なんて誰にも見えないんだから

No one can see you cry
君が陰で泣いてることになんて誰一人として目を向ける気なんてないんだ

That's sugarcane that tasted good
甘みを湛えたサトウキビ
That's freezing rain, that's what you could
降った瞬間に氷の結晶へと変わる雨、それが君がなりえたもの
Come on, come on, no one can see you try
ステージに上がりなよ、誰も君が虚像を演じてることなんて見えちゃいないから

This sugarcane, this lemonade
このサトウキビやレモネードのような人生も
This hurricane, I'm not afraid
迫りくるハリケーンも、俺は怖れちゃいないよ
Come on, come on, no one can see me cry
さあ行くよ、俺が泣いてる姿なんてどうせ誰も目を向けようとはしないんだ

This lightning storm, this tidal wave
この稲妻が走る嵐も、この津波も
This avalanche, I'm not afraid
この雪崩も、俺はもう怖れちゃいないんだ
Come on, come on, no one can see me cry
さあ行くよ、俺が泣いてる姿なんてどうせ誰にも見えないんだから

That's sugarcane that tasted good
甘みを湛えたサトウキビ
That's who you are, that's what you could
それこそが君自身であり、君がなりえたものなんだ
Come on, come on, no one can see you cry
ステージに上がりなよ、君が泣いてるという事実なんて誰も目を向ける気がないんだから

That's sugarcane that tasted good
甘みを湛えたサトウキビ
That's who you are, that's what you could
それこそが君自身であり、君がなりえたものなんだ
Come on, come on, no one can see you cry
ステージに上がりなよ、君が泣いてる姿なんてどうせ誰にも見えやしないのだから

◎R.E.M. "Imitation of Life"の歌詞和訳の解説


まずは歌詞全体のテーマを押さえておきましょう。

この曲の主人公はハリウッドなどで活躍する女性なのでしょう。
すなわち、虚像を演じることで栄光を手にしている人物です。

だけどそういた姿はまさに見せかけであり、
そこで演じているのは「人生の紛い物」(=Imitation of Life)に他ならないわけです。

そしてそうした姿を演じている主人公は、
「良い姿だけを見せなければならないんだ」という強迫観念に駆られ、
本当は涙を流したり、努力していることが知られるのを強く恐れています。

この曲の中に見える「虚飾に満ちた虚像」の強気さと、
「実像を知られることへの恐怖」の弱気さの同居はこうしたことから来ています。

ただこの曲は「スターとして生きること」をただ素晴らしいものとしては書いていない、
むしろ同時にそれを「紛い物」「見せかけ」「大衆向けの単なるスキル」と切って捨てています。

そうした紛い物の人生に必死になることの悲哀にも満ちているのですよね。

この曲では繰り返し、
no one can see me try
というフレーズが出てきますが、
今回はあえて出てくるたびに異なる訳を与えています。

これ、canとtryの存在がものすごく大きいのですよね。

canとは本質的に言うなら、「潜在的な可能性」を表す言葉です。
主語がno oneなので、「潜在的な可能性が全くない」わけですね。

これを「単にその可能性がゼロ=できない」とも解釈できますし、
「相手にその意思がゼロ=可能性がない」とも解釈できるのです。

このcanの持つ「潜在的な可能性の有無」という幅広さを生かしながら、
毎回訳を変えているというのが今回の一つのポイントになっています。

そしてtryですが、これもまたシンプルであるがゆえに複数の解釈ができます。

最もわかりやすい解釈は「虚像を演じるために努力している」というものです。

でも、この曲には
Trying to look like you don't try
というtryに焦点を当てたフレーズもあり、
「努力していることを隠すための努力」まで示されています。

そうした意味でのtryなども、今回は時に込めながら訳に反映させています。

さて、順を追って訳を見ていきます。

>Charades, pop skill,
>Water hyacinth
>Named by a poet
>Imitation of life

>Like a koi in a frozen pond
>Like a goldfish in a bowl

この部分、曲の意図を踏まえて訳すといきなり辛辣ですよね。

「スターとはいかに虚飾にまみれて飼われた存在か」
ということを、痛烈な言葉でズバズバと突いてきています。

「水栽培のヒヤシンス」だけがやや解釈が難しいですが。

>That's sugarcane that tasted good
>That's cinnamon, that's Hollywood
>Come on, come on, no one can see you try

1行目は直訳すると「それはおいしいサトウキビ」となって、
ここだけ読むと「???」となるんですよね。

でもそれがハリウッドの住人の姿と重ねられ、
「努力する姿なんて誰も見たくなんてないのさ」
と言われることでその意味が一気にクリアになります。

サトウキビは本来頑張ってその体の中に甘さを取り込んでるわけです。
その過程こそが「スターが見せない努力」の部分に当たるわけです。

そして外に見せるのは「すでにしっかり甘さを湛えたサトウキビの姿」だけなのです。
それこそが「努力する姿なんて誰も見えない」ということに繋がるわけですね。

シナモンについても香りを蓄えるまでの過程との関係で読めばいいでしょう。

そしてこの曲のキーフレーズとも言える、
no one can see you tryですが、
これは「どうせ誰も俺達の努力なんて見てないんだ、だから気にするな」とも読めるし、
「どうせあいつら俺達の虚像にしか関心はないんだ」という落胆や絶望とも読めるのですよね。

今回の訳ではその両面が伝わりやすいように多少なりとも工夫してみました。

>You want the greatest thing
>The greatest thing since bread came sliced
>You've got it all, you've got it sized

ここはシンプルに「君は巨大な栄光を手にした」という話ですね。

>Like a Friday fashion show teenager
>Freezing in the corner
>Trying to look like you don't try

それが一気に雰囲気が変わり、
彼女が恐る恐る虚像を演じていることが示されるのです。

その栄光と弱さのコントラストを描き出している場面ですね。

>This sugarcane, this lemonade
>This hurricane, I'm not afraid
>Come on, come on, no one can see me cry

ここが実はかなり重要で、ここだけ主人公が自分自身(=I)になってるのですよね。
要するにマイケル・スタイプ自身の経験から来る言葉と見ていいでしょう。

This sugarcane, this lemonadeは「サトウキビのような立場をずっと演じてきたこと」、
This hurricaneはスターとして生きることで直面する苦しさの比喩でしょう。

そして彼はもうそれを何度も乗り切って怖れることも超えたのです。

だからこの曲はそんなマイケル・スタイプからの助言の言葉でもあるのですね。

◎文法事項の解説


That's sugarcane that tasted good

1つ目のthatは単なる指示代名詞ですが、2つ目のthatは関係代名詞(主格)ですね。
that tasted goodの関係代名詞節が先行詞であるsugarcaneを修飾しています。

Come on, come on, no one can see you try

これcome onの訳がかなり難しいのですよね;

「頑張れ」ではこの曲の趣旨からどこかズレますし、
「さあ来なよ」ぐらいがちょうどいい気もしますが、
主人公がスターであるということを踏まえたうえで訳を決めました。

文法的に重要なのはno one can see you tryのほうで、
これは典型的なSVO+原形不定詞の形ですね。

「OがC(原形不定詞)するのをVする」みたいにとらえます。

The greatest thing since bread came sliced

このthe (最上級) thing since bread came slicedは実は熟語です。
「最も画期的で・・・なもの」というような意味になります。

ただ今回はそう訳すると直前の節と変わり映えが無くなるので、
熟語の背景に沿ってそのまま「パンをスライスする機械ほどに」としました。

もともとの意味は実際にそれですからね。

You've got it all, you've got it sized

文の前半は単なるgot(得る)を用いた第3文型の普通の文です。

むしろ肝は後半で、ここでのgotは使役としての意味で、
SVOCのC=過去分詞、V=getのケースとなっています。

このあたりは高校英文法などで非常に困るところですね。

ここではその訳に沿って「SがOをCの状態にした」とすればいいです。

Trying to look like you don't try

ここのlikeは「~ように」であるのはすぐわかると思いますが、
後に節(S+V+・・・)の形が続いているので、前置詞ではなく接続詞としての用法ですね。

文法的にはこんなところで、特に難しいところはなかったですね。

◎まとめ


英語の歌詞をそのまま読むと非常に抽象性が高いのですが、
今回は意図をはっきり押さえてかなり補完しつつ訳を書いたので、
曲の持っているテーマ性は何とか伝わるのではないかなと思います。

この曲に見られる「スターになることによって背負わされる代償」というテーマは
90年代の洋楽ロックにおける非常に大きなものでもあるので、
今後取り上げる曲の歌詞でも似たテーマのものが多く登場すると思われます。

この曲はその中では比較的とっつきやすい歌詞ではありましたね。
その荒波を超えてきた立場としての視点という側面もありましたからね。

それでは、今後も様々な曲の和訳をわかりやすく紹介していきたいと思います。

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テーマ : 洋楽ロック | ジャンル : 音楽

The Police - Can't Stand Losing You 歌詞和訳

1970年代後期から1980年代にかけて活躍した、
イギリスのニューウェイブバンドであるThe Policeの
初期の名作”Can't Stand Losing You”の歌詞和訳(対訳)です!

◎歌詞和訳コーナーについて


さて、この歌詞和訳コーナーは今回新たにスタートする企画ですね!
ということで、カテゴリも新たにこの企画向けに作りました!

ただこれまでも何度か洋楽ロック関係の企画を始めたのはいいものの、
頓挫した経緯があるので、そうならないようにしないといけないですが;

ウェブサイトのほうでは音楽系ページも主要コンテンツの1つですし、
本来ならブログでもいくつか扱っていくのが自然ではあったのですが、
なかなかそれを実現するのが難しいところがあったのですよね;

グルメ系と音楽の紹介を両立させるという時点で難しさがありますし、
自分はどうしても音に焦点を置いて、どういった音楽の融合なのかとか、
どういったバンドからの影響が交わってその音楽が作られているのかとか、
そうした面から語りたがるという傾向がもともと強くあるのですよね!

ただそれはそのバンドをあらかじめ知っていて、そのルーツにも興味がある、
そういう人でもない限りはなかなか入口に立ちにくい面があるわけですよね!

グルメ系を中心に立ち寄ってくれている人がメインのブログの中で
それを実行するというのはどうしても躊躇する面もありますしね;

そういうことを気にしすぎないのも大事なことではあるのですけども!

ある程度深く立ち入りつつ、知らない人にもとっつきやすさがあって、
そこに触れるための入口になりうる、そうしたものを考えてみると、
歌詞に着目してみる、というのは1つの方法かなと思ったのですよね!

そのバンドを知らなくても、とりあえず歌詞を読むことはできますし、
「へぇ、この歌詞は面白いな」というところから入ることもありうる、
こういうアプローチのあり方もあっていいように思えましたしね!

もう1つの理由は、このブログの記事の中に自分の内面的な要素を
これまでよりももう少し表現したいという思いからなのですよね!

自分が好きな歌詞は内省的だったり、危うさを含むものが多く、
それを紹介することで、自分の持っている一面を出していきたい、
そうした思いもあって、この企画をスタートすることにしました!

もっとも月に1回紹介できるかどうかぐらいのペースだとは思いますし、
この企画の記事だけだと、どうしても普段の記事と路線が違い過ぎるので、
できるだけカップ麺の記事とセットにするようにしたいと思ってますが!

ちなみに最も扱いたいと思っているのはNirvanaの歌詞の和訳なのですよね!

Nirvanaの歌詞って、日本人からすると意図が見えにくい書き方のものが多く、
国内盤の和訳も表面的なので、ただ単に危なっかしい雰囲気だけしか見えず、
何を言おうとしてるのか、何を意図しているのかが伝わりにくいのですよね;

ただその意図を知りたいと思っている人はけっこういるはずなので、
そこを伝わるようにしたいというのもこの企画の目標の1つです!

じゃあなんで第1弾の記事がNirvanaじゃないんだと思われるかもですが、
そこから始めると本編に入るまでの前振りが長くなりすぎる気がしたので
今回は別のバンドで、なおかつ知名度の高いThe Policeをチョイスしました!

・・・まぁ、この時点ですでに前振りがひどく長くなってしまってますが(;゚ω゚)

◎The Police ”Can't Stand Losing You”の紹介


さて、本題のThe Policeの”Can't Stand Losing You”に移りましょう!

この曲はThe Policeの1978年発売の1stアルバムである
”Outlandos d'Amour”の収録曲でシングルにもなりました!

The Policeのアルバムはどれもけっこうな枚数売れてますし、
この曲はベストアルバムの多くにも収録されているので、
40代後半~50代前半ぐらいの人だと聴いた人も多いかもです!

自分は完全に後追いなので、リアルタイムでは聴いてないですが;

The Policeについては解散後に、ヴォーカルのスティングが
ソロ活動で有名になったので、そちらで知ってる人も多いでしょう!

この曲は当時のThe Policeらしいレゲエとパンクロックのミックスで、
その中から陰りの強い雰囲気が感じられるのも大きな特徴となってます!

歌詞のテーマは「10代の青年の自殺」となっています!

スティングも”why does the teenager take his own life?
Simply because he can't stand losing his girlfriend.”
(なぜその10代の青年が命を絶ったかってことかい?
単純に彼が恋人を失うのを耐えられなかったからだよ。)
というふうに言及しています!

第1弾に自殺がテーマの曲を選んでいるというあたりに、
この企画の持っているもう1つの色を見ることができますね;

The Police - Can't Stand Losing You シングル盤ジャケット

この曲のシングル盤の画像ですが、かなりインパクトがありますね;
縄を首にかけた人が大きな氷の塊に乗っているという写真です!

要するに時間が過ぎてその氷が溶けると・・・というわけですね;
ちなみにこの男性はThe Policeのドラマーの方だそうです!

このジャケットのせいで、BBCからは放送から外されましたが、
結果的にThe Policeにとって最初の大きなヒット曲になりました!

ということで、ここからは歌詞と和訳を見ていきましょう!

和訳については「意図」が伝わることを最重要視しています!

そのため、あえて直訳にはせず意味がより伝わりやすいように、
日本語として自然な表現になるように工夫していきます!

The Police - Can't Stand Losing You (1978) [New Wave]


The Police - Can't Stand Losing You lyrics 歌詞和訳



I've called you so many times today
今日だけで何度も君に電話をかけ続けた
And I guess it's all true what your girlfriends say
君の女友達が言っていたことはみんな本当だったんだろうな
That you don't ever want to see me again
君がもう僕に二度と会いたくないと思っていること
And your brother's gonna kill me, and he's six feet ten
2mを超える君のお兄さんが、僕のことを殺してやると息巻いてるってことも
(注:6フィート10インチ=約2.08m)

I guess you'd call it cowardice
そんな僕の態度を臆病だって言うんだろう
But I'm not prepared to go on like this
だけどこれまでみたいに過ごし続けるだけなんてもう無理だよ

I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't
耐えられない、耐えられない、耐えられない
I can't stand losing you
君を失うことが耐えられない
I can't stand losing you
君を失うことが耐えられない
I can't stand losing you
君を失うことが耐えられない
I can't stand losing you
君を失うことが耐えられない

I see you sent my letters back
And my LP records and they're all scratched
僕が今まであげた手紙やレコードが送り返されてきたよ
そしてレコードにはみんなひどく傷がつけられてた
I can't see the point in another day
When nobody listens to a word I say
誰も僕の言うことに耳を貸してくれなくなってしまった今、
これからの日々に何か意味のあることがあるなんて思えない

You can call it lack of confidence
君はそんなのただの自信喪失よって言うかもしれない
But to carry on living doesn't make no sense
だけど生き続けることにもう何の意味も見出せない

I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない

I guess this is our last goodbye
これが僕たちの最後の別れの言葉になるんだろう
And you don't care, so I won't cry
だけど君は何とも思ってないから、僕は泣いて悲しむことすらできない
But you'll be sorry when I'm dead
だけど僕が死んだら、君だって申し訳なかったと思うだろう
And all this guilt will be on your head
そしてその罪悪感は君の頭に残り続けるんだ

I guess you'd call it suicide
君は僕が勝手に命を絶っただけって言おうとするだろう
But I'm too full to swallow my pride
だけど僕はもう限界を超えていて、これ以上プライドを飲み込むことなんてできない

I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、失うのを耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、君に捨てられることに耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、君に捨てられることに耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、君に捨てられることに耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、君に捨てられることに耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、君に捨てられることに耐えられない
I can't, I can't, I can't stand losing
耐えられない、耐えられない、君に捨てられることに耐えられない
I can't, I can't, I can't stand
耐えられない、耐えられない、耐えられない
I can't stand losing you
君に捨てられることに耐えられない

◎歌詞和訳の解説


この曲は先にも触れたようにある青年が恋人に捨てられたことで、
命を絶つという話ではあるのですが、歌詞をきちんと読んでみると、
別れそのもの以上に、そこに至る過程で自己の尊厳が否定される感覚や、
自己肯定感を失っていくことが最大の理由になってることが見えてきます!

そして後半になってくると、そうした自己の存在意義の否定だけでなく、
相手に対する復讐としての死という意味合いが加わってくるのですよね!

1番では単に失うことを、2番では自己の尊厳が否定されていると感じていることを、
そして3番ではそれがさらにねじれて復讐の意図を持つようになっていくことと、
場面が進むにつれてより負の感情が高まっていくように書かれているのですよね!

最後の部分で元の歌詞が同じなのに、訳を「失うのを耐えられない」から、
「君に捨てられることに耐えられない」というふうに変えているのは、
単に別れること以上に、自分の価値が否定され続けることに耐えられない、
そうしたニュアンスを訳の中に浮かび上がらせるという狙いがあります!

こうした工夫は今後の記事の中でも生かしていきたいと思いますね!

◎文法事項の解説


ここからは英語の学習に役立つよう、少し文法的な内容に触れていきます!(●・ω・)

it's all true what your girlfriends say

itはあくまで形式主語で、what your girlfriends sayは
関係代名詞whatに導かれる名詞節と見ることができますね!

なので、what節がこの文の真主語というふうに読めます!

形式主語itはto不定詞句(名詞的用法)を受ける印象ばかりが強いですが、
実際には動名詞句やthat節、what節などの名詞節も受けることがあります!

to carry on living doesn't make no sense

不定詞句(名詞的用法)のto carry on livingが主語の文で、
前置詞(今回はon)の後ろに動詞的なものを持ってきたいときは、
動名詞(今回はliving)にする、というポイントが見て取れますね!

And you don't care, so I won't cry
But you'll be sorry when I'm dead
And all this guilt will be on your head

この曲の歌詞の文法的に印象的な部分の1つは、
この3番の箇所にだけwillが登場している点なのですよね!

過去形のwouldはyou'dという形で何度か登場していますが!

willって学校英語では「未来」だと教えられることが多いですが、
実際には「強い意志」を表明する意味合いが強い言葉なのですよね!

これが過去形のwouldになると時間がずれることで遠回しになるので、
「たぶん~だろう」ぐらいにもうちょっとやわらかい感じになります!

ここで急にwillが多用されているのは、
「僕が死んだら絶対にそうなるさ」という強烈な意思表明なのですよね!

そうすることでこの部分で主人公が強い狂気を帯びている、
そういう雰囲気を表現することに役立っているのですよね!

こんなふうに少し文法的な部分に目を向けてみるのも面白いですね!

◎まとめ


かなり暗い歌詞ではあるのですが、ドロドロしているわけでもなく、
あえてサラッと書きながら、その中から絶望や狂気を描き出していく、
そうしたスティングの描写の巧みさなども感じられる1曲でしたね!

スティングはもともとは教師だったという経歴も持ってますしね!

歌詞の和訳を読んで、もともとの曲がどんな雰囲気のものなのか、
気になった場合は上に動画も貼っているのでぜひ観てくださいませ!

まだ始まったばかりの企画ですが、何とか上手く育てていきたいと思います!(゚x/)モギュン

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