Kerbdog
グランジ紹介コーナーの第8回はKerbdog(カーブドッグ)です。
[Discography]
1st Kerbdog (1994)
2nd On the Turn (1997)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Grunge, Alternative Metal, Post Grunge
アイルランド出身のメタリックなサウンドを鳴らすグランジバンドです。
アイルランド出身ということもあってTherapy?とツアーなどもしていました。
グランジかどうか少し意見が分かれるかもしれないバンドではありますが、
公認ファンサイトでも"A grunge band from ~"と書かれていたりするので、
グランジのバンドというふうに考えて差し支えはないと思われます。
このバンドはSonic Youthなどのオルタナ好きのメンバーと
Slayerなどのメタル好きのメンバーによって結成されたこともあり、
これらの両方の要素がサウンドの中に現れているのが特徴です。
1994年に彼らは自分達の名前を冠した1stアルバム"Kerbdog"をリリースします。
これはプロデューサーにあのジャック・エンディーノを迎えて制作されました。
まずサウンド面に目をやるとかなりヘヴィ路線のメタルとなっています。
Alice in Chainsぽさもありますが、むしろMetallicaのブラックアルバムを
ダークでよりヘヴィにしたというようなスタイルといったほうが近いです。
しかしながら、メロディを中心に浮遊感が非常に強調されていて、
これが一般の90年代スタイルのメタルとは大きな違いになっています。
このスタイルでまず頭に思い浮かぶのは後に出てくるStaindですね。
StaindはKerbdogほどストレートなメタルというわけではないですが、
浮遊感と深みのあるメロディをヘヴィなサウンドに乗せる点は共通しています。
むしろStaindがこのKerbdogの影響を受けたと言えるかもしれませんね。
Panteraなどのグルーヴメタルっぽい要素もたまに顔を出しますが、
あそこまでゴツゴツとせず、咆哮スタイルのヴォーカルもほぼないです。
なのでサウンドはメタルなんだけど、大きな方向性として見ているところは
メタルとはかなり違ったところにあるという印象を強く持ちます。
また、このバンドはシングルによくカバー曲を入れてたそうですが、
その面々がPixies, Big Black, Sonic Youth, The Jam, Husker Du,
Public Image Ltd.などのパンク~オルタナ系なのを見てみると、
むしろメタル色が強いことのほうがやや意外なのかもしれません。
この1stは基本的にどの曲もほぼこういったスタイルで統一されていますが、
その中からとりわけ印象に残る曲をいくつか紹介させていただきます(*゚ー゚)
Kerbdog - "Earthworks" (1993) [from "Kerbdog"]
Kerbdog - "End of Green" (1993) [from "Kerbdog"]
Kerbdog - "Dry Riser" (1994) [from "Kerbdog"]
Kerbdog - "Dummy Crusher" (1994) [from "Kerbdog"]
このバンドの大きな魅力である硬軟織り交ぜたスタイルが光りますね。
ゴリゴリと来たかと思えばふっと浮遊感を出すなどなかなか見事です。
2ndは1stの路線を基本にしつつももう少しメタルの主張を弱めて、
パンクやオルタナ路線のほうがより強めに感じられるようになっています。
とりわけ最初の3曲とラストの曲は1stとはかなり印象が異なります。
一方でそれ以外の曲は1stほどではないもののメタリックな要素が強く、
1stをより発展させたようなスタイルになっているとも言えるでしょう。
まず1stよりも彼らの特徴であるメロディや浮遊感がより強まっています。
ときにFailureのように宇宙的な香りを感じさせたりもします。
この1stで見せたヘヴィネスとメロディの美しさを調和させた曲としては
"Pledge"や"Rewind"といったあたりがとりわけ光っていると言えそうです。
Kerbdog - "Pledge (Live 2005)" (1997) [from "On the Turn"]
Kerbdog - "Rewind (Live 2005)" (1997) [from "On the Turn"]
メロディが進化したというと、1stからポップ化したようにも聞こえますが、
そうではなくあくまでヘヴィロックとしての完成度が高められています。
動画はライブバージョンのためスタジオ版よりもやや軽く聞こえてしまいますが。
StaindやShinedownが好きな人ならこれはかなりいけるのではないですかね。
一方で1~3曲目やラストの曲はメタリックなスタイルとはやや距離を置き、
グランジやDinosaur Jr.などにも通じる音楽性が顔を見せています。
このアルバムからのシングルは基本的にこのタイプの曲からだったようで、
2ndのほかの曲や1stでは見られないもう一つの彼らの魅力を見ることができます。
Kerbdog - "Mexican Wave" (1997) [from "On the Turn"]
Kerbdog - "J.J.'s Song (Radio Edit)" (1996) [from "On the Turn"]
"Mexican Wave"の60年代前半っぽいビデオが少し面白いですね。
この2つの曲はどちらもシングルとしてもリリースされています。
自分としては1stも2ndもどちらも優れたアルバムだと思いますが、
あえて押すなら彼らの音楽性の幅広さや多様な魅力を見せてくれる
この2ndアルバムのほうをまずはオススメしたいと思いますね。
でもヘヴィながらも独特の美性を見せる1stもなかなかの作品です。
彼らの曲を聴くと頭の中にいろんなグランジ関連バンドが思い浮かびます。
Alice in Chains, My Sister's Machine, Gruntruck,
The Smashing Pumpkins, Failure, Tad, Dinosaur Jr.,
Silverchair, Send No Flowers, Staind, Shinedownなどなど・・・。
この連想されるバンドが決してメタル系グランジだけでなく、
それとは全く違うタイプのバンドにも広がるのが面白いです。
このバンドの内に秘める多様さというのがここからも感じられます。
そしてそのどれともまた一味違っているのがこのバンドの良さでもあります。
一見すると「メタリックなグランジ」とだけ解釈されそうですが、
その中にある音楽性の広がりを味わうとより楽しめると思います。
それでは、最後に2ndのオープニングを飾る"Sally"を貼って終わります。
また、この曲も2ndからのシングルとしてリリースされています。
これも"Mexican Wave"と同様にちょっとコミカルなビデオとなっています。
Kerbdog - "Sally" (1996) [from "On the Turn"]
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
[Discography]
1st Kerbdog (1994)
2nd On the Turn (1997)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Grunge, Alternative Metal, Post Grunge
アイルランド出身のメタリックなサウンドを鳴らすグランジバンドです。
アイルランド出身ということもあってTherapy?とツアーなどもしていました。
グランジかどうか少し意見が分かれるかもしれないバンドではありますが、
公認ファンサイトでも"A grunge band from ~"と書かれていたりするので、
グランジのバンドというふうに考えて差し支えはないと思われます。
このバンドはSonic Youthなどのオルタナ好きのメンバーと
Slayerなどのメタル好きのメンバーによって結成されたこともあり、
これらの両方の要素がサウンドの中に現れているのが特徴です。
1994年に彼らは自分達の名前を冠した1stアルバム"Kerbdog"をリリースします。
これはプロデューサーにあのジャック・エンディーノを迎えて制作されました。
まずサウンド面に目をやるとかなりヘヴィ路線のメタルとなっています。
Alice in Chainsぽさもありますが、むしろMetallicaのブラックアルバムを
ダークでよりヘヴィにしたというようなスタイルといったほうが近いです。
しかしながら、メロディを中心に浮遊感が非常に強調されていて、
これが一般の90年代スタイルのメタルとは大きな違いになっています。
このスタイルでまず頭に思い浮かぶのは後に出てくるStaindですね。
StaindはKerbdogほどストレートなメタルというわけではないですが、
浮遊感と深みのあるメロディをヘヴィなサウンドに乗せる点は共通しています。
むしろStaindがこのKerbdogの影響を受けたと言えるかもしれませんね。
Panteraなどのグルーヴメタルっぽい要素もたまに顔を出しますが、
あそこまでゴツゴツとせず、咆哮スタイルのヴォーカルもほぼないです。
なのでサウンドはメタルなんだけど、大きな方向性として見ているところは
メタルとはかなり違ったところにあるという印象を強く持ちます。
また、このバンドはシングルによくカバー曲を入れてたそうですが、
その面々がPixies, Big Black, Sonic Youth, The Jam, Husker Du,
Public Image Ltd.などのパンク~オルタナ系なのを見てみると、
むしろメタル色が強いことのほうがやや意外なのかもしれません。
この1stは基本的にどの曲もほぼこういったスタイルで統一されていますが、
その中からとりわけ印象に残る曲をいくつか紹介させていただきます(*゚ー゚)
Kerbdog - "Earthworks" (1993) [from "Kerbdog"]
Kerbdog - "End of Green" (1993) [from "Kerbdog"]
Kerbdog - "Dry Riser" (1994) [from "Kerbdog"]
Kerbdog - "Dummy Crusher" (1994) [from "Kerbdog"]
このバンドの大きな魅力である硬軟織り交ぜたスタイルが光りますね。
ゴリゴリと来たかと思えばふっと浮遊感を出すなどなかなか見事です。
2ndは1stの路線を基本にしつつももう少しメタルの主張を弱めて、
パンクやオルタナ路線のほうがより強めに感じられるようになっています。
とりわけ最初の3曲とラストの曲は1stとはかなり印象が異なります。
一方でそれ以外の曲は1stほどではないもののメタリックな要素が強く、
1stをより発展させたようなスタイルになっているとも言えるでしょう。
まず1stよりも彼らの特徴であるメロディや浮遊感がより強まっています。
ときにFailureのように宇宙的な香りを感じさせたりもします。
この1stで見せたヘヴィネスとメロディの美しさを調和させた曲としては
"Pledge"や"Rewind"といったあたりがとりわけ光っていると言えそうです。
Kerbdog - "Pledge (Live 2005)" (1997) [from "On the Turn"]
Kerbdog - "Rewind (Live 2005)" (1997) [from "On the Turn"]
メロディが進化したというと、1stからポップ化したようにも聞こえますが、
そうではなくあくまでヘヴィロックとしての完成度が高められています。
動画はライブバージョンのためスタジオ版よりもやや軽く聞こえてしまいますが。
StaindやShinedownが好きな人ならこれはかなりいけるのではないですかね。
一方で1~3曲目やラストの曲はメタリックなスタイルとはやや距離を置き、
グランジやDinosaur Jr.などにも通じる音楽性が顔を見せています。
このアルバムからのシングルは基本的にこのタイプの曲からだったようで、
2ndのほかの曲や1stでは見られないもう一つの彼らの魅力を見ることができます。
Kerbdog - "Mexican Wave" (1997) [from "On the Turn"]
Kerbdog - "J.J.'s Song (Radio Edit)" (1996) [from "On the Turn"]
"Mexican Wave"の60年代前半っぽいビデオが少し面白いですね。
この2つの曲はどちらもシングルとしてもリリースされています。
自分としては1stも2ndもどちらも優れたアルバムだと思いますが、
あえて押すなら彼らの音楽性の幅広さや多様な魅力を見せてくれる
この2ndアルバムのほうをまずはオススメしたいと思いますね。
でもヘヴィながらも独特の美性を見せる1stもなかなかの作品です。
彼らの曲を聴くと頭の中にいろんなグランジ関連バンドが思い浮かびます。
Alice in Chains, My Sister's Machine, Gruntruck,
The Smashing Pumpkins, Failure, Tad, Dinosaur Jr.,
Silverchair, Send No Flowers, Staind, Shinedownなどなど・・・。
この連想されるバンドが決してメタル系グランジだけでなく、
それとは全く違うタイプのバンドにも広がるのが面白いです。
このバンドの内に秘める多様さというのがここからも感じられます。
そしてそのどれともまた一味違っているのがこのバンドの良さでもあります。
一見すると「メタリックなグランジ」とだけ解釈されそうですが、
その中にある音楽性の広がりを味わうとより楽しめると思います。
それでは、最後に2ndのオープニングを飾る"Sally"を貼って終わります。
また、この曲も2ndからのシングルとしてリリースされています。
これも"Mexican Wave"と同様にちょっとコミカルなビデオとなっています。
Kerbdog - "Sally" (1996) [from "On the Turn"]
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
Dandelion
[Discography]
1st I Think I'm Gonna Be Sick (1993)
2nd Dyslexicon (1995)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
アメリカ北東部にあるフィラデルフィア出身のグランジバンドです。
同郷のグランジバンドとしてLatimerというバンドもいます。
バンド名の由来はThe Rolling Stonesの"Dandelion"という曲のようです。
この曲は1967年の"Their Satanic Majesties Request"というアルバムに入っています。
また、このアルバムに入っている"Citadel"という曲なども演奏していたようです。
このアルバムはThe Beatlesの"Sgt. Peppers~"から影響を受けて作られ、
The Rolling Stonesがサイケデリック路線に走った作品として有名です。
まずはバンド名の由来となったこの曲を貼っておきましょう。
The Rolling Stones - "Dandelion" (1967)
要するにこのバンドのルーツにもサイケデリックがあるようですね。
では、このバンドのサウンドもScreaming Treesであるとか、
Flowerheadのようにサイケデリック色がメインにあるかというと、
実のところそうではなくNirvanaの香りの強かったりします。
もうちょっと詳しく見ると、Nirvanaの持つダークネスや
パンクッシュな感覚をインディー臭を残す形で鳴らしています。
ですが、Nirvanaのようにダークにひたすら沈むわけでもなく、
Mudhoneyのようなどこか弾けた感覚をどこか感じさせてくれます。
またNirvanaっぽいといってもPixiesの影響はあまりなく、
Wipersあたりの要素のほうをより強く感じさせますね。
1stアルバムの1~4、6~8曲目はこういった路線の曲と言えます。
まずはそこからYoutubeにあった次の2曲を紹介しましょう。
Dandelion - "Under My Skin" (1993) [from "I Think I'm Gonna Be Sick"]
Dandelion - "Diggin' a Hole" (1993) [from "I Think I'm Gonna Be Sick"]
さて、メインはこのようにNirvana+Mudhoney的なサウンドですが、
彼らのルーツの1つであるサイケ感も曲によっては取り入れられています。
Nirvana+Muhoneyの路線とサイケを融合させた"I Can Remember"は秀逸ですし、
グランジにサイケの酩酊感を注入した"Weight of the World"、
浮遊感を強調した"Onion Field"など多様なサイケ感を見せてくれます。
また"In My Room"は一見するとAlice in Chainsに近く思えますが、
これもグランジにサイケデリックな粘りを入れることで実現されています。
ここで、グランジとサイケが見事に合わさった"I Can Remember"を紹介します。
自分としては1stの中で最も気に入っている曲でもあります。
Dandelion - "I Can Remember" (1993) [from "I Think I'm Gonna Be Sick"]
さて、2ndになってもNirvana+Mudhoneyにサイケが顔を出す、
というスタイルが基本になっている点は変ってはいません。
ですが、インディー的な粗さが1stに比べるとやや薄まって、
ポップなパンクの色合いが強まっていることが耳に残ります。
ただ、その中にもNirvanaのようなダークネスを感じさせる
メロディを上手く入れてくるあたりが面白かったりもします。
1・2、3・4、6・7、9曲目あたりがそのあたりの路線と言えるでしょう。
ただし曲によってポップなパンクに近いものもある一方で、
1stのようなグランジに近かったりとけっこう幅はあります。
やっぱり全体的には1stよりもポップになった感触はありますが、
楽曲の平均的なクオリティは高いのでなかなか飽きさせません。
まずはこの路線の曲から1つ紹介することにしましょう。
この曲の最後にはサイケデリックなインストも入ってきます。
Dandelion - "Trailer Park Girl" (1995) [from "Dyslexicon"]
他の曲はサイケデリックの香りを感じさせるものになっています。
(上に挙げた曲も多少のサイケ感が見えたりしていますが)
これももちろんグランジとサイケを融合させたものもあれば、
完全にサイケデリックな路線に突っ走った曲まであります。
自分達なりの枠組みの中でいろんなスタイルを見せてくるのはいいですね。
そこで前作にも見られたグランジに粘りのあるサイケを入れることで、
Alice in Chainsとも共通するダークネスを見せるこの曲を紹介します。
Dandelion - "Tapped" (1995) [from "Dyslexicon"]
全体としてややポップになったとはいえ、聴きごたえのある曲が多いです。
ところで彼らはしばしば1995年に"There Is Some Fun"という
レア曲集のボックスセットを出したと紹介されることがありますが、
これはこのアルバムの1995年の再発盤と混同されたと見てよさそうです。
(リリースしたレコード会社が一致している点から見ても間違いないでしょう。)
これはあくまでかつて存在した"Dandelion Records"のレア曲集であって、
いま紹介しているDandelionというバンドとは全く関係がありません。
では、最後に2ndから彼らの最大の代表曲である"Weird-Out"を貼っておきます。
この曲は代表曲であると同時に最も2ndの持つ個性を体現している曲でもあります。
1stのグランジ色はもっとストレートで直情的なものでしたが、
2ndはグランジながらも非常に耳に残るメロディが特徴となっています。
でも単純にポップ化と呼ぶにはあまりにひねくれてもいます。
Nirvanaの"Nevermind"に見られる「歪んだポップネス」とでも呼ぶべき、
ダークで攻撃的なのに耳に残りやすい、そんな感覚が強く出ています。
埋め込みは静止画に曲がついたものですが、公式動画も存在しています。
でも公式動画は埋め込みができないので、文字からのリンクとしました。
Dandelion - "Weird-Out" (1995) [from "Dyslexicon"]
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
1st I Think I'm Gonna Be Sick (1993)
2nd Dyslexicon (1995)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
アメリカ北東部にあるフィラデルフィア出身のグランジバンドです。
同郷のグランジバンドとしてLatimerというバンドもいます。
バンド名の由来はThe Rolling Stonesの"Dandelion"という曲のようです。
この曲は1967年の"Their Satanic Majesties Request"というアルバムに入っています。
また、このアルバムに入っている"Citadel"という曲なども演奏していたようです。
このアルバムはThe Beatlesの"Sgt. Peppers~"から影響を受けて作られ、
The Rolling Stonesがサイケデリック路線に走った作品として有名です。
まずはバンド名の由来となったこの曲を貼っておきましょう。
The Rolling Stones - "Dandelion" (1967)
要するにこのバンドのルーツにもサイケデリックがあるようですね。
では、このバンドのサウンドもScreaming Treesであるとか、
Flowerheadのようにサイケデリック色がメインにあるかというと、
実のところそうではなくNirvanaの香りの強かったりします。
もうちょっと詳しく見ると、Nirvanaの持つダークネスや
パンクッシュな感覚をインディー臭を残す形で鳴らしています。
ですが、Nirvanaのようにダークにひたすら沈むわけでもなく、
Mudhoneyのようなどこか弾けた感覚をどこか感じさせてくれます。
またNirvanaっぽいといってもPixiesの影響はあまりなく、
Wipersあたりの要素のほうをより強く感じさせますね。
1stアルバムの1~4、6~8曲目はこういった路線の曲と言えます。
まずはそこからYoutubeにあった次の2曲を紹介しましょう。
Dandelion - "Under My Skin" (1993) [from "I Think I'm Gonna Be Sick"]
Dandelion - "Diggin' a Hole" (1993) [from "I Think I'm Gonna Be Sick"]
さて、メインはこのようにNirvana+Mudhoney的なサウンドですが、
彼らのルーツの1つであるサイケ感も曲によっては取り入れられています。
Nirvana+Muhoneyの路線とサイケを融合させた"I Can Remember"は秀逸ですし、
グランジにサイケの酩酊感を注入した"Weight of the World"、
浮遊感を強調した"Onion Field"など多様なサイケ感を見せてくれます。
また"In My Room"は一見するとAlice in Chainsに近く思えますが、
これもグランジにサイケデリックな粘りを入れることで実現されています。
ここで、グランジとサイケが見事に合わさった"I Can Remember"を紹介します。
自分としては1stの中で最も気に入っている曲でもあります。
Dandelion - "I Can Remember" (1993) [from "I Think I'm Gonna Be Sick"]
さて、2ndになってもNirvana+Mudhoneyにサイケが顔を出す、
というスタイルが基本になっている点は変ってはいません。
ですが、インディー的な粗さが1stに比べるとやや薄まって、
ポップなパンクの色合いが強まっていることが耳に残ります。
ただ、その中にもNirvanaのようなダークネスを感じさせる
メロディを上手く入れてくるあたりが面白かったりもします。
1・2、3・4、6・7、9曲目あたりがそのあたりの路線と言えるでしょう。
ただし曲によってポップなパンクに近いものもある一方で、
1stのようなグランジに近かったりとけっこう幅はあります。
やっぱり全体的には1stよりもポップになった感触はありますが、
楽曲の平均的なクオリティは高いのでなかなか飽きさせません。
まずはこの路線の曲から1つ紹介することにしましょう。
この曲の最後にはサイケデリックなインストも入ってきます。
Dandelion - "Trailer Park Girl" (1995) [from "Dyslexicon"]
他の曲はサイケデリックの香りを感じさせるものになっています。
(上に挙げた曲も多少のサイケ感が見えたりしていますが)
これももちろんグランジとサイケを融合させたものもあれば、
完全にサイケデリックな路線に突っ走った曲まであります。
自分達なりの枠組みの中でいろんなスタイルを見せてくるのはいいですね。
そこで前作にも見られたグランジに粘りのあるサイケを入れることで、
Alice in Chainsとも共通するダークネスを見せるこの曲を紹介します。
Dandelion - "Tapped" (1995) [from "Dyslexicon"]
全体としてややポップになったとはいえ、聴きごたえのある曲が多いです。
ところで彼らはしばしば1995年に"There Is Some Fun"という
レア曲集のボックスセットを出したと紹介されることがありますが、
これはこのアルバムの1995年の再発盤と混同されたと見てよさそうです。
(リリースしたレコード会社が一致している点から見ても間違いないでしょう。)
これはあくまでかつて存在した"Dandelion Records"のレア曲集であって、
いま紹介しているDandelionというバンドとは全く関係がありません。
では、最後に2ndから彼らの最大の代表曲である"Weird-Out"を貼っておきます。
この曲は代表曲であると同時に最も2ndの持つ個性を体現している曲でもあります。
1stのグランジ色はもっとストレートで直情的なものでしたが、
2ndはグランジながらも非常に耳に残るメロディが特徴となっています。
でも単純にポップ化と呼ぶにはあまりにひねくれてもいます。
Nirvanaの"Nevermind"に見られる「歪んだポップネス」とでも呼ぶべき、
ダークで攻撃的なのに耳に残りやすい、そんな感覚が強く出ています。
埋め込みは静止画に曲がついたものですが、公式動画も存在しています。
でも公式動画は埋め込みができないので、文字からのリンクとしました。
Dandelion - "Weird-Out" (1995) [from "Dyslexicon"]
【関連記事】
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Flowerhead
[Discography]
1st Ka-Bloom! (1992)
2nd The People's Fuzz (1995)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Grunge, Neo Psychedelia, Psychedelic Rock
サイケデリックなグランジとして知られているバンドです。
サイケデリックなグランジというとまずはScreaming Treesですが、
このバンドの見せるサイケデリアは彼らとはかなり違っています。
Screaming TreesはThe Doorsの香りを非常に強く感じさせますが、
FlowerheadのサイケデリアはThe Beatlesからの影響が極めて強いです。
The Beach Boysの"Friends"あたりのアルバムの香りもそこそこします。
言葉で表現するなら「春の暖かい陽射しにまどろむような」サイケ感です。
そこに70年代ハードロックの硬質さや、曲によってはパンキッシュだったりします。
このあたりのミックス具合がいかにも90年代のバンドらしくもあります。
決して売れたバンドではないですが、音楽性は非常に高いです。
まずはその彼らの代表曲であるこの曲から紹介しましょう。
Flowerhead - "Snagglepuss" (1992) [from "Ka-Bloom!"]
彼らの個性が非常によく出ている曲と言えますね。
ちなみにFoo Fightersの1stに収録されている"Watershed"に次の一節があります。
この"flowerhead"というのはおそらくこのバンドのことだと思われ、
デイヴ・グロールのお気に入りのバンドだったとうかがわれます。
さて、先ほどは1stから"Snagglepuss"という曲を紹介しましたが、
アルバムにはもっとサイケ感を強調した粘つきの強い曲もあります。
次に紹介する2曲はまさにその粘り気が極限まで高められています。
Flowerhead - "Coffee" (1992) [from "Ka-Bloom!"]
Flowerhead - "Oh Shane" (1992) [from "Ka-Bloom!"]
アルバムのオープニングを飾る"Acid Reign"もこの路線ですが、
この曲は最後の埋め込み動画のほうで紹介することにしています。
さて、ここで彼らに影響を与えたであろうThe Beatlesから、
彼らの音楽性との関連がわかる曲を2つ紹介したいと思います。
The Beatles - "Strawberry Fields Forever" (1967)
The Beatles - "Rain" (1966)
"Rain"はScreaming Treesのときにも紹介していますが、
両者の影響の受け方が違うあたりがなかなか面白いです。
Flowerheadはこのねっとりとしたメロディをより受け継いでますね。
1stは国内盤も出ていて、なおかつけっこう安く手に入ります。
(amazonのマーケットプレイスだと1円(送料別)で買うことができます;)
「大炸裂!! フラワーヘッド爆弾」という失笑ものの邦題がついてますが(汗
ちなみにこのバンドはYoutube上にある動画が少ないのです。
なので、本当は他にも貼りたい曲があったりするのですが、
すでにYoutubeにある動画だけを紹介する形になっています;
さて、2ndでも彼らの持つサイケ感のあるサウンドは健在です。
ですが、そのサイケデリアの質がけっこう変わってきています。
やはりメインはThe Beatles的なサイケデリアとは言えますが、
粘り気を減らして、よりクリアなサイケ感が前面に出ています。
Youtubeには2ndの曲がないのでmyspaceをちょっと貼ってみます。
myspace - Flowerhead
この中にある"Words to You"が2ndからの楽曲となっています。
1stに比べるとやや透明感のあるサウンドなのが見て取れます。
個人的にはTommy James and the Shondellsのサイケ感と通じるものを感じます。
Tommy James and the Shondells - "(Baby, Baby) I Can't Take It No More" (1967)
Tommy James and the Shondells - "Ball of Fire" (1969)
この曲の動画を探していると、あのFastbacksによるカバーバージョンも見つかりました。
Fastbacksというとシアトルで長いキャリアを持つパンクバンドで、
Nirvana, Soundgardenなどが参加した"Sub Pop 200"にも登場していますね。
Fastbacks - "Ball of Fire (Tommy James and the Shondells cover)"
意外にもかなり原曲に忠実なカバーとなっていますね。
さて、2ndの"The People's Fuzz"は国内盤は出ていないですが、
それでもけっこう安く手に入れることができる作品です。
2ndも1stと少しタイプは違うものの、なかなかの完成度の作品です。
それでは最後に1stのオープニングである"Acid Reign"を貼っておきます。
この脳を溶かしてしまうような暖かい酩酊感が素晴らしいです。
The Beatlesの"Rain"を連想させる箇所もあったりしますね。
Flowerhead - "Acid Reign" (1992)
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
1st Ka-Bloom! (1992)
2nd The People's Fuzz (1995)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Grunge, Neo Psychedelia, Psychedelic Rock
サイケデリックなグランジとして知られているバンドです。
サイケデリックなグランジというとまずはScreaming Treesですが、
このバンドの見せるサイケデリアは彼らとはかなり違っています。
Screaming TreesはThe Doorsの香りを非常に強く感じさせますが、
FlowerheadのサイケデリアはThe Beatlesからの影響が極めて強いです。
The Beach Boysの"Friends"あたりのアルバムの香りもそこそこします。
言葉で表現するなら「春の暖かい陽射しにまどろむような」サイケ感です。
そこに70年代ハードロックの硬質さや、曲によってはパンキッシュだったりします。
このあたりのミックス具合がいかにも90年代のバンドらしくもあります。
決して売れたバンドではないですが、音楽性は非常に高いです。
まずはその彼らの代表曲であるこの曲から紹介しましょう。
Flowerhead - "Snagglepuss" (1992) [from "Ka-Bloom!"]
彼らの個性が非常によく出ている曲と言えますね。
ちなみにFoo Fightersの1stに収録されている"Watershed"に次の一節があります。
I wanna swim in the watershed
I wanna listen to flowerhead
この"flowerhead"というのはおそらくこのバンドのことだと思われ、
デイヴ・グロールのお気に入りのバンドだったとうかがわれます。
さて、先ほどは1stから"Snagglepuss"という曲を紹介しましたが、
アルバムにはもっとサイケ感を強調した粘つきの強い曲もあります。
次に紹介する2曲はまさにその粘り気が極限まで高められています。
Flowerhead - "Coffee" (1992) [from "Ka-Bloom!"]
Flowerhead - "Oh Shane" (1992) [from "Ka-Bloom!"]
アルバムのオープニングを飾る"Acid Reign"もこの路線ですが、
この曲は最後の埋め込み動画のほうで紹介することにしています。
さて、ここで彼らに影響を与えたであろうThe Beatlesから、
彼らの音楽性との関連がわかる曲を2つ紹介したいと思います。
The Beatles - "Strawberry Fields Forever" (1967)
The Beatles - "Rain" (1966)
"Rain"はScreaming Treesのときにも紹介していますが、
両者の影響の受け方が違うあたりがなかなか面白いです。
Flowerheadはこのねっとりとしたメロディをより受け継いでますね。
1stは国内盤も出ていて、なおかつけっこう安く手に入ります。
(amazonのマーケットプレイスだと1円(送料別)で買うことができます;)
「大炸裂!! フラワーヘッド爆弾」という失笑ものの邦題がついてますが(汗
ちなみにこのバンドはYoutube上にある動画が少ないのです。
なので、本当は他にも貼りたい曲があったりするのですが、
すでにYoutubeにある動画だけを紹介する形になっています;
さて、2ndでも彼らの持つサイケ感のあるサウンドは健在です。
ですが、そのサイケデリアの質がけっこう変わってきています。
やはりメインはThe Beatles的なサイケデリアとは言えますが、
粘り気を減らして、よりクリアなサイケ感が前面に出ています。
Youtubeには2ndの曲がないのでmyspaceをちょっと貼ってみます。
myspace - Flowerhead
この中にある"Words to You"が2ndからの楽曲となっています。
1stに比べるとやや透明感のあるサウンドなのが見て取れます。
個人的にはTommy James and the Shondellsのサイケ感と通じるものを感じます。
Tommy James and the Shondells - "(Baby, Baby) I Can't Take It No More" (1967)
Tommy James and the Shondells - "Ball of Fire" (1969)
この曲の動画を探していると、あのFastbacksによるカバーバージョンも見つかりました。
Fastbacksというとシアトルで長いキャリアを持つパンクバンドで、
Nirvana, Soundgardenなどが参加した"Sub Pop 200"にも登場していますね。
Fastbacks - "Ball of Fire (Tommy James and the Shondells cover)"
意外にもかなり原曲に忠実なカバーとなっていますね。
さて、2ndの"The People's Fuzz"は国内盤は出ていないですが、
それでもけっこう安く手に入れることができる作品です。
2ndも1stと少しタイプは違うものの、なかなかの完成度の作品です。
それでは最後に1stのオープニングである"Acid Reign"を貼っておきます。
この脳を溶かしてしまうような暖かい酩酊感が素晴らしいです。
The Beatlesの"Rain"を連想させる箇所もあったりしますね。
Flowerhead - "Acid Reign" (1992)
【関連記事】
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My Sister's Machine
[Discography]
1st Diva (1992)
2nd Wallflower (1993)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Grunge, Heavy Metal, Alternative Metal
前回のAlice N' Chainsの記事でも少し触れたバンドです。
レイン・ステイリーが率いるAlice N' Chains(AICとは別のバンド)で
ギタリストを務めていたNick Pollockとシアトルの正統派メタルバンドである
MistrustにいたOwen Wright(G.)とChrist Gohde(Dr.)を中心に結成されました。
バンドは結成されたのは1989年で、ベーシストはChris Ivanovichという人でした。
メンバーの構成からもわかるとおり、このバンドのルーツはメタルであって、
多くのシアトルバンドに見られるパンクやBlack Flagからの影響はほぼありません。
そういう点からするとAlice in Chainsに近いルーツを持っていると言えます。
彼らのサウンドはBlack Sabbathをルーツに思わせるダークなメタルながらも、
Alice in Chainsほどドロドロとはせずに、直線的な攻撃性を感じさせます。
そしてメロディに英国HR/HMのような独特のメタル的哀感を持っているのが特徴です。
このあたりにRainbowや"Burn"期のDeep Purpleを少し連想したりもしますし、
その直線的な攻撃性からはMotorheadなども思い浮かんでくるところです。
メタリックなグランジは数あれど、このタイプの哀感を持った
メロディを書くグランジバンドというのはほぼいないのですよね。
そういう意味では、彼らは最も「メタルらしい」グランジバンドと言えるかもしれません。
どことなくその音楽性にメタル的な美的感覚というものが残っているのですよね。
それに共通するものを持っているものにAICの"Facelift"アルバムがありますが、
そこからドロドロ感をある程度取り去り、そこにストレートな攻撃性と
強烈なうねりを持ち込んだのが彼らの音楽性とも言えるかもしれません。
ちなみに1989年のライヴ音源ですでに"Diva"の収録曲が演奏されており、
結成当初からこういった音楽性であったと解釈することができます。
さて、そんな彼らの1stアルバムである"Diva"ですが、
とにかく耳に残るのがワウをひたすら多用していることです。
そして、同時に強烈なグルーヴ感もこの作品を特徴づけています。
多用されたワウもそのグルーヴをかなり強く後押ししています。
グランジというとSoundgardenの"Badmotorfinger"に代表されるように、
聴く者を音の渦の中に巻き込んでいくようなグルーヴが魅力の1つですが、
まさにそれに匹敵するだけの強烈なグルーヴを持っているアルバムです。
特にオープニングの"Hands and Feet"から"Pain"へと流れ込む様は圧巻です。
メロディのほうはそこまで強く耳に残るほどではないのですが、
豪快なうねりとヘヴィネスに飲み込んでいくだけの力があります。
また、やや意外ながら"Wasting Time"などの曲ではStone Temple Pilotsの
"Core"にあるようなサイケ感のある浮遊感をチラリと覗かせることもあります。
ということで、1stからはまずはこの2曲を紹介いたします。
("Pain"については最後の埋め込み動画のほうで紹介します)
My Sister's Machine - "Hands and Feet" (1992) [from "Diva"]
My Sister's Machine - "Wasting Time" (1992) [from "Diva"]
(1989年のライヴ音源の映像もあります)
2ndでも1stの頃の基本的な部分はあまり変わりはしませんが、
ワウが1stよりも減り、またグルーヴの質に変化が出てきます。
1stが"Badmotorfinger"のようなグルーヴであったとするなら、
2ndはGruntruckのようなグルーヴに近づいたとも言えそうです。
そういう点ではよりメタルらしい方向に行ったとも言えます。
このあたりの変化についてはアルバムの最初を飾る
"Inside of Me"でも少なからず見て取ることができますね。
My Sister's Machine - "Inside of Me" (1993) [from "Wallflower"]
これと前に紹介したGruntruckの"Tribe"を聞き比べると、
両者の共通性と違いの両方が見えてきて興味深くもあります。
Gruntruck - "Tribe" (1992)
歌としてのわかりやすさや主張という点では
1stよりもすんなりと入ってきやすくなった感があります。
特にこのシングルにもなった"Enemy"は2ndの良さが出ています。
歌モノとしての良さとヘヴィネスが上手く両立しています。
バンドは残念ながらこの2ndを出した後で活動を停止しました。
My Sister's Machine - "Enemy" (1993) [from "Wallflower"]
この"Enemy"以外で彼らの作ったミュージックビデオは以下の2つです。
My Sister's Machine - "I'm Sorry" (1992) [from "Diva"]
My Sister's Machine - "I Hate You" (1992) [from "Diva"]
どちらもビデオの雰囲気はいかにもグランジらしいですね。
"I Hate You"はいくつかの4文字言葉が歌い直されています。
1st・2ndともにいい作品ではありますが、1stで彼らが見せていた
独特のグルーヴが2ndになって少し失われたのは残念でもありますね。
1stと2ndのどちらかを選ぶとしたら、やはり1stを推したくはなります。
それでは最後に彼らの1stの2曲目である"Pain"を貼って終わります。
この曲は1曲目からの流れも踏まえて聴くと特にいいです。
ちなみにバンドは2010年に再結成して今もライヴ活動を続けています。
My Sister's Machine - "Pain" (1992) [from "Diva"]
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
1st Diva (1992)
2nd Wallflower (1993)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Grunge, Heavy Metal, Alternative Metal
前回のAlice N' Chainsの記事でも少し触れたバンドです。
レイン・ステイリーが率いるAlice N' Chains(AICとは別のバンド)で
ギタリストを務めていたNick Pollockとシアトルの正統派メタルバンドである
MistrustにいたOwen Wright(G.)とChrist Gohde(Dr.)を中心に結成されました。
バンドは結成されたのは1989年で、ベーシストはChris Ivanovichという人でした。
メンバーの構成からもわかるとおり、このバンドのルーツはメタルであって、
多くのシアトルバンドに見られるパンクやBlack Flagからの影響はほぼありません。
そういう点からするとAlice in Chainsに近いルーツを持っていると言えます。
彼らのサウンドはBlack Sabbathをルーツに思わせるダークなメタルながらも、
Alice in Chainsほどドロドロとはせずに、直線的な攻撃性を感じさせます。
そしてメロディに英国HR/HMのような独特のメタル的哀感を持っているのが特徴です。
このあたりにRainbowや"Burn"期のDeep Purpleを少し連想したりもしますし、
その直線的な攻撃性からはMotorheadなども思い浮かんでくるところです。
メタリックなグランジは数あれど、このタイプの哀感を持った
メロディを書くグランジバンドというのはほぼいないのですよね。
そういう意味では、彼らは最も「メタルらしい」グランジバンドと言えるかもしれません。
どことなくその音楽性にメタル的な美的感覚というものが残っているのですよね。
それに共通するものを持っているものにAICの"Facelift"アルバムがありますが、
そこからドロドロ感をある程度取り去り、そこにストレートな攻撃性と
強烈なうねりを持ち込んだのが彼らの音楽性とも言えるかもしれません。
ちなみに1989年のライヴ音源ですでに"Diva"の収録曲が演奏されており、
結成当初からこういった音楽性であったと解釈することができます。
さて、そんな彼らの1stアルバムである"Diva"ですが、
とにかく耳に残るのがワウをひたすら多用していることです。
そして、同時に強烈なグルーヴ感もこの作品を特徴づけています。
多用されたワウもそのグルーヴをかなり強く後押ししています。
グランジというとSoundgardenの"Badmotorfinger"に代表されるように、
聴く者を音の渦の中に巻き込んでいくようなグルーヴが魅力の1つですが、
まさにそれに匹敵するだけの強烈なグルーヴを持っているアルバムです。
特にオープニングの"Hands and Feet"から"Pain"へと流れ込む様は圧巻です。
メロディのほうはそこまで強く耳に残るほどではないのですが、
豪快なうねりとヘヴィネスに飲み込んでいくだけの力があります。
また、やや意外ながら"Wasting Time"などの曲ではStone Temple Pilotsの
"Core"にあるようなサイケ感のある浮遊感をチラリと覗かせることもあります。
ということで、1stからはまずはこの2曲を紹介いたします。
("Pain"については最後の埋め込み動画のほうで紹介します)
My Sister's Machine - "Hands and Feet" (1992) [from "Diva"]
My Sister's Machine - "Wasting Time" (1992) [from "Diva"]
(1989年のライヴ音源の映像もあります)
2ndでも1stの頃の基本的な部分はあまり変わりはしませんが、
ワウが1stよりも減り、またグルーヴの質に変化が出てきます。
1stが"Badmotorfinger"のようなグルーヴであったとするなら、
2ndはGruntruckのようなグルーヴに近づいたとも言えそうです。
そういう点ではよりメタルらしい方向に行ったとも言えます。
このあたりの変化についてはアルバムの最初を飾る
"Inside of Me"でも少なからず見て取ることができますね。
My Sister's Machine - "Inside of Me" (1993) [from "Wallflower"]
これと前に紹介したGruntruckの"Tribe"を聞き比べると、
両者の共通性と違いの両方が見えてきて興味深くもあります。
Gruntruck - "Tribe" (1992)
歌としてのわかりやすさや主張という点では
1stよりもすんなりと入ってきやすくなった感があります。
特にこのシングルにもなった"Enemy"は2ndの良さが出ています。
歌モノとしての良さとヘヴィネスが上手く両立しています。
バンドは残念ながらこの2ndを出した後で活動を停止しました。
My Sister's Machine - "Enemy" (1993) [from "Wallflower"]
この"Enemy"以外で彼らの作ったミュージックビデオは以下の2つです。
My Sister's Machine - "I'm Sorry" (1992) [from "Diva"]
My Sister's Machine - "I Hate You" (1992) [from "Diva"]
どちらもビデオの雰囲気はいかにもグランジらしいですね。
"I Hate You"はいくつかの4文字言葉が歌い直されています。
1st・2ndともにいい作品ではありますが、1stで彼らが見せていた
独特のグルーヴが2ndになって少し失われたのは残念でもありますね。
1stと2ndのどちらかを選ぶとしたら、やはり1stを推したくはなります。
それでは最後に彼らの1stの2曲目である"Pain"を貼って終わります。
この曲は1曲目からの流れも踏まえて聴くと特にいいです。
ちなみにバンドは2010年に再結成して今もライヴ活動を続けています。
My Sister's Machine - "Pain" (1992) [from "Diva"]
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
Alice N' Chains
[Discography]
1stDemo "Demo #1" (1986)
2ndDemo "Demo #2" (1987)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Glam Metal, Pop Metal
今回紹介するバンドはAlice N' Chainsです。
最初はMy Sister's Machineの紹介記事を書くつもりだったのですが、
そのためには先にこのバンドを紹介しておく必要があったのです。
おそらくここまで読んだ人は頭の中が「?」になっていると思います。
「Alice in Chainsの間違いではないのか?」というような感じで。
Alice N' ChainsというバンドはAlice in Chainsとは別物ですが、
名前があまりにも似ているためいろんな混乱を生む原因となっています。
Alice N' Chainsは後にAlice in Chainsを結成することになる
レイン・ステイリーがジェリー・カントレルと会う前にやっていたバンドです。
もともとはSlezeという名前でレインを含む3人で活動していました。
結成は1985年でレイン以外のメンバーはJohnny Bacolas(ベース)と
James Bergstrom(ドラム)でこの2人は後にSecond Comingを結成しています。
ここにNick Pollock(ギター)が加わり、バンド名をAlice N' Chainsとします。
これが1986年で、その後86年と87年にデモをそれぞれレコーディングしています。
その後、バンドは解散しNick PollockはMy Sister's Machineを結成します。
しばしば「Nick Pollockは最初期のAICにいた」と書かれますが、
これはAlice N' ChainsとAICを混同したことによる誤りです。
その後、レインはジェリーが始めようとしていたDiamond Lieというバンドに加入し、
そのバンドがAlice N' Chainz→Alice in Chainsと名前を変えていったのです。
Alice N' ChainsとAICが混同される原因は名前だけではありません。
AICの最初期とAlice N' Chainsの音楽性が非常に似ているのですね。
AICの最初期というとファンにとって半ば黒歴史化しつつありますが、
Motley CrueやHanoi Rocksのような路線の音楽をやっていた時期ですね。
AICのボックスセット"Music Bank"に何曲かそのタイプの曲があるので、
(自分もそうですが)熱心なファンなら聴いたことがあるかと思います。
というわけで、Alice N' Chainsの音楽性もその路線です。
そのため音楽性でいえばグランジとの関連性はほぼゼロです。
AICの初期に比べるとメタルとしての重さがやや弱めですが、
これはデモ音源の音質のせいでそう思わせてしまう面もあります。
ちなみにAlice N' Chainsという名前は否応にもガンズを連想させますが、
この名前にしたのが1986年ということからおそらくは無関係だと見られます。
さて、1986年の最初のデモ音源(3曲入り)の曲目は次のようになっています。
1. Lip Lock Rock
2. Fat Girls
3. Over the Edge
曲のタイトルからして80年代メタルの香りがプンプンとしてきます。(笑
このデモ音源の曲は全てYoutubeで聴けるので全曲紹介します。
Alice N' Chains - "Lip Lock Rock" (1986) [from "Demo #1"]
Alice N' Chains - "Fat Girls" (1986) [from "Demo #1"]
Alice N' Chains - "Over the Edge" (1986) [from "Demo #1"]
ちなみにAlice N' Chains時代の写真はこんな感じです。
一見どれが誰かわかりませんが、右下がレイン・ステイリーとのことです。
さらに1987年の2枚目のデモ音源も曲目&全曲Youtube紹介をいたします。
1. Sealed With a Kiss
2. Ya Yeah Ya
3. Glamorous Girls
4. Don't Be Satisfied
5. Hush, Hush
6. Football
("Hush, Hush"は最後の埋め込み動画に回すためここからは省いています)
Alice N' Chains - "Sealed With a Kiss" (1987) [from "Demo #2"]
Alice N' Chains - "Ya Yeah Ya" (1987) [from "Demo #2"]
Alice N' Chains - "Glamorous Girls" (1987) [from "Demo #2"]
Alice N' Chains - "Don't Be Satisfied" (1987) [from "Demo #2"]
Alice N' Chains - "Football" (1987) [from "Demo #2"]
80年代メタル的の音とはいっても、当時を彩ったバンドに比べると
楽曲面での完成度でその水準に及んでいるとは言い難い面があります。
また、似た音楽性でもAICの最初期のほうが楽曲の完成度は高いです。
ということで、AICの最初期の曲も1つ参考のために貼っておきます。
Alice in Chains - "Social Parasite" (1989) [from "Sweet Alice: Demos 1989"]
この曲はボックスセットを通じて聴いた人もそこそこいると思います。
「俺達の格好が気に食わないだって? じゃあ消え失せろ!」という歌詞で
見に来ていたレコード会社の人達を挑発したと言われているのがこの曲ですね。
面白いのはこの時期に既にレインのヴォーカルがかなり完成していた点ですね。
Alice N' Chains時代と違って、Facelift以降のスタイルと共通するものを見せています。
最初期のAICについてはいずれAICの記事で触れると思うので今回はここまでにします。
ちなみにAlice N' Chainsのメンバーは後にAIC, My Sister's Machine,
Second Comingと分かれましたが、どのバンドもサバス色の強い方向へ移行しています。
先駆者となったAICに倣ってそういう方向へ行ったとも言えそうですが。
My Sister's Machine - "Broken Land" (1993) [from "Wallflower"]
Second Coming - "Confessional (Live Ver.)" (1998) [from S/T]
それでは最後にAlice N' Chains時代の曲で少し異色な"Hush, Hush"を貼って終わります。
チョッパーを多用したベースと哀感の漂うメロディが印象的ですね。
Alice N' Chains - "Hush, Hush" (1987)
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
1stDemo "Demo #1" (1986)
2ndDemo "Demo #2" (1987)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Glam Metal, Pop Metal
今回紹介するバンドはAlice N' Chainsです。
最初はMy Sister's Machineの紹介記事を書くつもりだったのですが、
そのためには先にこのバンドを紹介しておく必要があったのです。
おそらくここまで読んだ人は頭の中が「?」になっていると思います。
「Alice in Chainsの間違いではないのか?」というような感じで。
Alice N' ChainsというバンドはAlice in Chainsとは別物ですが、
名前があまりにも似ているためいろんな混乱を生む原因となっています。
Alice N' Chainsは後にAlice in Chainsを結成することになる
レイン・ステイリーがジェリー・カントレルと会う前にやっていたバンドです。
もともとはSlezeという名前でレインを含む3人で活動していました。
結成は1985年でレイン以外のメンバーはJohnny Bacolas(ベース)と
James Bergstrom(ドラム)でこの2人は後にSecond Comingを結成しています。
ここにNick Pollock(ギター)が加わり、バンド名をAlice N' Chainsとします。
これが1986年で、その後86年と87年にデモをそれぞれレコーディングしています。
その後、バンドは解散しNick PollockはMy Sister's Machineを結成します。
しばしば「Nick Pollockは最初期のAICにいた」と書かれますが、
これはAlice N' ChainsとAICを混同したことによる誤りです。
その後、レインはジェリーが始めようとしていたDiamond Lieというバンドに加入し、
そのバンドがAlice N' Chainz→Alice in Chainsと名前を変えていったのです。
Alice N' ChainsとAICが混同される原因は名前だけではありません。
AICの最初期とAlice N' Chainsの音楽性が非常に似ているのですね。
AICの最初期というとファンにとって半ば黒歴史化しつつありますが、
Motley CrueやHanoi Rocksのような路線の音楽をやっていた時期ですね。
AICのボックスセット"Music Bank"に何曲かそのタイプの曲があるので、
(自分もそうですが)熱心なファンなら聴いたことがあるかと思います。
というわけで、Alice N' Chainsの音楽性もその路線です。
そのため音楽性でいえばグランジとの関連性はほぼゼロです。
AICの初期に比べるとメタルとしての重さがやや弱めですが、
これはデモ音源の音質のせいでそう思わせてしまう面もあります。
ちなみにAlice N' Chainsという名前は否応にもガンズを連想させますが、
この名前にしたのが1986年ということからおそらくは無関係だと見られます。
さて、1986年の最初のデモ音源(3曲入り)の曲目は次のようになっています。
1. Lip Lock Rock
2. Fat Girls
3. Over the Edge
曲のタイトルからして80年代メタルの香りがプンプンとしてきます。(笑
このデモ音源の曲は全てYoutubeで聴けるので全曲紹介します。
Alice N' Chains - "Lip Lock Rock" (1986) [from "Demo #1"]
Alice N' Chains - "Fat Girls" (1986) [from "Demo #1"]
Alice N' Chains - "Over the Edge" (1986) [from "Demo #1"]
ちなみにAlice N' Chains時代の写真はこんな感じです。
一見どれが誰かわかりませんが、右下がレイン・ステイリーとのことです。
さらに1987年の2枚目のデモ音源も曲目&全曲Youtube紹介をいたします。
1. Sealed With a Kiss
2. Ya Yeah Ya
3. Glamorous Girls
4. Don't Be Satisfied
5. Hush, Hush
6. Football
("Hush, Hush"は最後の埋め込み動画に回すためここからは省いています)
Alice N' Chains - "Sealed With a Kiss" (1987) [from "Demo #2"]
Alice N' Chains - "Ya Yeah Ya" (1987) [from "Demo #2"]
Alice N' Chains - "Glamorous Girls" (1987) [from "Demo #2"]
Alice N' Chains - "Don't Be Satisfied" (1987) [from "Demo #2"]
Alice N' Chains - "Football" (1987) [from "Demo #2"]
80年代メタル的の音とはいっても、当時を彩ったバンドに比べると
楽曲面での完成度でその水準に及んでいるとは言い難い面があります。
また、似た音楽性でもAICの最初期のほうが楽曲の完成度は高いです。
ということで、AICの最初期の曲も1つ参考のために貼っておきます。
Alice in Chains - "Social Parasite" (1989) [from "Sweet Alice: Demos 1989"]
この曲はボックスセットを通じて聴いた人もそこそこいると思います。
「俺達の格好が気に食わないだって? じゃあ消え失せろ!」という歌詞で
見に来ていたレコード会社の人達を挑発したと言われているのがこの曲ですね。
面白いのはこの時期に既にレインのヴォーカルがかなり完成していた点ですね。
Alice N' Chains時代と違って、Facelift以降のスタイルと共通するものを見せています。
最初期のAICについてはいずれAICの記事で触れると思うので今回はここまでにします。
ちなみにAlice N' Chainsのメンバーは後にAIC, My Sister's Machine,
Second Comingと分かれましたが、どのバンドもサバス色の強い方向へ移行しています。
先駆者となったAICに倣ってそういう方向へ行ったとも言えそうですが。
My Sister's Machine - "Broken Land" (1993) [from "Wallflower"]
Second Coming - "Confessional (Live Ver.)" (1998) [from S/T]
それでは最後にAlice N' Chains時代の曲で少し異色な"Hush, Hush"を貼って終わります。
チョッパーを多用したベースと哀感の漂うメロディが印象的ですね。
Alice N' Chains - "Hush, Hush" (1987)
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
Gruntruck
[Discography]
1st Inside Yours (1990)
2nd Push (1992)
1stEP Gruntruck (1996)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Grunge, Alternative Metal
第3弾はシアトルのグランジバンドであるGruntruck(グラントラック)です。
有名ではないものの、知名度もそれほど低くはないバンドだと思います。
このバンドは事実上Skin Yardから派生したバンドと言えます。
Green Riverなどと初期グランジを支えたSkin Yardの
ヴォーカリストであるベン・マクミランがSkin Yardよりも
メタル寄りに焦点を当てたサウンドを目指して結成しました。
(Skin YardはGreen River, Soundgarden, The Melvinsと並ぶ
「4大初期グランジバンド」に個人的に位置づけているバンドです。)
そのため、サウンドはまさに「Skin Yardをよりメタルに近づけた」感じです。
とはいえ、Skin Yard自身も80年代後期あたりからHR/HMに接近していたので、
この両者の音楽性には極端に大きな違いがあるというわけではありません。
また、そういった経緯からもともとはサイドプロジェクト的な存在でした。
しかしSkin YardではなくGruntruckがメジャーと契約したこともあり、
むしろGruntruckのほうがメインの存在になっていきました。
Skin Yardのメンバーでもあったジャック・エンディーノとの関係も良好で、
Gruntruckの全作品のプロデュースに彼が関わっています。
ちなみにハードコアパンクのThe Accusedのメンバーもこのバンドに何人か加わっています。
さて、Skin Yard以外でこのバンドのサウンドをたとえるとするなら、
Soundgardenの"Badmotorfinger"あたりが比較的近くなると思います。
ただし、"Badmotorfinger"ほど渦を巻くような圧力は強くなく、
共通したヘヴィネスやダークネスを持ってはいるものの
そのアプローチはもう少し素直なメタルに近いとも言えます。
ただし「素直なメタルに近い」と言っても、その雰囲気は完全にグランジで、
「ややメタリックなアプローチでグランジを鳴らしている」というものです。
またベンのヴォーカルもクリス・コーネルと近いものを持っています。
大人の渋みと高音でもコクのある声質などはなかなか共通しています。
さすがにヴォーカリストとしての実力が同じとは言えないですが(;゚ω゚)
1stアルバムも2ndアルバムも基本となる音楽性は近いですが、
1stではまだその音楽性が完全に固まっているとまでは言えないです。
"Move in Silence"はSkin Yardがやっても違和感がないですし、
逆に"Crucifunkin'"は2ndのよりねっとりした質感を既に示唆しています。
全体としては2ndよりもピリピリした切迫感がやや強いですね。
オープニングの"Not a Lot to Save"などは特にそれが上手く表現されています。
ということで、まずはその3曲と比較としてのSkin Yardの音源を紹介します。
Gruntruck - "Move in Silence" (1990) [from "Inside Yours"]
Skin Yard - "Jezechrist" (1991) [from "1,000 Smiling Knuckles"]
Gruntruck - "Crucifunkin'" (1990) [from "Inside Yours"]
Gruntruck - "Not a Lot to Save" (1990) [from "Inside Yours"]
2ndの"Push"も基本的なところは1stから維持されていますが、
1stに比べてヘヴィネスとねっとりした感触が強まっています。
とはいえ、その粘りはサイケデリックとは異質なものです。
でもって、1stよりも音楽性がはっきりと固まった印象があります。
このアルバムの良さは1st以上に佳曲が多く詰まっている点です。
どの曲の完成度も総じて高く、捨て曲のようなものがないですね。
たしかに4大バンドほど強烈なインパクトを見せはしないですが、
グランジに興味を持っている人ならまず外れないアルバムと言えます。
そういう点からすると、もっと知られてもいいアルバムですね。
でもって、メタリックなアプローチを見せるバンドでもあるので、
メタルからグランジに入る際にもオススメできるバンドです。
Grunturck自身はフルアルバムは2枚しか出していませんが、
Skin Yardの後期の作品とは音楽性も非常に似通っているので、
そっちのほうへと手を伸ばしていくのも悪くないでしょうね。
ということで、"Push"からも2つの曲を紹介しておきます。
Gruntruck - "Crazy Love" (1992) [from "Push"]
Gruntruck - "Above Me" (1992) [from "Push"]
ところでこの"Above Me"はTherapy?のこの曲と雰囲気が似てますね。
Therapy?とGruntruckはそれほど音楽性の近いバンドではないですけども。
Therapy? - "Turn" (1993) [from "Troublegum"]
Gruntruckはこの後、レコード会社との裁判などの関係で活動が停滞します。
裁判の後で1996年に3曲入りのEPを出していますが、その後は作品は出していません。
やや手に入りにくい作品ですが、Youtubeで3曲とも聴くことができます。
"Push"の頃に比べるとやや鋭さとアグレッシブな感触が強まってますね。
"Shot"は中盤がパンキッシュで、"New God"はメタリックだったりして面白いです。
Gruntruck - "Shot" (1996) [from "Gruntruck EP"]
Gruntruck - "Illusion" (1996) [from "Gruntruck EP"]
Gruntruck - "New God" (1996) [from "Gruntruck EP"]
ちなみにGruntruckにはアルバムに収められなかったレア曲がけっこうあります。
それらの曲もYoutubeに転がっているので探してみるのもいいかもしれません。
ヴォーカルのベン・マクミランは長い糖尿病との闘いの末、2008年の1月に他界されました。
既に表舞台から去っていたものの、このことは当時すぐに音楽メディアで報じられていました。
それでは、最後に自分がGruntruckの中で最も好きな曲の
2ndのオープニングでもある"Tribe"を貼っておきます(*・ω・)ノシ
Gruntruck - "Tribe" (1992) [from "Push"]
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
1st Inside Yours (1990)
2nd Push (1992)
1stEP Gruntruck (1996)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Grunge, Alternative Metal
第3弾はシアトルのグランジバンドであるGruntruck(グラントラック)です。
有名ではないものの、知名度もそれほど低くはないバンドだと思います。
このバンドは事実上Skin Yardから派生したバンドと言えます。
Green Riverなどと初期グランジを支えたSkin Yardの
ヴォーカリストであるベン・マクミランがSkin Yardよりも
メタル寄りに焦点を当てたサウンドを目指して結成しました。
(Skin YardはGreen River, Soundgarden, The Melvinsと並ぶ
「4大初期グランジバンド」に個人的に位置づけているバンドです。)
そのため、サウンドはまさに「Skin Yardをよりメタルに近づけた」感じです。
とはいえ、Skin Yard自身も80年代後期あたりからHR/HMに接近していたので、
この両者の音楽性には極端に大きな違いがあるというわけではありません。
また、そういった経緯からもともとはサイドプロジェクト的な存在でした。
しかしSkin YardではなくGruntruckがメジャーと契約したこともあり、
むしろGruntruckのほうがメインの存在になっていきました。
Skin Yardのメンバーでもあったジャック・エンディーノとの関係も良好で、
Gruntruckの全作品のプロデュースに彼が関わっています。
ちなみにハードコアパンクのThe Accusedのメンバーもこのバンドに何人か加わっています。
さて、Skin Yard以外でこのバンドのサウンドをたとえるとするなら、
Soundgardenの"Badmotorfinger"あたりが比較的近くなると思います。
ただし、"Badmotorfinger"ほど渦を巻くような圧力は強くなく、
共通したヘヴィネスやダークネスを持ってはいるものの
そのアプローチはもう少し素直なメタルに近いとも言えます。
ただし「素直なメタルに近い」と言っても、その雰囲気は完全にグランジで、
「ややメタリックなアプローチでグランジを鳴らしている」というものです。
またベンのヴォーカルもクリス・コーネルと近いものを持っています。
大人の渋みと高音でもコクのある声質などはなかなか共通しています。
さすがにヴォーカリストとしての実力が同じとは言えないですが(;゚ω゚)
1stアルバムも2ndアルバムも基本となる音楽性は近いですが、
1stではまだその音楽性が完全に固まっているとまでは言えないです。
"Move in Silence"はSkin Yardがやっても違和感がないですし、
逆に"Crucifunkin'"は2ndのよりねっとりした質感を既に示唆しています。
全体としては2ndよりもピリピリした切迫感がやや強いですね。
オープニングの"Not a Lot to Save"などは特にそれが上手く表現されています。
ということで、まずはその3曲と比較としてのSkin Yardの音源を紹介します。
Gruntruck - "Move in Silence" (1990) [from "Inside Yours"]
Skin Yard - "Jezechrist" (1991) [from "1,000 Smiling Knuckles"]
Gruntruck - "Crucifunkin'" (1990) [from "Inside Yours"]
Gruntruck - "Not a Lot to Save" (1990) [from "Inside Yours"]
2ndの"Push"も基本的なところは1stから維持されていますが、
1stに比べてヘヴィネスとねっとりした感触が強まっています。
とはいえ、その粘りはサイケデリックとは異質なものです。
でもって、1stよりも音楽性がはっきりと固まった印象があります。
このアルバムの良さは1st以上に佳曲が多く詰まっている点です。
どの曲の完成度も総じて高く、捨て曲のようなものがないですね。
たしかに4大バンドほど強烈なインパクトを見せはしないですが、
グランジに興味を持っている人ならまず外れないアルバムと言えます。
そういう点からすると、もっと知られてもいいアルバムですね。
でもって、メタリックなアプローチを見せるバンドでもあるので、
メタルからグランジに入る際にもオススメできるバンドです。
Grunturck自身はフルアルバムは2枚しか出していませんが、
Skin Yardの後期の作品とは音楽性も非常に似通っているので、
そっちのほうへと手を伸ばしていくのも悪くないでしょうね。
ということで、"Push"からも2つの曲を紹介しておきます。
Gruntruck - "Crazy Love" (1992) [from "Push"]
Gruntruck - "Above Me" (1992) [from "Push"]
ところでこの"Above Me"はTherapy?のこの曲と雰囲気が似てますね。
Therapy?とGruntruckはそれほど音楽性の近いバンドではないですけども。
Therapy? - "Turn" (1993) [from "Troublegum"]
Gruntruckはこの後、レコード会社との裁判などの関係で活動が停滞します。
裁判の後で1996年に3曲入りのEPを出していますが、その後は作品は出していません。
やや手に入りにくい作品ですが、Youtubeで3曲とも聴くことができます。
"Push"の頃に比べるとやや鋭さとアグレッシブな感触が強まってますね。
"Shot"は中盤がパンキッシュで、"New God"はメタリックだったりして面白いです。
Gruntruck - "Shot" (1996) [from "Gruntruck EP"]
Gruntruck - "Illusion" (1996) [from "Gruntruck EP"]
Gruntruck - "New God" (1996) [from "Gruntruck EP"]
ちなみにGruntruckにはアルバムに収められなかったレア曲がけっこうあります。
それらの曲もYoutubeに転がっているので探してみるのもいいかもしれません。
ヴォーカルのベン・マクミランは長い糖尿病との闘いの末、2008年の1月に他界されました。
既に表舞台から去っていたものの、このことは当時すぐに音楽メディアで報じられていました。
それでは、最後に自分がGruntruckの中で最も好きな曲の
2ndのオープニングでもある"Tribe"を貼っておきます(*・ω・)ノシ
Gruntruck - "Tribe" (1992) [from "Push"]
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
Send No Flowers
[Discography]
1st Juice (1996)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Grunge
第2弾はイギリス出身のマイナーなグランジバンドです。
アルバムは1996年の"Juice"の1枚しか出していません。
こういったグランジ系のサウンドを鳴らすバンドにとって
イギリスでの活動というのは大きなネックになるのですよね。
イギリス出身のグランジというとBushが成功していますが、
Bushもイギリスでは2ndでゴールドを取るのが精一杯でしたから。
さて、彼らは1995年のEP(というかシングル)が最初の作品ですが、
時期を考えると明らかに遅く出てきたグランジバンドと言えます。
そんな彼らのサウンドですが、Stone Temple Pilotsの"Core"(1st)や
Alice In Chainsの"Dirt"(2nd)のようなドロドロとした雰囲気を持ちつつ、
そこにNirvanaが見せる強烈な切迫感を加えたような音となっています。
Black SabbathやBlack Flagの影響をダイレクトに感じられるタイプでもなく、
またメタルかパンクのどちらか一方に極端に寄っているバンドでもないですね。
ある意味では典型的なグランジの直系バンドと言うことができますし、
そのためグランジ好きなら安心して聴けるタイプの音とも言えます。
ですが作品の仕上がりが非常によく、自分としてはけっこう思い入れがあります。
そこでまずは彼らの最初のシングル(的なEP)として出た曲を紹介しましょう。
Send No Flowers - "Monotony" (1995)
途中から3つのヴォーカルパートが重なるあたりは非常に印象的です。
グランジ直系ではありながらも、なかなか面白い試みも見せてくれます。
彼らのサウンドに最も近い他のバンドの作品を挙げるとしたら、
それはおそらくStone Temple Pilotsの"Core"になるでしょう。
ヴォーカルスタイルがスコット・ウェイランドとは大きく違いますし、
"Core"ほど暑苦しさを感じさせるようなサウンドではありませんが、
最も特徴的な「(サイケさも持った)浮遊感」が強く共通しています。
この彼らのサウンドの浮遊感は次の曲からよく感じ取ることができます。
Send No Flowers - "Bitter Taste (Live Version)" (1996)
雨も降ってないのに、なんでヴォーカルの人が
レインコートのようなものを着てるのかひどく謎ですが。(笑
ちょっと曲の最後を少し残して動画が終わるのが難点です;
また、アルバムの中にはけっこう穏やかな曲もあります。
Send No Flowers - "Wrong (Live Version)" (1996)
この曲はアメリカンロック的な大らかさを持っていますね。
イギリスのバンドなので本当はアメリカンロックじゃないですけども。
この曲あたりを聴くと、なかなかコンポーズセンスも高く感じます。
1stだけで終わってしまうにはもったいないですね。
ただライヴ中のヴォーカルの動きだけは突っ込みどころが多いですが;
これまでの話だとあまりこのバンドに個性がなさそうですが、
彼らの持っているメロディの哀感は大きな個性となっています。
メタル的な叙情性とはまた違った哀感がつねに備わってますね。
この点はなかなかアメリカのグランジバンドにはないところです。
いかにもアメリカ的なサウンドを出しているバンドですが、
このあたりにイギリス出身のバンドらしさがありますね。
それでは最後に、その彼らの持つ哀感と切迫感が最もよく出ている
自分の最も好きな2ndEPにもなったこの曲を貼ることにします(*・ω・)ノ
ちなみにこのバンドはマイナーな存在ではありますが、
国内盤が出ているので日本ではそこそこ入手しやすいです。
また、国内盤はボーナストラックも入っているのでオススメです。
Send No Flowers - "Downfall" (1996)
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・グランジ紹介 総合メニュー
1st Juice (1996)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
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Grunge
第2弾はイギリス出身のマイナーなグランジバンドです。
アルバムは1996年の"Juice"の1枚しか出していません。
こういったグランジ系のサウンドを鳴らすバンドにとって
イギリスでの活動というのは大きなネックになるのですよね。
イギリス出身のグランジというとBushが成功していますが、
Bushもイギリスでは2ndでゴールドを取るのが精一杯でしたから。
さて、彼らは1995年のEP(というかシングル)が最初の作品ですが、
時期を考えると明らかに遅く出てきたグランジバンドと言えます。
そんな彼らのサウンドですが、Stone Temple Pilotsの"Core"(1st)や
Alice In Chainsの"Dirt"(2nd)のようなドロドロとした雰囲気を持ちつつ、
そこにNirvanaが見せる強烈な切迫感を加えたような音となっています。
Black SabbathやBlack Flagの影響をダイレクトに感じられるタイプでもなく、
またメタルかパンクのどちらか一方に極端に寄っているバンドでもないですね。
ある意味では典型的なグランジの直系バンドと言うことができますし、
そのためグランジ好きなら安心して聴けるタイプの音とも言えます。
ですが作品の仕上がりが非常によく、自分としてはけっこう思い入れがあります。
そこでまずは彼らの最初のシングル(的なEP)として出た曲を紹介しましょう。
Send No Flowers - "Monotony" (1995)
途中から3つのヴォーカルパートが重なるあたりは非常に印象的です。
グランジ直系ではありながらも、なかなか面白い試みも見せてくれます。
彼らのサウンドに最も近い他のバンドの作品を挙げるとしたら、
それはおそらくStone Temple Pilotsの"Core"になるでしょう。
ヴォーカルスタイルがスコット・ウェイランドとは大きく違いますし、
"Core"ほど暑苦しさを感じさせるようなサウンドではありませんが、
最も特徴的な「(サイケさも持った)浮遊感」が強く共通しています。
この彼らのサウンドの浮遊感は次の曲からよく感じ取ることができます。
Send No Flowers - "Bitter Taste (Live Version)" (1996)
雨も降ってないのに、なんでヴォーカルの人が
レインコートのようなものを着てるのかひどく謎ですが。(笑
ちょっと曲の最後を少し残して動画が終わるのが難点です;
また、アルバムの中にはけっこう穏やかな曲もあります。
Send No Flowers - "Wrong (Live Version)" (1996)
この曲はアメリカンロック的な大らかさを持っていますね。
イギリスのバンドなので本当はアメリカンロックじゃないですけども。
この曲あたりを聴くと、なかなかコンポーズセンスも高く感じます。
1stだけで終わってしまうにはもったいないですね。
ただライヴ中のヴォーカルの動きだけは突っ込みどころが多いですが;
これまでの話だとあまりこのバンドに個性がなさそうですが、
彼らの持っているメロディの哀感は大きな個性となっています。
メタル的な叙情性とはまた違った哀感がつねに備わってますね。
この点はなかなかアメリカのグランジバンドにはないところです。
いかにもアメリカ的なサウンドを出しているバンドですが、
このあたりにイギリス出身のバンドらしさがありますね。
それでは最後に、その彼らの持つ哀感と切迫感が最もよく出ている
自分の最も好きな2ndEPにもなったこの曲を貼ることにします(*・ω・)ノ
ちなみにこのバンドはマイナーな存在ではありますが、
国内盤が出ているので日本ではそこそこ入手しやすいです。
また、国内盤はボーナストラックも入っているのでオススメです。
Send No Flowers - "Downfall" (1996)
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・グランジ紹介 総合メニュー
Screaming Trees
[Discography](ベストアルバムは除く)
1stEP Other Worlds (1985)
1st Clairvoyance (1986)
2nd Even If and Especially When (1987)
3rd Invisible Lantern (1988)
4th Buzz Factory (1989)
2ndEP Change Has Come (1990)
5th Uncle Anesthesia (1991)
6th Sweet Oblivion (1992)
7th Dust (1996)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Grunge, Neo Psychedelia, Psychedelic Rock
グランジバンド紹介コーナーの第1弾はScreaming Treesです(●・ω・)
シアトルグランジが好きな人なら少なくとも名前は聞いたことがあるでしょう。
"Sub Pop 200"に参加していることで知った人もいると思います。
シアトルグランジもいろんなバンドがありますが、
その中では中堅ぐらいの知名度があると言えそうです。
ただ、Screaming Treesはやや不遇な立ち位置にあった印象もあります。
サウンド的には典型的なグランジサウンドからは遠いため、
グランジ好きの人たちからはとっつきにくいと思われがちです。
一方でグランジに興味のない人からは「ただのグランジ」と見られ、
その音楽性を評価してもらえる機会が少なかった面もあると言えます。
ただ、逆にグランジ好きの人が興味を持ってくれる機会もあるので、
100%それがマイナスにはたらいたとも言えないとは思いますが。
いわゆるグランジファンからは音楽性がわかりにくいと思われがちですが、
むしろ彼らははルーツがかなりはっきりとしているバンドでもあります。
その音楽性を一言で言うと「パンクを通過した60年代サイケデリックロック」でしょう。
しばしばThe Doorsが引き合いに出されるのもそのあらわれですね。
とりわけヴォーカルのマーク・ラネガンのスタイルは
The Doorsのジム・モリソンからの影響を多大に受けています。
ただジム・モリソンのような激しいシャウトはあまりしませんが。
(同じくジム・モリソンから影響を受けたヴォーカリストでは、
Pearl Jamのエディ・ヴェダーなどがその要素を強く持っています。)
Screaming Treesはグランジ系の中でもレコードを早く出したバンドです。
1985年にはすでに最初のEPである"Other Worlds"を出しました。
この作品は以降の作品に比べると非常に明るい印象があります。
もっとも彼らの特徴であるパンク+サイケはこの頃から健在ですが、
サイケがかりながらも、西海岸的な明るさのあるパンクという感じです。
そして1stの"Clairvoyance"ではあえてパンク要素を抑えめにし、
グッと60年代サイケデリックとしての濃度を高めた路線に行きます。
自分はこのアルバムがけっこう好きだったりするのですが、
「60年代サイケそのもの」というイメージも強い作品です。
この1stで培ったサイケデリアの濃度を維持しながら、
パンキッシュな攻撃性をミックスしていったのが2nd以降です。
Screaming Treesはアルバムごとに急激に音楽性を
変えるということが少ないバンドでもあります。
2nd~4thまでは音楽性自体に大きな変化はないですね。
ただし、少しずつバンドとしての音の完成度は高まっていきます。
ですが、どのアルバムも佳曲がしっかりとつまっているので、
できればどれも漏らさず聴いておくだけの価値はあります。
2nd~4thの中では、特に3rdの"Invisible Lantern"が好きです(*゚◇゚)
ところで、この"Invisible Lantern"に見られるように、
彼らの曲名にはファンタジックな香りがするものが多いです。
ここにもまた60年代サイケデリックからの影響が見えますね。
さて、このあたりで彼らの曲を2つほど紹介しましょう。
Screaming Trees - Seeing and Believing
[from "Clairvoyance" (1986)]
Screaming Trees - Walk Through to This Side
[from "Invisible Lantern" (1988)]
どちらも彼らの代表曲というわけではないのですが、
60年代サイケからの影響がわかりやすいことで選びました(*゚ー゚)
彼らに影響を与えたバンドというと、たいていThe Doorsの名前が出て終わりですが、
実際にはThe Doors以外の60年代サイケからの影響も極めて強く受けています。
おそらくメンバーは相当に60年代サイケにくわしいものと見られます。
そこで彼らに影響を与えたと見られる60年代サイケを2曲紹介します。
The Electric Prunes - Bangles (1967)
Donovan - Epistle to Dippy (1966)
Screaming Treesを聴きなれてる人なら「あぁ、たしかに!」と
思わず言ってしまいたくなるぐらいに影響が感じ取れます。
60年代サイケというとThe Doorsやここに紹介したバンドと、
The Beatlesの"Sgt.~"的なもので大きく分かれていたりしますが、
後者のタイプからの影響は彼らからはあまり感じ取れないですね。
ですが、The Beatlesが"Sgt.~"より前に出したサイケからは影響が見えます。
The Beatles - Rain (1966)
メロディなど以上に、ギターの使い方が非常に共通していますね。
こうやって見ると、Screaming Treesというバンドは、
相当にいろんな60年代サイケのサウンドをミックスして
自分たちなりのサイケデリアを構築してきたと言えそうです。
4thの後に"Change Has Come"というEPを出していますが、
これはいつもより少し攻撃性がサウンドを聴くことができます。
そして5thからはメジャーのEpicに移籍しての活動になります。
そのため、ここからはサウンドもやや洗練された感じになります。
5thはSoundgardenのプロデュースでも知られるテリー・デイトと
なぜかクリス・コーネルをプロデューサーに迎えて作られました。
テリー・デイトを紹介したのがクリスだったのかもしれませんが。
この作品はやや地味だと評されることも多いようですが、
耳に残る曲も多いですし、決して悪い作品ではないですね。
そして6thの"Sweet Oblivion"では彼らの見せるサイケデリアに
さらに脂が乗り、非常に粘っこいサウンドを聴かせてくれます。
ちなみにプロデューサーはGumballでも知られるドン・フレミングです。
4thあたりまではまだ異なる要素がぶつかり合ってる感もありましたが、
ここまで来るとそういった印象はほとんど与えなくなっています。
その粘っこさが十二分に表れているのがこの曲でしょう。
大人の渋みとでもいうものが存分に発揮されています。
Screaming Trees - Shadow of the Season
[from "Sweet Oblivion" (1992)]
その後、バンドは新たな作品の制作を開始するのですが、
1994年にいったん作った曲をほとんど破棄してしまいます。
ですが、それはネガティブな意味合いがあってのものではなく、
もっと質の高いアルバムを作るという意志から行われました。
そして前作から4年ぶりにリリースされたのが7thの"Dust"です。
これまでに積み重ねてきたサイケデリアを維持しながらも、
フォークなどの要素も取り入れることでより間口の広くなっています。
そしてメロディなども過去最高の完成度を見せています。
まさしく彼らの最高傑作と呼ぶにふさわしい作品でしょう。
捨て曲と呼ばれるようなものが一切ないのも素晴らしいです。
さて、ここでその"Dust"から1曲紹介しましょう。
Screaming Trees - Sworn and Broken
[from "Dust" (1996)]
曲そのものも美しいですが、途中のオルガンソロが絶品です。
オルガンといえばサイケデリックでよく使われますが、
Screaming Treesがサイケの高みに達したことが伝わってきます。
そして彼らに影響を与えたThe Doorsからも冬の曲を紹介します。
ヴォーカル面において大きな影響を受けていることがうかがえます。
The Doors - Wintertime Love (1968)
バンドはこの"Dust"を出した後で活動を停止してしまいますが、
このアルバムによって有終の美を飾ることができたとも言えそうです。
それでは最後に同じく最終アルバムである"Dust"から、
高い評価を受けた"All I Know"にて記事を締めたいと思います(*・ω・)ノシ
今回はミュージックビデオのほうが埋め込み無効になっていたので、
埋め込みとは別に文字リンクからビデオに飛べるようにしております。
Screaming Trees - All I Know [from "Dust" (1996)]
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
1stEP Other Worlds (1985)
1st Clairvoyance (1986)
2nd Even If and Especially When (1987)
3rd Invisible Lantern (1988)
4th Buzz Factory (1989)
2ndEP Change Has Come (1990)
5th Uncle Anesthesia (1991)
6th Sweet Oblivion (1992)
7th Dust (1996)
(ここに紹介した作品は全て持っていて、未聴のものはありません)
[関連の深いジャンル]
Grunge, Neo Psychedelia, Psychedelic Rock
グランジバンド紹介コーナーの第1弾はScreaming Treesです(●・ω・)
シアトルグランジが好きな人なら少なくとも名前は聞いたことがあるでしょう。
"Sub Pop 200"に参加していることで知った人もいると思います。
シアトルグランジもいろんなバンドがありますが、
その中では中堅ぐらいの知名度があると言えそうです。
ただ、Screaming Treesはやや不遇な立ち位置にあった印象もあります。
サウンド的には典型的なグランジサウンドからは遠いため、
グランジ好きの人たちからはとっつきにくいと思われがちです。
一方でグランジに興味のない人からは「ただのグランジ」と見られ、
その音楽性を評価してもらえる機会が少なかった面もあると言えます。
ただ、逆にグランジ好きの人が興味を持ってくれる機会もあるので、
100%それがマイナスにはたらいたとも言えないとは思いますが。
いわゆるグランジファンからは音楽性がわかりにくいと思われがちですが、
むしろ彼らははルーツがかなりはっきりとしているバンドでもあります。
その音楽性を一言で言うと「パンクを通過した60年代サイケデリックロック」でしょう。
しばしばThe Doorsが引き合いに出されるのもそのあらわれですね。
とりわけヴォーカルのマーク・ラネガンのスタイルは
The Doorsのジム・モリソンからの影響を多大に受けています。
ただジム・モリソンのような激しいシャウトはあまりしませんが。
(同じくジム・モリソンから影響を受けたヴォーカリストでは、
Pearl Jamのエディ・ヴェダーなどがその要素を強く持っています。)
Screaming Treesはグランジ系の中でもレコードを早く出したバンドです。
1985年にはすでに最初のEPである"Other Worlds"を出しました。
この作品は以降の作品に比べると非常に明るい印象があります。
もっとも彼らの特徴であるパンク+サイケはこの頃から健在ですが、
サイケがかりながらも、西海岸的な明るさのあるパンクという感じです。
そして1stの"Clairvoyance"ではあえてパンク要素を抑えめにし、
グッと60年代サイケデリックとしての濃度を高めた路線に行きます。
自分はこのアルバムがけっこう好きだったりするのですが、
「60年代サイケそのもの」というイメージも強い作品です。
この1stで培ったサイケデリアの濃度を維持しながら、
パンキッシュな攻撃性をミックスしていったのが2nd以降です。
Screaming Treesはアルバムごとに急激に音楽性を
変えるということが少ないバンドでもあります。
2nd~4thまでは音楽性自体に大きな変化はないですね。
ただし、少しずつバンドとしての音の完成度は高まっていきます。
ですが、どのアルバムも佳曲がしっかりとつまっているので、
できればどれも漏らさず聴いておくだけの価値はあります。
2nd~4thの中では、特に3rdの"Invisible Lantern"が好きです(*゚◇゚)
ところで、この"Invisible Lantern"に見られるように、
彼らの曲名にはファンタジックな香りがするものが多いです。
ここにもまた60年代サイケデリックからの影響が見えますね。
さて、このあたりで彼らの曲を2つほど紹介しましょう。
Screaming Trees - Seeing and Believing
[from "Clairvoyance" (1986)]
Screaming Trees - Walk Through to This Side
[from "Invisible Lantern" (1988)]
どちらも彼らの代表曲というわけではないのですが、
60年代サイケからの影響がわかりやすいことで選びました(*゚ー゚)
彼らに影響を与えたバンドというと、たいていThe Doorsの名前が出て終わりですが、
実際にはThe Doors以外の60年代サイケからの影響も極めて強く受けています。
おそらくメンバーは相当に60年代サイケにくわしいものと見られます。
そこで彼らに影響を与えたと見られる60年代サイケを2曲紹介します。
The Electric Prunes - Bangles (1967)
Donovan - Epistle to Dippy (1966)
Screaming Treesを聴きなれてる人なら「あぁ、たしかに!」と
思わず言ってしまいたくなるぐらいに影響が感じ取れます。
60年代サイケというとThe Doorsやここに紹介したバンドと、
The Beatlesの"Sgt.~"的なもので大きく分かれていたりしますが、
後者のタイプからの影響は彼らからはあまり感じ取れないですね。
ですが、The Beatlesが"Sgt.~"より前に出したサイケからは影響が見えます。
The Beatles - Rain (1966)
メロディなど以上に、ギターの使い方が非常に共通していますね。
こうやって見ると、Screaming Treesというバンドは、
相当にいろんな60年代サイケのサウンドをミックスして
自分たちなりのサイケデリアを構築してきたと言えそうです。
4thの後に"Change Has Come"というEPを出していますが、
これはいつもより少し攻撃性がサウンドを聴くことができます。
そして5thからはメジャーのEpicに移籍しての活動になります。
そのため、ここからはサウンドもやや洗練された感じになります。
5thはSoundgardenのプロデュースでも知られるテリー・デイトと
なぜかクリス・コーネルをプロデューサーに迎えて作られました。
テリー・デイトを紹介したのがクリスだったのかもしれませんが。
この作品はやや地味だと評されることも多いようですが、
耳に残る曲も多いですし、決して悪い作品ではないですね。
そして6thの"Sweet Oblivion"では彼らの見せるサイケデリアに
さらに脂が乗り、非常に粘っこいサウンドを聴かせてくれます。
ちなみにプロデューサーはGumballでも知られるドン・フレミングです。
4thあたりまではまだ異なる要素がぶつかり合ってる感もありましたが、
ここまで来るとそういった印象はほとんど与えなくなっています。
その粘っこさが十二分に表れているのがこの曲でしょう。
大人の渋みとでもいうものが存分に発揮されています。
Screaming Trees - Shadow of the Season
[from "Sweet Oblivion" (1992)]
その後、バンドは新たな作品の制作を開始するのですが、
1994年にいったん作った曲をほとんど破棄してしまいます。
ですが、それはネガティブな意味合いがあってのものではなく、
もっと質の高いアルバムを作るという意志から行われました。
そして前作から4年ぶりにリリースされたのが7thの"Dust"です。
これまでに積み重ねてきたサイケデリアを維持しながらも、
フォークなどの要素も取り入れることでより間口の広くなっています。
そしてメロディなども過去最高の完成度を見せています。
まさしく彼らの最高傑作と呼ぶにふさわしい作品でしょう。
捨て曲と呼ばれるようなものが一切ないのも素晴らしいです。
さて、ここでその"Dust"から1曲紹介しましょう。
Screaming Trees - Sworn and Broken
[from "Dust" (1996)]
曲そのものも美しいですが、途中のオルガンソロが絶品です。
オルガンといえばサイケデリックでよく使われますが、
Screaming Treesがサイケの高みに達したことが伝わってきます。
そして彼らに影響を与えたThe Doorsからも冬の曲を紹介します。
ヴォーカル面において大きな影響を受けていることがうかがえます。
The Doors - Wintertime Love (1968)
バンドはこの"Dust"を出した後で活動を停止してしまいますが、
このアルバムによって有終の美を飾ることができたとも言えそうです。
それでは最後に同じく最終アルバムである"Dust"から、
高い評価を受けた"All I Know"にて記事を締めたいと思います(*・ω・)ノシ
今回はミュージックビデオのほうが埋め込み無効になっていたので、
埋め込みとは別に文字リンクからビデオに飛べるようにしております。
Screaming Trees - All I Know [from "Dust" (1996)]
【関連記事】
・グランジ紹介 総合メニュー
グランジ紹介 総合メニュー
グランジ紹介カテゴリの総合メニュー記事です。
新たにバンドを紹介するたびにここに追加していきます。
メジャーなバンドからほとんど知られていないバンドまで、
グランジと呼ばれた様々なバンドを紹介していく予定です。
音楽的にはグランジとはちょっと距離があるバンドであっても、
グランジバンドの前身にあたる場合は紹介することがあります。
第8回 Kerbdog (2011.8.9)
第7回 Dandelion (2011.7.31)
第6回 Flowerhead (2011.7.22)
第5回 My Sister's Machine (2011.7.15)
第4回 Alice N' Chains (2011.7.10)
第3回 Gruntruck (2011.7.4)
第2回 Send No Flowers (2011.6.27)
第1回 Screaming Trees (2011.6.22)
発展途上なコーナーですが、どうかよろしくお願いします(゚x/)
新たにバンドを紹介するたびにここに追加していきます。
メジャーなバンドからほとんど知られていないバンドまで、
グランジと呼ばれた様々なバンドを紹介していく予定です。
音楽的にはグランジとはちょっと距離があるバンドであっても、
グランジバンドの前身にあたる場合は紹介することがあります。
第8回 Kerbdog (2011.8.9)
第7回 Dandelion (2011.7.31)
第6回 Flowerhead (2011.7.22)
第5回 My Sister's Machine (2011.7.15)
第4回 Alice N' Chains (2011.7.10)
第3回 Gruntruck (2011.7.4)
第2回 Send No Flowers (2011.6.27)
第1回 Screaming Trees (2011.6.22)
発展途上なコーナーですが、どうかよろしくお願いします(゚x/)
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