Various Artists "Deep Six" (1986) [アルバム紹介]
Various Artists "Deep Six" (1986) [Grunge]
今回はグランジ系コンピレーションアルバムの紹介です。
1986年にC/Z Recordsからリリースされたアルバムです。
グランジ系コンピというと"Sub Pop 200"が有名ですが、
むしろ歴史的にはこちらの作品のほうが遥かに重要です。
1984年にBlack Flagの"My War"アルバムが出てから、
その影響を受けたGreen RiverやSoundgardenによって、
グランジと呼ばれる音楽性が徐々に確立されていきます。
そしてGreen RiverがHomesteadというレーベルから
"Come on Down"というEPを1985年にリリースします。
これが初めて登場したグランジのアルバムとなります。
そしてそれに次ぐ2枚目がこの"Deep Six"となります。
グランジのアルバムの2枚目にあたるのがこの作品になります。
Sub Popからのリリースではないところも注目する点ですね。
当時はまだSub Popはあまり大きな活動はしてませんでした。
一応はこの数ヶ月後に"Sub Pop 100"を出しているのですが、
軌道に乗り始めたのはSoundgardenの音源をリリースする際に
ジョナサン・ポーンマンが資金を提供して以降ですからね。
収録曲は14曲で、参加しているバンドは全部で6組です。
個人的に「初期グランジ四天王」と勝手に呼んでいる
Green River, Soundgarden, Melvins, Skin Yardに
Malfunkshun, The U-Menと凄い名前が並んでいます。
Green River, Skin Yard, Malfunkshunが各2曲ずつ、
Soundgardenが3曲、Melvinsが4曲、The U-Menが1曲です。
Green River以外はこれ以前にアルバムを出してないので、
この音源が初めて公式にリリースした曲ということになります。
Melvinsに関しては後に1983年のデモをリリースしてますが、
"My War"以後の作品としてはやはりこれが初音源となります。
まずはGreen Riverですが、既に音楽性は確立されていて、
初期グランジの見本とでも言うべきサウンドが展開されます。
Soundgardenの3曲はどれも後に再レコーディングされています。
"Tears to Forget"は1st EPの"Screaming Life EP"に、
"All Your Lies"は1stアルバムの"Ultramega OK"に、
"Heretic"は"Loudest Love"に再録版が入っています。
当時はまだクリス・コーネルのヴォーカルも荒削りです。
Melvinsは一部ハードコアパンクそのものの曲もありますが、
全体的にはBlack Flag通過後のグランジ的なサウンドです。
ここにSwans的なノイジーな要素を取り込んでいくことで、
よりMelvinsらしいサウンドが徐々に確立されていきますが、
この時期はそれよりはもう少し初期グランジに近いです。
Skin Yardは他のグランジ勢とはちょっと毛色が違っていて、
The Birthday Partyなどのポストパンクを消化しつつ
そこにBlack Flagを流し込んだような感じになっています。
初期のSkin Yardらしいサウンドとも言えますが。
中期以降に見られるメタリックな感覚はほぼないですね。
面白いのがアンドリュー・ウッドが率いるMalfunshunで、
後に発表された彼らの音源はその分類不能な音楽性から
グランジファンを混乱させてしまうことがよくありますが、
ここに収録された2曲は意外にグランジ色が強いのですよね。
"Return to Olympus"とは違った側面が見えてきますね。
初期グランジの代表格としても語られるThe U-Menは
この作品の中では明らかに音楽的に別物という感じです。
というのも、もともとBlack Flagの影響が非常に少なく、
路線的にもButthole Surfersあたりに近いバンドですしね。
この作品への提供曲もThe Crampsあたりを連想させる
パンキッシュなロカビリー(サイコビリー)に近いです。
主要な初期グランジバンドがほぼ網羅されていますし、
グランジがいかにして確立されたのかを見られる点でも
非常に優れたコンピレーションアルバムと言えますね。
"Sub Pop 200"はNirvanaが曲を提供していることや
後にSub Popが有名になったことから入手が容易ですが、
この"Deep Six"はその豪華さに対して入手はやや困難です。
でも初期グランジを知るうえでは外せない作品ですね。
YoutubeはGreen Riverの"10,000 Things"を選びました。
何と言ってもGreen Riverはグランジの元祖的存在ですし、
Black Flagをベースに少しメタルが顔を覗かせる感じは
初期グランジの基本のスタイルと言っていいものですしね。
また後にMudhoneyでも活躍するマーク・アームの
ヴォーカルは初期グランジサウンドとの相性が抜群で、
他の人には真似できない強烈な個性を見せていますね。
Green River "10,000 Things" (1986) [Grunge]
今回はグランジ系コンピレーションアルバムの紹介です。
1986年にC/Z Recordsからリリースされたアルバムです。
グランジ系コンピというと"Sub Pop 200"が有名ですが、
むしろ歴史的にはこちらの作品のほうが遥かに重要です。
1984年にBlack Flagの"My War"アルバムが出てから、
その影響を受けたGreen RiverやSoundgardenによって、
グランジと呼ばれる音楽性が徐々に確立されていきます。
そしてGreen RiverがHomesteadというレーベルから
"Come on Down"というEPを1985年にリリースします。
これが初めて登場したグランジのアルバムとなります。
そしてそれに次ぐ2枚目がこの"Deep Six"となります。
グランジのアルバムの2枚目にあたるのがこの作品になります。
Sub Popからのリリースではないところも注目する点ですね。
当時はまだSub Popはあまり大きな活動はしてませんでした。
一応はこの数ヶ月後に"Sub Pop 100"を出しているのですが、
軌道に乗り始めたのはSoundgardenの音源をリリースする際に
ジョナサン・ポーンマンが資金を提供して以降ですからね。
収録曲は14曲で、参加しているバンドは全部で6組です。
個人的に「初期グランジ四天王」と勝手に呼んでいる
Green River, Soundgarden, Melvins, Skin Yardに
Malfunkshun, The U-Menと凄い名前が並んでいます。
Green River, Skin Yard, Malfunkshunが各2曲ずつ、
Soundgardenが3曲、Melvinsが4曲、The U-Menが1曲です。
Green River以外はこれ以前にアルバムを出してないので、
この音源が初めて公式にリリースした曲ということになります。
Melvinsに関しては後に1983年のデモをリリースしてますが、
"My War"以後の作品としてはやはりこれが初音源となります。
まずはGreen Riverですが、既に音楽性は確立されていて、
初期グランジの見本とでも言うべきサウンドが展開されます。
Soundgardenの3曲はどれも後に再レコーディングされています。
"Tears to Forget"は1st EPの"Screaming Life EP"に、
"All Your Lies"は1stアルバムの"Ultramega OK"に、
"Heretic"は"Loudest Love"に再録版が入っています。
当時はまだクリス・コーネルのヴォーカルも荒削りです。
Melvinsは一部ハードコアパンクそのものの曲もありますが、
全体的にはBlack Flag通過後のグランジ的なサウンドです。
ここにSwans的なノイジーな要素を取り込んでいくことで、
よりMelvinsらしいサウンドが徐々に確立されていきますが、
この時期はそれよりはもう少し初期グランジに近いです。
Skin Yardは他のグランジ勢とはちょっと毛色が違っていて、
The Birthday Partyなどのポストパンクを消化しつつ
そこにBlack Flagを流し込んだような感じになっています。
初期のSkin Yardらしいサウンドとも言えますが。
中期以降に見られるメタリックな感覚はほぼないですね。
面白いのがアンドリュー・ウッドが率いるMalfunshunで、
後に発表された彼らの音源はその分類不能な音楽性から
グランジファンを混乱させてしまうことがよくありますが、
ここに収録された2曲は意外にグランジ色が強いのですよね。
"Return to Olympus"とは違った側面が見えてきますね。
初期グランジの代表格としても語られるThe U-Menは
この作品の中では明らかに音楽的に別物という感じです。
というのも、もともとBlack Flagの影響が非常に少なく、
路線的にもButthole Surfersあたりに近いバンドですしね。
この作品への提供曲もThe Crampsあたりを連想させる
パンキッシュなロカビリー(サイコビリー)に近いです。
主要な初期グランジバンドがほぼ網羅されていますし、
グランジがいかにして確立されたのかを見られる点でも
非常に優れたコンピレーションアルバムと言えますね。
"Sub Pop 200"はNirvanaが曲を提供していることや
後にSub Popが有名になったことから入手が容易ですが、
この"Deep Six"はその豪華さに対して入手はやや困難です。
でも初期グランジを知るうえでは外せない作品ですね。
YoutubeはGreen Riverの"10,000 Things"を選びました。
何と言ってもGreen Riverはグランジの元祖的存在ですし、
Black Flagをベースに少しメタルが顔を覗かせる感じは
初期グランジの基本のスタイルと言っていいものですしね。
また後にMudhoneyでも活躍するマーク・アームの
ヴォーカルは初期グランジサウンドとの相性が抜群で、
他の人には真似できない強烈な個性を見せていますね。
Green River "10,000 Things" (1986) [Grunge]
The Seeds "Pushin' Too Hard" (1965) [曲紹介]
The Seeds "Pushin' Too Hard" (1965)
[Psychedelic Rock / Garage Rock]
ひさしぶりにグランジ以外の楽曲の紹介になります。
今回は60年代サイケデリック/ガレージ系のバンドです。
ロックの歴史を見ていくと多くのムーブメントがありますが、
とりわけ大きかった90年代オルタナムーブメントに匹敵する
ないしはそれ以上に規模が大きかったのが60年代中期からの
このサイケデリック/フラワームーブメントだったと言えます。
音楽的な背景としては、The Beatlesなどによってロックが
より明確に確立されていく中、既存の枠組みを超えた形で
ロックを再構築しようとする動きが多く出てきました。
たとえばインド音楽などの要素やシタールを取り入れたり、
またロックでは使わないような楽器を積極的に使うなど、
それまでなかった動きが急拡大していくようになりました。
また世相の面ではベトナム戦争への反戦ムードが強まり、
"Love & Peace"や自由を掲げたヒッピーと呼ばれる人達が増え、
このヒッピーがサイケデリック・ロックを強く後押ししました。
The Beatlesの"All You Need Is Love"あたりの曲は
当時のムードをストレートに表していると言えますね。
またサイケデリック・ロックを語る上で避けて通れないのが、
当時はまだ合法だったLSD(後に麻薬指定)の広がりです。
サイケデリック・ロックはこのLSDによる幻覚作用を
音楽的に描写したものとも言うことができます。
また一口にサイケデリックと言ってもそのスタイルは様々で、
花が咲き乱れているようなファンタジックな描写もあれば、
暗い部屋の中で幻覚を見ているような暗いものまであります。
このようにサイケデリックロックのムーブメントは
ロック史上最も規模の大きい動きだっただけでなく、
ドラッグロックが最もシーンを席巻した時期とも言えます。
またこのサイケデリックムーブメントの大きな特徴は
それまで主流だったバンドとの対立から起きたものではなく、
大物バンドがこのムーブメントを先導した面にもあります。
The Beatlesをはじめ、The Beach BoysやThe Rolling Stones、
The Byrds、The Who、Small Facesなども大きく寄与しました。
さて、サイケデリック全体の話に偏ってしまったので、
ここらで今回のThe Seedsの曲の紹介へと移ります。
彼らはサイケムーブメントに少し先駆けて登場し、
ガレージロックをベースにサイケデリックな要素を
溶け込ませたサウンドが大きな特徴となっています。
サイケバンドの中にはガレージの流れにあるものも多く、
13th Floor Elevatorsなども同様に位置づけられます。
サイケデリックの曲の中にはサイケっぽくはありつつも、
「危なっかしさ」がそこまで強くない曲もけっこう多いです。
そのためサイケデリック色の強い楽曲であっても、
単純に「ほのぼのとしたファンタジックな曲」
みたいにとらえられてしまうこともよくあります。
そんな中、この"Pushin' Too Hard"という曲は
サイケの持つ「危なっかしさ」が非常によく出ていて、
頭が飛んでるのではないかと思わせる感触があります。
聴いているだけで軽く意識が飛んでしまうような
そんなサイケの魅力の一つを見せる曲でもあります。
The Seeds "Pushin' Too Hard" (1965)
[Psychedelic Rock / Garage Rock]
[Psychedelic Rock / Garage Rock]
ひさしぶりにグランジ以外の楽曲の紹介になります。
今回は60年代サイケデリック/ガレージ系のバンドです。
ロックの歴史を見ていくと多くのムーブメントがありますが、
とりわけ大きかった90年代オルタナムーブメントに匹敵する
ないしはそれ以上に規模が大きかったのが60年代中期からの
このサイケデリック/フラワームーブメントだったと言えます。
音楽的な背景としては、The Beatlesなどによってロックが
より明確に確立されていく中、既存の枠組みを超えた形で
ロックを再構築しようとする動きが多く出てきました。
たとえばインド音楽などの要素やシタールを取り入れたり、
またロックでは使わないような楽器を積極的に使うなど、
それまでなかった動きが急拡大していくようになりました。
また世相の面ではベトナム戦争への反戦ムードが強まり、
"Love & Peace"や自由を掲げたヒッピーと呼ばれる人達が増え、
このヒッピーがサイケデリック・ロックを強く後押ししました。
The Beatlesの"All You Need Is Love"あたりの曲は
当時のムードをストレートに表していると言えますね。
またサイケデリック・ロックを語る上で避けて通れないのが、
当時はまだ合法だったLSD(後に麻薬指定)の広がりです。
サイケデリック・ロックはこのLSDによる幻覚作用を
音楽的に描写したものとも言うことができます。
また一口にサイケデリックと言ってもそのスタイルは様々で、
花が咲き乱れているようなファンタジックな描写もあれば、
暗い部屋の中で幻覚を見ているような暗いものまであります。
このようにサイケデリックロックのムーブメントは
ロック史上最も規模の大きい動きだっただけでなく、
ドラッグロックが最もシーンを席巻した時期とも言えます。
またこのサイケデリックムーブメントの大きな特徴は
それまで主流だったバンドとの対立から起きたものではなく、
大物バンドがこのムーブメントを先導した面にもあります。
The Beatlesをはじめ、The Beach BoysやThe Rolling Stones、
The Byrds、The Who、Small Facesなども大きく寄与しました。
さて、サイケデリック全体の話に偏ってしまったので、
ここらで今回のThe Seedsの曲の紹介へと移ります。
彼らはサイケムーブメントに少し先駆けて登場し、
ガレージロックをベースにサイケデリックな要素を
溶け込ませたサウンドが大きな特徴となっています。
サイケバンドの中にはガレージの流れにあるものも多く、
13th Floor Elevatorsなども同様に位置づけられます。
サイケデリックの曲の中にはサイケっぽくはありつつも、
「危なっかしさ」がそこまで強くない曲もけっこう多いです。
そのためサイケデリック色の強い楽曲であっても、
単純に「ほのぼのとしたファンタジックな曲」
みたいにとらえられてしまうこともよくあります。
そんな中、この"Pushin' Too Hard"という曲は
サイケの持つ「危なっかしさ」が非常によく出ていて、
頭が飛んでるのではないかと思わせる感触があります。
聴いているだけで軽く意識が飛んでしまうような
そんなサイケの魅力の一つを見せる曲でもあります。
The Seeds "Pushin' Too Hard" (1965)
[Psychedelic Rock / Garage Rock]
Toadies "Possum Kingdom" (1994) [曲紹介]
[曲紹介] Toadies "Possum Kingdom" (1994) [Grunge]
さて、「今日の一枚」と並行してピックアップした
アルバムや曲の紹介記事なども書いていくことにしました。
というのも、「今日の一枚」だけだと在庫がときどきなくなり、
記事が書けなくなってしまうということがあったりしますので;
また特別に紹介したいような作品や曲があった場合に、
「今日の一枚」だけでは消化しきれないことがあったので、
こういったカテゴリーを新たに作ってみようと考えました。
今回は曲紹介となっていますが、アルバム紹介の場合もあります。
さて、第1回はToadiesの"Possum Kingdom"という曲です。
前回の「今日の一枚」で紹介した"Rubberneck"(94年)という
アルバムに収録されている曲でシングル化もされていて、
この曲のヒットによってアルバムも浮上していきました。
ToadiesというとPixiesからの影響が非常に強いですが、
中でもこの曲はPixiesぽい要素がとりわけ強く出ています。
また拍子が変則的なところがあったりするなどの
ひねくれた感覚もけっこうPixiesぽさを感じますね。
ただ、それでもアルバムの中ではかなりとっつきやすく、
軽く聴いた感じではポップな印象も強く持たせる曲です。
でもその少なからずポップな感触を持っているサウンドと
その歌詞のアンバランスさもこの曲の面白いところです。
さて、曲のタイトルになっている"Possum Kingdom"ですが、
これはテキサス州にある湖の名前から取られているようです。
歌詞は前半の部分は単なる恋愛系の内容にも聞こえるのですが、
後半になるにつれて何やら不気味な感触が強くなってきます。
これは歌詞を通して見るとすぐに気付くのですが、
相手を湖のほとりに呼んで交際を迫るも断られて
殺害に及ぶというストーカー殺人の歌なのですよね。
特に中盤の"Give it up to me. Do you wanna be my angel?"と迫って、
何度も"Be my angel"とつぶやいてから"Do you wanna die?"と
狂気を露わにしていく展開はゾッとさせるものを持っています。
このあたりの展開はこの曲のビデオからもある程度わかります。
湖のほとりでボディーバッグを引きずってる時点で不気味ですし。
この曲のテーマの元ネタは実際にあった事件というわけではなく、
この湖の近くで伝わっている都市伝説的な伝承のようですね。
曲・詞ともにとっつきやすさとひねくれた要素が同居していて、
いかにもこの時代らしい雰囲気を感じさせる曲になっています。
Toadies "Possum Kingdom" (1994) [Grunge]
さて、「今日の一枚」と並行してピックアップした
アルバムや曲の紹介記事なども書いていくことにしました。
というのも、「今日の一枚」だけだと在庫がときどきなくなり、
記事が書けなくなってしまうということがあったりしますので;
また特別に紹介したいような作品や曲があった場合に、
「今日の一枚」だけでは消化しきれないことがあったので、
こういったカテゴリーを新たに作ってみようと考えました。
今回は曲紹介となっていますが、アルバム紹介の場合もあります。
さて、第1回はToadiesの"Possum Kingdom"という曲です。
前回の「今日の一枚」で紹介した"Rubberneck"(94年)という
アルバムに収録されている曲でシングル化もされていて、
この曲のヒットによってアルバムも浮上していきました。
ToadiesというとPixiesからの影響が非常に強いですが、
中でもこの曲はPixiesぽい要素がとりわけ強く出ています。
また拍子が変則的なところがあったりするなどの
ひねくれた感覚もけっこうPixiesぽさを感じますね。
ただ、それでもアルバムの中ではかなりとっつきやすく、
軽く聴いた感じではポップな印象も強く持たせる曲です。
でもその少なからずポップな感触を持っているサウンドと
その歌詞のアンバランスさもこの曲の面白いところです。
さて、曲のタイトルになっている"Possum Kingdom"ですが、
これはテキサス州にある湖の名前から取られているようです。
歌詞は前半の部分は単なる恋愛系の内容にも聞こえるのですが、
後半になるにつれて何やら不気味な感触が強くなってきます。
これは歌詞を通して見るとすぐに気付くのですが、
相手を湖のほとりに呼んで交際を迫るも断られて
殺害に及ぶというストーカー殺人の歌なのですよね。
特に中盤の"Give it up to me. Do you wanna be my angel?"と迫って、
何度も"Be my angel"とつぶやいてから"Do you wanna die?"と
狂気を露わにしていく展開はゾッとさせるものを持っています。
このあたりの展開はこの曲のビデオからもある程度わかります。
湖のほとりでボディーバッグを引きずってる時点で不気味ですし。
この曲のテーマの元ネタは実際にあった事件というわけではなく、
この湖の近くで伝わっている都市伝説的な伝承のようですね。
曲・詞ともにとっつきやすさとひねくれた要素が同居していて、
いかにもこの時代らしい雰囲気を感じさせる曲になっています。
Toadies "Possum Kingdom" (1994) [Grunge]
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